プルデンシャル生命の入院保険は他社にはない特徴があるが・・・
目次
プルデンシャル生命の入院保険は保障の決め方が独特
外資系保険会社プルデンシャル生命は、医療保険に全く力を入れていない会社として業界では有名ですが、医療保険が全くない訳ではありません。
今回は、プルデンシャル生命で取り扱っている入院保険に焦点を当てて、見ていきたいと思います。
プルデンシャル生命の入院保険は、一般的な医療保険に多い「入院日額いくらもらえるか」といった保障額の決め方ではなく、2日以上の入院をしたときに、「5万円」や「10万円」のように、もらえる金額を選択することから保障内容を決めていきます。
詳細について見ていきましょう。
プルデンシャル生命の入院保険の特徴
プルデンシャル生命で扱っている入院保険は、「解約返戻金抑制型入院保険(一時金給付型)」という商品になります。
一般的な入院保険は、「入院した日数 × 指定した日額」でもらえる給付金額が決まりますが、プルデンシャル生命の入院保険は、2日以上入院すれば、「20日分」もしくは「10日分」の給付金を、一時金という形で受け取ることができる特徴があります。
一時金として受け取ることができる金額を決めることで、「入院20日目以降」もしくは「入院10日目以降」の、入院した日数に応じてもらえる「入院日数 × 日額」の日額金額が決まることになります。
Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型の3種から選ぶことができますが、少々複雑ですので、詳細について見ていきます。
入院保険Ⅰ型
入院保険Ⅰ型:入院一時金
入院保険Ⅰ型は、2日以上の入院をすることで、「20日分」の給付金を、入院一時金という形で受け取ることができます。
5日目で退院しようが、10日目で退院しようが、20日分の金額をもらえます。
この入院一時金の金額を、最初に決めることで、以降の入院日額の金額が決まっていきます。
20日以内に退院をすれば、入院保険で給付される金額は、入院一時金のみとなります。
入院保険Ⅰ型:継続入院給付金
最初に20日分の金額を受け取ることができるので、この給付金は「20日目以降」も継続して入院をした場合に、受け取ることができる給付金になります。
一般的な医療保険である「入院日数 × 入院日額」の部分に当たり、入院日額の金額は、加入時に決めた入院一時金の金額に「0.05」を乗じた金額となります。
入院一時金を「5万円」と指定した場合には2,500円、「10万円」と指定した場合は「5,000円」の日額金額になります。
「入院日額 × (入院日数 - 20日)」という計算方法で、給付金額が決まります。
しかし、この継続入院給付金は、1入院で支払い限度が「40日まで」となっており、最初の20日とこの40日を合計した、60日目以降の入院は、給付金の対象となりませんのでご注意ください。(一般的な医療保険で見られる「60日型」のようなものです。)
入院保険Ⅰ型:三大疾病継続入院給付金
最近の医療保険で多く見られる、「がん」「心疾患」「脳血管疾患」の三大疾病で入院をした際にもらえる給付金になります。
継続入院給付金は、入院から60日目で給付がストップしてしまいますが、三大疾病での入院に限り、60日目以降は「入院日額 × 入院日数」分の給付金を受け取ることができます。
この給付金の計算方法は、「入院日額 × (入院日数 - 60日)」となっており、「無制限」で支給を受けることができます。
三大疾病を「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中」と病名を特定している医療保険が多い中、「がん」「心疾患(急性心筋梗塞は心疾患の1症例)」「脳血管疾患(脳卒中は脳血管疾患の1症例)」と、広めに定義しているところは評価できます。
入院保険Ⅰ型:終身タイプと定期タイプ
プルデンシャル生命の入院保険は、保障期間を「終身タイプ」もしくは「短期タイプ」どちらかを選ぶことができます。
「終身タイプ」は文字通り保障は一生涯になりますが、「定期タイプ」は注意が必要です。
「定期タイプ」は、自動更新型で最長80歳までとなっています。
保険満了日の2週間前までに、継続しない旨を保険会社に申し出ないと、自動的に更新となり、保険料はその更新時の年齢で再計算されてしまい、上がってしまうことにご注意ください。
入院保険Ⅰ型:死亡保険金と解約返戻金
保険料の払込方法を「短期払い」とするか「全期払い」にするかで変わってきます。
死亡保険金と解約返戻金は、「保険料の支払い期間中」は全くありません。
つまり、保険期間ずっと保険料を支払い続ける「全期払い」には、死亡保険金も解約返戻金もありません。
しかし、保険期間分を短く支払いきってしまう「短期払い」は、保険料の支払い期間中はどちらもありませんが、支払い終えると、死亡保険金・解約返戻金が発生します。
その金額は、加入時に定めた「入院一時金の金額と同額」になります。
入院保険Ⅱ型
入院保険Ⅱ型:入院一時金
入院保険Ⅱ型は、2日以上の入院をすることで、「10日分」の給付金を、入院一時金という形で受け取ることができます。
「20日分」となっている入院保険Ⅰ型に対し、Ⅱ型は「10日分」です。
入院保険Ⅱ型:継続入院給付金
10日目以降も継続して入院した場合の給付金です。
入院一時金額に「0.05」乗じた入院保険Ⅰ型に対し、Ⅱ型は「0.1」を乗じます。
入院一時金を「5万円」と指定した場合には5,000円、「10万円」と指定した場合は「10,000円」の日額金額になります。
「入院日額 × (入院日数 - 10日)」という計算方法で、給付金額が決まります。
1入院で支払い限度が「40日まで」となっている入院保険Ⅰ型に対し、Ⅱ型は「50日まで」と長くなっています。
入院保険Ⅱ型:三大疾病継続入院給付金
入院保険Ⅰ型と同じで、三大疾病での入院日数が60日を超えた以降に支給される給付金です。
給付金額の計算方法もⅠ型と同じで「入院日額 × (入院日数 - 60日)」、「無制限」で支給を受けることができます。
入院保険Ⅱ型:終身タイプと定期タイプ、死亡保険金と解約返戻金
入院保険Ⅰ型と全く同じです。
入院保険Ⅲ型
入院保険Ⅲ型は、Ⅰ型やⅡ型と異なり「入院一時金」が支給されるだけのシンプルな仕組みになっています。
継続入院給付金や三大疾病継続給付金はありません。
「終身タイプ」・「定期タイプ」や「死亡保険金」・「解約返戻金」については、Ⅰ型・Ⅱ型と同じ運用になります。
プルデンシャル生命の入院保険のその他の特徴
入院一時金簡易支払いサービス
医療保険を利用したことがある方はご存知でしょうが、給付金を請求するときは、退院後に医療機関から診断書などの書類を発行してもらい、それを保険会社に提出してから、給付金が支払われます。
つまり、治療費用をいったん「立て替える」必要があります。
プルデンシャル生命の、入院一時金簡易支払いサービスは、入院中に簡単な手続きだけで給付金を受け取ることができる仕組みです。
一時的とはいえ、財布からお金が出ていく訳ですから、手持ちがない場合や立て替えたくないといった方にはズバリマッチする仕組みと言えます。
給付されるのは「入院一時金」のみとなっていること、責任開始日から2年が経過していること、が条件になっていますのでご注意ください。
骨髄幹細胞採取手術における入院一時金の支給
白血病などの血液難病者への骨髄等の提供をするためには、骨髄ドナーとなり骨髄移植を行う手術を行う必要があります。
それは数日間の入院を伴うものですが、骨髄ドナーの入院は、治療を目的とする入院ではないため、入院給付金の対象外となっていないことが多いのが現状です。
プルデンシャル生命では、骨髄ドナーを希望される方の経済的な負担を軽減するため、この入院保険を「入院一時金」の支給対象と見なしています。
これが適用できるのは、保険期間を通して「2回」までとなっています。
最近では、プルデンシャル生命以外にも、この骨髄幹細胞採取手術を給付対象として見なす保険会社が増えてきています。
在宅ホスピスケアを支給対象
退院時に余命6ヶ月以内と診断されており、症状緩和を目的とし、医師の計画的な医学管理のもとで、医療機関以外で治療を行うこと、いわゆる、自宅療養を入院していると見なされます。
退院後も、入院日数としてカウントしてくれるというものです。
しかし、支給される日数は、「継続入院給付金」の支払い日数と通算されるため、Ⅰ型であれば「40日」、Ⅱ型であれば「50日」となっていることにご注意ください。
また、三大疾病の治療を目的とする入院の際は、退院後の翌日から「180日」が限度となります。
プルデンシャル生命の入院保険の保険料をシミュレーション
保障内容については上記の通りでしたが、保険料水準はどの程度なのか、入院保険Ⅰ型を、オリックス生命の医療保険「新Cureキュア」と比べて試算してみたいと思います。
オリックス生命の医療保険「新Cureキュア」は、三大疾病時の入院日数無制限、手術給付金(入院手術時:10万円 日帰り手術時:5万円)の条件になります。
契約年齢:35歳男性 保険期間・保険料払込期間:終身 入院一時金:10万円(入院日額5,000円)
プルデンシャル生命 入院保険Ⅰ型:月保険料2,760円
オリックス生命 新Cure[キュア]:月保険料1,730円
プルデンシャル生命の入院保険はオススメなのか?
プルデンシャル生命の入院保険は、デフォルトで「手術給付金」が付いておらず、手術時の給付金を希望する場合は、特約で別途付加する必要があり、付加した場合には保険料がその分アップします。
一方、シミュレーションで比較してみたオリックス生命の医療保険「新Cure[キュア]」は、主契約に手術給付金が付いており、なお、保険料もプルデンシャル生命の入院保険よりも安くなっています。
80歳まで保険料を支払ったと仮定すると、プルデンシャル生命の入院保険は、約55万円以上も高く保険料を支払うことになります。
毎月1,000円余計に支払い80歳までで約56万円余計に支払うことと、「10日もしくは20日分を一時金で受け取ること」「入院一時金簡易支払いサービス」「骨髄幹細胞採取手術」「在宅ホスピスケア」といった特有のサービスを比べてみた上で、価値があると思えば、検討してもいいでしょう。
個人的には、割安な保険料で負担も小さく、主契約に手術給付金が付いている、オリックス生命の医療保険の存在を知ってしまった以上は、「一時金を受け取れる」といった特徴のプルデンシャル生命の入院保険に、積極的に加入を検討する理由はあまりないという印象を持ちました。
今の医療保険が自分の意向を満たしているのかまずは確認を
世の中には様々な特徴を備えた医療保険が各社から多数発売されており、自分の意向を100%満たした保険をその中から選ぶことは大変な困難を伴います。「どんな保険が自分に向いているのかわからない」という方は、保険アプリで具体的な相談をする前に「保険偏差値」を使って、現在加入中もしくは検討中の保険が自分の意向をどのくらい満たしているのかチェックしてみるのも良いと思います。
プルデンシャル生命の入院保険は記事中で述べたような特色があり、保険料が割高であるという問題がクリアできるとすれば、入院時にとりあえず必要となる費用を一時金で賄うことができるという点で、検討の余地はある保険と言えます。
万が一の時にどのような保障が準備されていれば良いと思っているのかは一人一人が置かれた状況によって違うでしょうし、「どの事例が正解」ということもありませんが、「欲しい保障が準備できている」という状況が望ましいのは言うまでもありません。
保険偏差値では、周りの人と比較して自分の保険の買い方がどのくらいの立ち位置なのか、算出された偏差値によって知ることができます。「欲しい保障が保険によってどの程度カバーされているか」ということをスコア化できるわけです。様々なバックグラウンドを持つ保険加入者約100名以上のデータが偏差値算出の基になっているから、世間的な水準の中での自分の立ち位置を把握することができます。
もちろん偏差値が高ければ完璧な保険に加入できているという訳ではありませんが、自分にとって本当に必要な保障を知るためのスタートラインとして、保険偏差値を有効に活用してみるのも良いと思いますね。
プルデンシャル生命の入院保険は他社にはない特徴があるが・・・のまとめ
10日もしくは20日分の入院日数分を「一時金」という形で支給してくれる仕組みは、とても面白く、家計の助けになる仕組みではあります。
しかし、手術給付金が主契約に含まれておらず、特約という形で付加し、保険料を上げなくてはいけないような仕組みは、かなりのデメリットであると考えます。
面白い特徴や仕組みがあるにもかかわらず、個人的な感想はとしては、非常に「もったいない」保険だなという印象です。
ちょっと工夫するだけで非常に魅力的な商品性になる可能性を秘めているのに、肝心なところを外してしまっている保険かな、と現状としては個人的には検討には値しません。
しかし、可能性のある商品なので、今後の運用がどうなるのか、注意していきたいと思います。