プルデンシャル生命の収入保障保険は時代に追いつけていない

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子供のための貯蓄型学資保険の検討からドル建て保険の存在を知り、様々な保険を勉強してきました。複雑でわかりにくい保険に関する内容を少しでも理解しやすくなるためのブログです。

プルデンシャル生命の収入保障保険は時代に追いつけていない

   

プルデンシャル生命の収入保障保険

残された家族のための生活費として、毎月毎月お給料のように遺族に支払われる収入保障保険ですが、今回はプルデンシャル生命の収入保障保険について解説したいと思います。

プルデンシャル生命の収入保障保険は「無解約返戻金型家族収入保険(高度障害療養加算型)」という名称で販売されています。

収入保障保険は、保険会社によって「収入保障保険」「家計保障保険」など色々呼び名がありますが、プルデンシャル生命では「家族収入保険」と呼称されます。

基本的な仕組みは他社と同様であり、被保険者が死亡・高度障害時に、年金という形で毎月保険金が支払われます。

独特な特徴としては、「高度障害時に年金月額が割増される」「短期払いができる」「就労不能を保障する特約を付加できる」の3点挙げられます。

プルデンシャル生命の収入保障保険の支給条件は「高度障害」のみ

本来、収入保障保険は加入時に設定した年金月額が、支給条件に該当した場合に支給されるものです。

プルデンシャル生命では、被保険者が会社所定の「高度障害状態」に該当したと認めた場合、高度障害年金に加え、「高度障害療養加算年金」として割り増しされて支給されるようです。

その加算割合は、加入時に定めた年金月額の50%、つまり、トータルで定めた年金月額の1.5倍の金額が支給されることになります。(10万円を定めていれば加算後に15万円、20万円を定めていれば30万円ということになります。)

一見、より手厚く保障してくれることはとても良い事と思いがちですが、その支給条件である「高度障害状態」とはいったいどのような状態を指すのでしょうか?

私がこの保険が時代に合っていないと感じるのは、この条件があまりに限定的すぎるためです。

プルデンシャル生命が定める高度障害状態とは?

簡単な言葉で要約すると、「日常生活にとても大きな支障をきたすレベル」ということになります。

詳しくは、次に挙げる7つのいずれかに該当する状態です。

1.両眼の視力を全く永久に失ったもの

2.言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの

3.中枢神経系、精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し終身常に介護を要するもの

4.両上肢とも、手関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの

5.両下肢とも、足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの

6.1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの

7.1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの

このような状態になってしまうリスクの予測は難しいですね。

国の障害年金があっても必要?

一般的に、どこの保険会社の収入保障保険でも、高度状態と見なされることで、生存している状態で高度障害年金が支給されます。

その上、国民年金保険料や厚生年金保険料を支払っている人なら誰でも支給対象となる、国が保障している「障害年金」(障害基礎年金/障害厚生年金)の存在も忘れてはいけません。

平成26年においては、障害年金の月額の平均受給額は77,829円という統計が出ています。(障害の程度が軽い3級の金額も含まれていますので、1級、2級であればもっと多い金額が支給されます。)この額が足りるのかどうかというと、障がい者の方々の意見を聞くと「なんとか生活できるレベル」とのことです。

また生活に窮する場合、生活保護費も支給されます。(貯蓄がある場合対象外)

国が保障している障害年金や生活保護制度の存在を加味した上で、果たして、プルデンシャル生命の「高度障害療養加算」に固有のメリットがあるのかどうかは、よく考えなければいけません。

プルデンシャル生命の収入保障保険は短期払いのデメリットが大きすぎる

短期払いとは、保険期間よりも短い期間でその保険期間分の保険料を支払い終えてしまうことを意味し、保険期間と保険料払込期間が同じものを全期払いと言います。

収入保障保険で短期払いを設定できる仕組みは、他社ではあまり見かけません。

早めに保険料を支払い終えてしまえば、以降の保険料を支払うことなしに保障を持てるというメリットがあります。

また、保険料を全期払いで設定すると、解約返戻金は全く貯まらない仕組みなのですが、短期払いを選択すると解約返戻金が発生するというメリットもあるのです、が・・・。

保険料支払額と解約返戻金のシミュレーション

プルデンシャル生命の資料をもとに、具体的に試算してみましょう。

契約年齢:35歳男性 保険期間:80歳 保険料払込期間:65歳 年金月額:30万円

保険期間をできるだけ長く、今回は80歳とし、保険料の払込期間は年金支給開始年齢の65歳としました。

月額保険料:39,420円 総保険料支払額:14,191,200円 65歳時解約返戻金額:7,614,300円

解約返戻率は約46.34%となりました。66歳以降は解約返戻金は減少していってしまうので、65歳時で解約するときがMAXで大きくなります。

短期払いのデメリット

上記の試算例で、気づかれた方もいるかもしれませんが、短期払いの最大のデメリットは「保険料」です。

全保険期間分を短めに支払い終える訳ですから、当然保険料は全期払いの保険料と比較すれば大きくなってしまいます。

上記の例ですと、支払期間を65歳で設定した際の毎月の保険料は、39,420円です。

果たして、この保険だけにこの金額を支払っていくというのはいかがでしょうか?

当然ですが、保険期間中に支払うことが困難になり、途中で解約してしまってもお金は1円も戻ってきませんので、ご注意ください。

短期払いをする際は解約返戻金を有効活用しよう

短期払い時の解約返戻金は、保険料の払い込みが終了して初めて発生します。

保険期間をできるだけ長く設定し、保険料の払込期間を短くし、払い込みが終わった時点で自ら「解約」手続きを行うことで、保険期間が満期になったと見なしてください。

もちろん、保険料の払い込みが終了した後に、解約せずに保障を持ち続けるという選択もできますが、解約返戻金は保険料の払い込みが終了した以降、徐々に「減っていってしまう」特徴があります。

払込期間を何歳までにするかは、保障が何歳まであったらいいか、と読み替えて決めることが重要です。

解約返戻率を上げる方法もなくはないが本末転倒

上記の例ですと、返戻率は約46%と半分も戻ってこない試算になりましたが、返戻率をもっと上げる方法があります。

それは、保険期間をできるだけ長くし、保険料払込期間をできるだけ短く設定することです。

上記の例では、保険料払込期間を65歳と設定しましたが、60歳や55歳と設定することで、その返戻率を上げることができます。

しかし、このやり方は、「解約」することを前提としているので、解約してしまうと保障は無くなります。

解約返戻金ばかりを重視してしまい、いつまで保障があればいいのか、といった本来の目的を見失わないでください。

プルデンシャル生命の収入保障保険は就労不能を保障する特約も

就労不能に対する保障を付加できるいくつかの特約をいくつかピックアップしてみます。

・無解約返戻金型入院特約(一時金給付型)
・無解約返戻金型手術給付特約
・無解約返戻金型がん入院特約
・無解約返戻金型先進医療特
・無解約返戻金型就労不能傷害特約
・無解約返戻金型就労不能傷害一時金特約
・疾病障害による保険料払込免除特約

など多くありますが、説明したい特約は下3つ、「無解約返戻金型就労不能傷害特約」「無解約返戻金型就労不能傷害一時金特約」「疾病障害による保険料払込免除特約」の3種になります。

というのも、それ以外の特約は医療保障の内容となっており、保険期間中に該当した場合のみで、満期が到達した時点で消滅してしまいます。

医療保険単体で準備したほうが保険期間も自由に設定できますので、あえて途中で消滅してしまう特約で医療保障を持つ合理性がないと考えます。

無解約返戻金型就労不能傷害特約と一時金特約について

他社の収入保障保険にも多くなってきている、働くことができない状態「就労不能状態」を保障するための特約です。

会社が定める所定の障害状態に該当した場合に、就労不能障害年金、特定障害年金、就労障害サポート年金、就労不能障害一時金といったものが支給されるようです。

就労不能障害年金・特定障害年金は、保険加入時に決めた年金月額が支給され、就労障害サポート年金は、決めた年金月額の30%の金額が支給されます。

就労不能障害一時金は、加入時に任意で金額を決めることができるようですが、詳細は直接ご確認ください。

それぞれその要件を見てみますが、共通条件としては、支給された以降の毎年の生存判定日に生存していることが必要です。

就労不能障害年金とは?

以下のいずれかに該当した場合に支給されます。

①国民年金法に基づいた障害等級1級または2級に認定されたとき(所定の精神障害状態Aに認定された場合を除く)

②つぎのいずれかに該当したとき

・所定の就労不能障害状態(別表13の状態1)に該当し、その状態が540日以上継続したと医師が診断したとき

・所定の就労不能障害状態(別表13の状態2)に該当したとき

③所定の高度障害状態に該当したとき

特定障害年金とは?

以下のいずれかに該当した場合に支給されます。

①国民年金法に基づいた障害等級1級または2級のうち、所定の精神障害状態Aに認定されたとき

②所定の特定障害状態に該当し、その状態が540日以上継続したと医師が診断したとき

就労障害サポート年金とは?

以下のいずれかに該当した場合に支給されます。

①被用者年金制度に基づいた、障害等級3級に認定されたとき(所定の精神障害状態Bは除く)

②つぎのいずれかに該当したとき

・所定の就労制限障害状態(別表15の状態1)に該当し、その状態が540日以上継続したと医師が診断したとき

・所定の就労制限障害状態(別表15の状態2)に該当したとき

就労不能障害一時金とは?

以下のいずれかに該当した場合に支給されます。

①国民年金法に基づいた、障害等級1級または2級に認定されたとき(所定の精神障害状態Aは除く)

②つぎのいずれかに該当したとき

・所定の就労不能障害状態(別表13の状態1)に該当し、その状態が180日以上継続したと医師にが診断したとき

・所定の就労不能障害状態(別表13の状態2)に該当したとき

③所定の高度障害状態に該当したとき

まとめると

非常に分かりにくい内容ですが、どの条件も「障害状態」であることが必要になります。

考え方としては、国が定める障害等級1級、2級、3級にそれぞれ該当するレベルと思われます。

特定障害年金に関しては、うつ病などの精神疾患が対象になっていること、その支給期間は生存していても3年になっていることは注意です。

疾病障害による保険料払込免除特約は適用条件が狭い

他社の保険と比べてみると、非常に「狭い」適用条件になっています。

疾病をもとに「障害状態」になってしまった場合にのみ、それ以降の保険料が免除されるという特約になります。

他社の保険にも同様に、保険料払込免除といったオプションを選ぶことは可能ですが、その適用条件は主に「特定疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中)」を条件にしているものがほとんどです。

プルデンシャルの保険料払込免除特約は、病気になっても免除されず、病気をきっかけとして「障害状態」ならないと適用になりません。

プルデンシャル生命の収入保障保険は時代に追いつけていないのまとめ

プルデンシャル生命の「無解約返戻金型家族収入保険(高度障害療養加算型)」は、昔はなかった商品ですので、ここ最近誕生した商品だと思われます。

他社で多く見られる「働くことができなくなったときのための保障」として発売したと思われますが、その適用となる条件が時代に合っているとは思えません。

支給条件が「障害状態」としているのは、いささか限定的すぎる感触を持ちました。

現在多く見られるこのタイプの保険は、特定疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中)といった、とかく日本人が罹患しやすい傾向にある疾病を対象としています。

「障害状態」と「特定疾病」、どちらをきっかけとして就労不能になるかは誰にも分かりませんが、どちらのケースがより「安心」できるか、といった点で検討してみると良いのではないでしょうか?

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