満期保険金を受け取った時、年末調整はどうすればいいの?

ほけんケア~ドル建て保険も理解できた!保険について本気出して勉強した主婦のブログ

子供のための貯蓄型学資保険の検討からドル建て保険の存在を知り、様々な保険を勉強してきました。複雑でわかりにくい保険に関する内容を少しでも理解しやすくなるためのブログです。

満期保険金を受け取った時、年末調整はどうすればいいの?

   

そもそも年末調整って何?満期保険金を受け取った時も必要なの?

会社勤めの方などで年末が近づいてくると、勤め先から年末調整をするための用紙(扶養控除申請書、保険料控除申請書)の記入を求められると思います。その用紙に該当事項を記入することによって年末調整を行うわけですが、そもそも年末調整とはなんでしょうか?

年末調整とは、毎月給与から天引きされている所得税を年末に調整する仕組みのことです。各各に課せられる所得税の金額は1年間の所得(年収)に応じ決まります。そのため年末にその年の所得税額に対する所得税の過不足分の精算をするわけです。(払い過ぎていた場合は還付されますし、足りていない場合追加で支払う必要が出てきたりもします。)

ところで満期保険金を受け取った場合も年末調整は必要なのでしょうか?次の項目では満期保険金を受け取った場合の年末調整の仕方としなかった場合の注意点について説明したいと思います。

満期保険金を受け取った時の年末調整の注意点

前項で説明したとおり、年末調整とは所得税を年末に調整する仕組みのことでこれをもとに正しい所得税を計算しなければなりません。そのため満期保険金を受け取った場合は年末調整が必要となります。

では満期保険金とは具体的にどのようなものを指すのでしょうか?

一般的には養老保険や学資保険等で満期を迎えると受け取ることのできるお金のことを指します。(生命保険の解約の解約返戻金も含む)

満期保険金を受け取るだけでも、「だれが受け取るのか」、「どのように受け取るのか」により課税区分が変わってきます。では年末調整の時に気をつけなければならない点はなんでしょうか?

満期保険金を一時金で受領した場合は「一時所得」、満期保険金を年金で受領した場合には、公的年金等以外の「雑所得」として課税されるため注意が必要です。さらに満期保険金を受け取った場合、その受け取った人が「保険料を支払ってきた人(所得税)」か「そうでないか(贈与税)」によって、課税される税金の種類が変わってきます。

満期保険金の課税関係の表(国税庁HP参照)

保険料の負担者保険金受取人税金の種類
AA所得税
AB贈与税

満期保険金の課税関係の表 2

満期保険金の受領の仕方区分備考
一時金で受領した場合一時所得一時所得から支払保険金を差引き、更に特別控除額50万円を差し引いた金額の2分の1が課税対象となる。
年金で受領した場合雑所得年金を受け取る際に、所得税が源泉徴収される。

満期保険金の受取を確定申告しなかった場合の注意点

満期保険金を受け取った場合、年末調整を行わなければならない点については前項で説明したとおりです。ただ満期保険金を受け取った場合、受け取った金額によっては確定申告を行わなければならないケースがままあります。もちろん満期保険金を受け取ったからといって必ず確定申告しなければならない訳ではありませんが、万が一、実は確定申告しなければならなかったなんてことになったらまあ大変です。

ここでは満期保険金を受け取った場合、確定申告が必要かどうかについて、また確定申告をしなかった場合のリスクについて説明していきたいと思います。

満期保険金受取時、確定申告をしなくても大丈夫なケース

一時所得の計算は満期保険金から支払保険料を差し引き控除額(最高50万円)を差し引き計算します。課税対象となるのは控除額(最高50万円)をオーバーしてしまった一時所得の金額を2分の1した金額となります。

総収入金額(満期保険金) - 収入を得るためにかかった金額(支払保険料) - 控除額(最高50万円)= 一時所得の金額

一時所得の金額 ÷ 2 × 所得税率 = 所得税の金額

つまり受け取った満期保険金から支払保険料を差し引いた金額が控除額(最高50万円)を超えなければ税金は課せられる事はありません。そのためこのケースの場合確定申告は不要となります。(ただし年末調整に記載する必要はあります。)

次に満期保険金受取時、確定申告をしなければならないケースについて記載したいと思います。

満期保険金受取時、確定申告をしなければならないケース

確定申告をしなければならないケースは下記のとおりです。

No.申告が必要なケース
一時所得の金額が控除(50万円)を超えている場合
保険金の支払者と受取者が違う場合(贈与税の対象)で、受け取った保険金が基礎控除額110万円を超える場合
個人事業主である場合、年収2,000万円超の給与所得者

一時所得の金額が控除50万円を超える場合についての説明は前項で説明したとおりです。また個人事業主である場合、年収2,000万円超の給与所得者、給与所得・退職所得以外の所得が20万円超ある方についてはそもそも確定申告が必要とされる方々(国税庁HP「No.2020 確定申告」を参照のこと)なのでここでは割愛させて頂きます。

ここではまだ記載していない贈与税が課せられるケースについて説明したいと思います。

「今まで保険金を支払ってきた方」と「満期保険金を受け取る方」が違う場合、その満期保険金は所得税ではなく贈与税が課せられます。また受け取った方が子の場合と妻の場合で特例贈与と一般贈与に分けられます。

保険金を支払ってきた方満期保険金を受け取る方課せられる税
お父さんお父さん所得税
お父さんお母さん、お子さん(未成年)一般贈与税
お父さんお子さん(※20歳以上)特例贈与税

※贈与を受けたその年の1月1日において20歳以上の直系卑属

一般贈与の贈与税額の計算

例えば、兄弟間、夫婦間、親から子への贈与で子が未成年者の場合は一般贈与に該当し以下の式と表で贈与税額の計算をします。

満期保険金 - 基礎控除(110万円) = 基礎控除後の課税価格

基礎控除後の課税価格 × 税率 - 控除額 = 一般贈与税額

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%なし
200万円超300万円以下15%10万円
300万円超400万円以下20%25万円
400万円超600万円以下30%65万円
600万円超1,000万円以下40%125万円
1,000万円超1,500万円以下45%250万円
1,500万円超3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

例えば500万円の満期保険金を受け取っていた場合の計算は下記のとおりです。

満期保険金 500万円 - 基礎控除 110万円 = 基礎控除後の課税価格 390万円

基礎控除後の課税価格 390万円 × 税率 20% - 控除額 25万円

= 一般贈与税額 53万円

一般贈与の場合、満期保険金を500万円受け取った時課せられる税額は53万円となります。

特別贈与の贈与税額の計算

例えば、祖父から孫、父から子への贈与は特別贈与に該当し以下の式と表で贈与税額の計算をします。(贈与を受けたその年の1月1日において20歳以上の直系卑属)

満期保険金 - 基礎控除(110万円) = 基礎控除後の課税価格

基礎控除後の課税価格 × 税率 - 控除額 = 一般贈与税額

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%なし
200万円超400万円以下15%10万円
400万円超600万円以下20%30万円
600万円超1,000万円以下30%90万円
1,000万円超1,500万円以下40%190万円
1,500万円超3,000万円以下45%265万円
3,000万円超4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円

例えば500万円の満期保険金を受け取っていた場合の計算は下記のとおりです。

満期保険金 500万円 - 基礎控除 110万円 = 基礎控除後の課税価格 390万円

基礎控除後の課税価格 390万円 × 税率 15% - 控除額 10万円

= 一般贈与税額 48万5千円

特例贈与の場合、満期保険金を500万円受け取った時課せられる税額は48万5千円となります。

満期保険金を申告しなかった時のリスク

もし満期保険金を受け取り年末調整は行ったものの、確定申告をしなければならないのにしなかった場合で税務署に指摘された場合、「無申告加算税」、場合によっては「延滞税」が課せられてしまいます。

また「無申告加算税」は納付するべき金額に対し50万円までは15%、それ以上には20%課せられます。なお、税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合には、この無申告加算税が5%に軽減されます。

「延滞税」は納付期限までに納付しなかった場合に課せられる税金なのでこちらにも注意が必要となってきます。

満期保険金の年末調整に関するまとめ

今回は満期保険金を受け取った時の年末調整、それに課せられる税金の種類とリスクについてまとめました。いかがだったでしょうか?

税務署は満期保険金を受け取ったとことを保険会社からの支払調書(「満期保険金を支払いましたよ」という書類)で知っているため、「無申告加算税」を課せられないよう必ず年末調整を行い、必要な場合は確定申告を行うように注意しましょう。

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