アフラックの給与サポート保険は支払いハードルの高さと高すぎる保険料ゆえ低評価

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子供のための貯蓄型学資保険の検討からドル建て保険の存在を知り、様々な保険を勉強してきました。複雑でわかりにくい保険に関する内容を少しでも理解しやすくなるためのブログです。

アフラックの給与サポート保険は支払いハードルの高さと高すぎる保険料ゆえ低評価

   

アフラックの給与サポート保険の評価

頻繁なCM戦略により、生命保険に「就業不能」という別角度から切り込んできたアフラック。

俳優の西島秀俊さんとお笑いタレントの渡辺直美さんをCMに起用し、「病気やケガで働けなくなったら・・・」と、見事に就業が困難な状態での収入減へのリスクに対する考え方を広める一役を担いました。

就業困難時における収入への備えとしての「給与サポート保険」は、その名称だけを聞いたら確かに安心だと思えるかもしれません。

しかし、就業困難と見なされるための条件が非常に高い上にず高すぎる保険料体系となっており、低評価を付けざるを得ない商品性になっています。

あのCMを見て、気軽に「働けなくなったらお金がもらえる」と、勘違いをして契約してしまうリスクすらあるこの保険について、解説してみたいと思います

短期保障と長期保障の2段階保障

給与サポート保険は、「毎月」給付金が支払われますが、短期回復支援給付金が支払われる短期保障と、長期療養支援給付金が支払われる長期保障の、2段階保障となっています。

短期保障については、「所定の就業困難状態」が続く限り、1回目~17回目までの給付、つまり最長17ヶ月間に渡って支払われます。

2回目から6回目の短期回復支援給付金は、就労困難状態の有無にかかわらず、生存している限り無条件で給付され続けますが、7回目以降は、「所定の就業困難状態」でなくなった場合には終了します。

長期保障については、17回目の短期回復支援給付金を受け取った翌月以降も「所定の就業困難状態」が続くことを前提として、保険期間が満了するまで毎月支払われ続けます。

長期療養支援給付金を保険期間に渡って一度も受け取ることなく保険期間が満了した場合には、長期給付無事故支払金として、長期療養支援給付金1ヶ月分の金額を受け取ることができます。

短期保障と長期保障の概念

会社員の方であれば、短期保障額を長期保障額よりも低く設定し、自営業の方は同額で設定するケースが一般的なようです。

これは、会社員の方であれば、病気やケガで出社できない状態が続いた場合に対して、公的保障の「傷病手当金」の支給を受けることができる一方、自営業の方には「傷病手当金」の給付がないからです。

会社員の方が、業務外の病気やケガの療養のために会社を継続して休んだ場合、4日目の休みから最長1年6ヶ月を上限に、標準報酬日額の3分の2の金額を、傷病手当金として受給することができます。

短期保障期間中は、この傷病手当金を考慮した上で、長期療養支援給付金額よりも短期回復支援給付金額を低く設定し、その分保険料を安くすることができるという理屈のようです。

傷病手当金の注意点

しかし注意すべき点としては、傷病手当金は給与のように「毎月」支払われるものではありません。

請求してから、2ヶ月~3ヶ月後になるケースが多く、会社によっては4ヶ月~5ヶ月後に振り込まれたという方もいらっしゃるくらいです。

いくら傷病手当金があるとはいえ、受け取るまでには申請からかなりのタイムラグがあるため、その期間中は収入減の生活を強いられ、貯蓄のいくらかの切り崩しが必要となるでしょう。

60日間の待機期間

短期回復支援給付金の給付が開始されるためには、「所定の就労困難状態」が「60日以上」継続していることが必要となります。

例えば、急性心筋梗塞で緊急入院しても、60日以内に退院し、仕事に復帰した場合には、給付金は1円たりとも支払われません。

有給休暇を使い果たし、傷病手当金をあてにしようにも振り込みまでに時間がかかります。

60日、2ヶ月間は意外と長い期間のため、この期間中の収入減に対する備えがこの保険にはありません。

他社の就業不能状態を保障する保険は、同様に60日間以上という条件があるものの、その60日間の治療費やその他雑費に備えて、一時金が支払われるタイプもあるようです。

 「所定の就業困難状態」とは?

自分が「働くことができない」と勝手に判断しても保険はおりません。

アフラックが定める「所定」の条件に該当していることが求められるのですが、この条件が非常に厳しいものとなっています。

アフラックのホームページやパンフレットには、「病気やケガで働けない場合」と記載があるのですが、詳細を読んでいくと、短期保障・長期保障で、それぞれ以下のような条件が求められます。

短期回復支援給付金

①もしくは②のa)もしくはb)いずれかに該当する状態

①入院・・・医師による治療が必要であり、かつ自宅などでの治療が困難なため、病院または診療所に入り、常に医師の管理下において治療に専念すること

②在宅療養・・・a)医師による治療が継続しており、かつ日本国内にある自宅など(障害者支援施設などを含みます)で、医師の管理下において計画的な治療に専念し、自宅などからの外出が困難な状態。b)所定の特定障害状態に該当した状態(障害等級1級・2級に相当する状態としてアフラックが定めた状態)

※精神障害や妊娠・出産などを原因とする場合を除く

長期療養支援給付金

①もしくは②のa)もしくはc)いずれかに該当する状態

①入院・・・医師による治療が必要であり、かつ自宅などでの治療が困難なため、病院または診療所に入り、常に医師の管理下において治療に専念すること

②在宅療養・・・a)医師による治療が継続しており、かつ日本国内にある自宅など(障害者支援施設などを含みます)で、医師の管理下において計画的な治療に専念し、自宅などからの外出が困難な状態。c)国民年金法で定める障害等級1級または2級に認定された状態

※精神障害や妊娠・出産などを原因とする場合を除きます

相当に重い就業困難状態が求められる

60日間の待期期間を超えるほどの、継続する入院が必要となる疾病、外出が禁じられるほどの医師の管理下における自宅療養、障害等級2級以上の障害状態。

どんな病気やケガが該当するのか、相当な重い状態に違いありません。

給付金を請求する際には、診断書の提出が求められますので、ありがちな「自宅療養と医師から言われたけれども自由に出歩けてしまう」といった状態では該当しません。

そもそも、自由に出歩けてしまえるような状態を、医師が「外出を禁じる」という趣旨の診断書を書くはずがありません。

なので、いざ加入したは良いが、ほとんどのケースが使わず終いに終わってしまう可能性が高い条件と言えるでしょう。

給与サポート保険の保険料水準について

傷病手当金のある会社員向けに、短期と長期で金額を変えるケースと、自営業者向けに同額で設定したケースで、保険料を見てみます。

保険期間・保険料払込期間:60歳 短期回復支援給付金月額:10万円 長期療養支援給付金月額:20万円

男性女性
30歳4,740円/月4,710円/月
40歳5,450円/月5,280円/月
50歳6,680円/月6,170円/月

保険期間・保険料払込期間:60歳 短期回復支援給付金月額:20万円 長期療養支援給付金月額:20万円

男性女性
30歳6,020円/月6,080円/月
40歳7,120円/月7,000円/月
50歳9,020円/月8,360円/月

死亡保障が無いにもかかわらず、この保険料水準は高額すぎると言えます。

死亡保障と給与保障をダブルで保障してくれる他社の保険であれば、月額20万円の保障内容で、30歳男性で,6,900円前後で、30歳女性で5,100円前後で加入できる商品も存在します。

アフラックの給与サポート保険は支払いハードルの高さと高すぎる保険料ゆえ低評価のまとめ

上記の説明の通り、給付金の支払い条件のハードルの高さ、そして死亡保障が無いにも関わらず高額な保険料水準を考慮すると、残念ながら検討する余地すらないと感じました。

憂慮すべき気になる点としては、テレビCMを見て、安易に「働けない」=「お金がもらえる」と勘違いをしてしまう人がいなければいいなと願うばかりです。

この保障に死亡保障が付いているのであればまた違った評価になるのですが、給与サポートという「就業困難状態」に限って保障するこの保険は、あまり価値がないでしょう。

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