満期保険金を受け取ったら確定申告は必要なの?わかりにくい制度を解説
目次
満期保険金とは?確定申告は必要なの?
満期保険金とは契約をしている養老保険や学資保険等の貯蓄性のある保険の保険期間が終了する(満期を迎える)ことにより支払われる保険金のことをいいます。(満期がくると支払われるという意味で国民年金のようなものと考えて頂ければ分かりやすいでしょうか?)
保険が満期を迎えるって嬉しいことですよね。何といっても待ちに待った満期保険金を受け取ることができますから、今から何に使おうと考えたり、次の保険の事も考えたりで忙しいと思います。が、そんな嬉しい気分に水を差すのがその満期保険金にかかる税金、一体いくら位の税金がかかるのでしょうか。
満期保険金を受け取った場合にも、確定申告が必要な場合と不必要な場合があります。今回はそんな満期保険金を受け取った時に確定申告が必要な場合と不必要な場合、それに課せられる税金の金額についてお話してきたいと思います。
満期保険金にかかる税金は?まず一時所得の計算式をみて見よう。
基本的に満期保険金や解約返戻金等は「所得税における課税所得の区分」の「一時所得」に分類されます。そのため満期保険金や解約返戻金等には一般的に所得税が掛かることになります。もちろん契約内容や受け取った満期保険金の金額によっては税金が掛からないこともありますので、その点については後々お話しできればと思います。
それではいったいどのくらいの一時所得の金額に対し所得税がかかってくるのでしょうか?まずは計算式と所得税の速算表を見ていきたいと思います。
一時所得の計算式
総収入金額(満期保険金) - 収入を得るためにかかった金額(支払保険料) - 控除額(最高50万円)= 一時所得の金額 × 所得税率 = 所得税の金額
所得税の速算表(平成27年分以降)
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
満期保険金に係る所得税の金額は上記の「一時所得の計算式」と「所得税の速算表」を使って計算をします。それでは具体的な金額をこの計算式にあてはめた時、どのくらいの所得税が課せられるのでしょうか?
具体例から見る満期保険金に課せられる所得税
ここでは具体例をもって満期保険金に課せられる所得税の金額を見ていきたいと思います。
【例1】満期保険金の受取額 100万円、支払保険料 96万円のケース
具体例1 | |
加入している保険 | 養老保険 |
契約者 | 30歳男性 |
満期保険金 | 100万円、20年 |
支払保険料、保険期間 | 4千円(月額)、20年 |
この具体例を計算式にあてはめ、どのくらいの所得税が課せられるのか計算してみましょう。
満期保険金 100万円 - ※支払保険料 96万円 - 控除額 50万円
= 一時所得の金額 0円
= 一時所得の金額 0円 × 所得税率
※月額4千円 × 12カ月間 × 保険期間20年 =96万円
このケースでは満期保険金から支払保険料を差し引いた金額が控除額50万円より低い為、一時所得の金額が0円となり、結果として満期保険金100万円を受け取っても所得税がかからなかったということになります。
次に一時所得が0円とならないケースについてみて見ましょう。
【例2】満期保険金 1,000万円、支払保険料 912万円のケース
具体例2 | |
加入している保険 | 養老保険 |
契約者 | 30歳男性 |
満期保険金 | 1,000万円 |
支払保険料、保険期間 | 38千円(月額)、20年 |
この具体例に計算式をあてはめ、どのくらいの所得税が課せられるのか計算してみましょう。
満期保険金 1,000万円 - 支払保険料 912万円 - 控除額 50万円
= 一時所得の金額 38万円
= 一時所得の金額 38万円 × 所得税率
※月額38千円 × 12カ月間 × 保険期間20年 =912万円
このケースでは満期保険金から支払保険料を差し引いた金額が控除額50万円より高い為、一時所得の金額が38万円となり、この金額を基準として所得税が課せられてきます。
※ただし一時所得の場合、所得税の計算において一時所得の半分が他の所得(給与など)と合わさって課税されます。
したがって、この事例の一時所得の金額38万円の場合課せられる所得税額は下記の通りとなります。
課税される所得金額 | 税率 | 課税される所得税額 |
195万円以下 | 5% | 9,500円 |
195万円超330万円以下 | 10% | 19,000円 |
330万円超695万円以下 | 20% | 38,000円 |
695万円超900万円以下 | 23% | 43,700円 |
900万円超1,800万円以下 | 33% | 62,700円 |
1,800万円超4,000万円以下 | 40% | 76,000円 |
4,000万円超 | 45% | 85,500円 |
年収4,000万円の方でも38万円の一時所得に課せられる所得税額は85,500円ということがこの事例からは読み取れます。
確定申告をする場合どこかに相談できる場所はあるのか?
確定申告が必要か不必要かの判断や課税区分の判断は一般の方には難しいと思います。そんな時税金について相談できる場所があると便利ですよね。それではどこに相談したらいいのでしょうか?
答えは簡単、「お近くの税務署」に相談窓口があります。私自身もアポイントメントなしでも新設に相談に乗ってもらえるため重宝しています。
また「税についての相談窓口」が国税庁のホームページに掲載されています。電話での相談も受け付けていますので相談してみてください。
満期保険金を受け取った場合、確定申告はするべき?
結論から言いますと、個人的には確定申告はするべきだと思います。それは確定申告をしなかった場合、当然のようにペナルティが用意されているためです。
具体的には、無申告加算税(収めた税金の金額が50万円以下の場合15%、それ以上の場合20%追加で課されます。)、延滞税(納付期限から納付するまでの期間に対し延滞税率が課されます。)などがペナルティとして用意されており、申告しなかったがためにさらに多くの税金を支払うことになってしまいます。
もちろん一時所得の金額が0円のケースなども考えられるため一概には言えませんが、せっかく満期保険金を受け取ることができる期間待ったのですから、無用な波風を立てる必要はどこにもありません。ペナルティを課せられない為にも確定申告は必ず行うようにしましょう。
満期保険金を受け取った場合の確定申告に関するまとめ
今回は満期の保険金を受け取った場合に課せられる税金について書かせて頂きましたがいかがだったでしょうか?
一時所得を受け取った場合でも、一時所得の金額によって課せられる所得税率も変わってきます。課せられる所得税が0円なんてことも(笑)
確定申告はお上にバレなければ税金を払わなくて済む反面、無申告がバレた瞬間のダメージが痛いものです。「あの時申告していれば…」と思わない為にも一時所得を得た時など確定申告は必ずするようにしましょう。