運用を求めてプライマリー生命の「しあわせずっと」に入ってはいけない

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運用を求めてプライマリー生命の「しあわせずっと」に入ってはいけない

   

プライマリー生命の外貨建定額終身保険「しあわせずっと」

三井住友海上プライマリー生命では、主に死亡保障のための生命保険というよりは、運用目的として増やすことを目的とした、変額保険や外貨建て保険を主に取り扱っているようです。

現在のマイナス金利の影響により、大なり小なり「リスク」を取らずには、運用益を確保することが難しくなっています。

積立金を契約者の責任のもとで運用させる変額保険や、為替変動リスクを契約者に転嫁する外貨建て保険など、リスク性生命保険はいくつか存在していますが、今回は、プライマリー生命が取り扱いしている外貨建定額終身保険「しあわせずっと」について解説してみたいと思います。

プライマリー生命の「しあわせずっと」の商品性

米ドル・ユーロ・豪ドルの3つの通貨のうちどれかを選択し、その時点での為替レートでその通貨建てで一時払い保険料を支払う、外貨建ての終身保険の仕組みになっています。(指定通貨での支払いも可。)

契約から10年間は積立利率が保証され、10年ごとに積立利率が見直しされ更改されていきます。

目標値設定タイプであり、一時払い保険料額に対して、「105%~200%」の範囲で増やす目標値を定め、各種手数料の差し引き後ならびに為替換算後の金額を毎営業日判定を行い、その金額が目標値に到達した時点で、為替変動がない「円建て終身保険」に自動的に以降することができます。

ちなみに、「しあわせずっと」と同じ仕組みでニュージーランドドルで運用する「しあわせずっとnz」については、「しあわせずっとnzは為替レートの乱高下に耐えうるか」の記事で詳しく解説しています。

各通貨ごとの積立利率

2017年12月22日現在、各通貨の契約から10年間の積立利率は以下の通りです。(契約日時点の被保険者のご年齢が0~80歳)

米ドル・・・年1.85%

豪ドル・・・年2.32%

ユーロ・・・年0.01%

10年間の拘束期間

保険期間中であればいつでも解約することで解約返戻金を受け取ることが出来ますが、10年未満での解約時には、市場金利の変動状況を反映させて計算した市場調整価格より、契約日からの経過年数に応じた解約控除額を差引いた金額になります。

つまり、余計な費用が差し引かれてしまい、金額が減ってしまうため、10年未満の解約が不利に働くことになります。

この不利を消し飛ばすほどの円安状況であればマイナスになることはありませんが、保険等仕組みを取っているため、無駄な費用がかかってしまうという認識が必要です。

急激な円高時に、不安になって保険を解約して辞めようとしても、円高によるマイナスに加え、無駄なコストによる影響をさらに受けるため、辞めるに辞められないという状況にもなりかねます。

為替手数料

円をドルに、ドルを円に、換金するときにそれぞれ0.5円、往復で1円の為替手数料がかかります。

そもそもの加入する主な目的

保険料の一時払い型であり、利率が高い外国通貨を用いるため、「運用」に主目的を置いた商品です。

「保険」と名の付く商品ではありますが、自分に万が一のことがあったときの「保障」のために加入することには適していません。

死亡保障目的であれば、「少ない費用で大きな金額」が生命保険の存在意義のため、加入時に巨額な資金を投じてしまう時点で、生命保険の合理性を欠いてしまっているからです。

あくまで主目的は運用として増やすことが狙いであり、保障は「おまけ程度」として考えられる商品です。

できるだけ少ない費用で、自分亡き後に家族が困らないようにお金を残すために加入するのが死亡保障目的の生命保険であり、残すべく金額がリスクによって変動してしまうのは、そもそもの加入目的にそぐわないでしょう。

運用商品としての価値

この商品に加入している方のほとんどが、積立利率が高い「豪ドル建」を選択しているようです。

それでは、豪ドル建を選択した際の、豪ドルベースでの10年間の利回りを試算してみます。

一時払い保険料:113,779豪ドル 10年後の解約返戻金:143,109豪ドル

年利回りを計算すると、(143,109豪ドル - 113,779豪ドル) ÷ 113,779豪ドル ÷ 10年 × 100 で、約2.58%となるようです。

保険と証券

「しあわせずっと」の豪ドル通貨での10年間を考えたときの年利回りは約2.58%でしたが、2017年12月22日現在において、オーストラリア10年国債の利回りは2.71%です。

保険でも証券でも、共通して為替変動リスクがありますので、円高になれば損に、円安になれば得になります。

同じ金額を支払って算出される利回りの差分の金額は、「ムダなコスト」であり、運用目的を考えるのであれば、より利回りが良いほうが適していると言えます。

銀行の窓口で契約するよりも、その足で証券会社に出向き、オーストラリア国債を買ったほうが良い訳です。

10年未満における換金がいつでもできる流動性を考えた場合にも、運用目的を主としている「しあわせずっと」を購入する合理的な理由はありません。

運用を求めてプライマリー生命の「しあわせずっと」に入ってはいけない、のまとめ

プライマリー生命の「しあわせずっと」は、銀行窓口商品としてかなり売れ行きが良いそうです。

しかし、多くの方が、「10年置けば必ずもうかる」と勘違いをされているようで、実際には為替変動により、どうなるかは誰にも分かりません。

保障と運用の両立は難しく、ただの運用と、保障が付いている運用では、そのパフォーマンス効率の差は一目瞭然です。

保障は保障、運用は運用、と切り分けて考えることが、両者のパフォーマンスを最適にすることでしょう。

参考:「しあわせずっと」について気になっている人におすすめの記事

三井住友海上プライマリー生命の「しあわせずっと」が気になっている人は、以下のような記事も併せてチェックしてみるのがおすすめです。

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