個人事業主は生命保険料を経費処理できるの?
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個人事業主は生命保険料を経費処理できるの?
個人事業主が国に納める税金は大きく分けて、所得税、住民税、消費税、個人事業税の4種類あります。消費税以外のすべてに共通するのが「収入から経費を除いた所得額に対して課税される」ことです。
経費が増えれば納める税金の金額が減り、節税に繋がりますが、個人事業主の場合どこまでが経費として認められるのでしょうか。また法人では経費処理可能な生命保険料は経費処理することができるのでしょうか?
個人事業主は生命保険料を経費処理することができない!
個人事業主の生命保険経費化について、結論からいいますと「個人事業主は生命保険料を経費化することはできません。また同様に国民年金や国民健康保険の保険料も経費化することができません」。
基本的に経費処理することができるものは「業務上(事業に)必要な費用」であり、生命保険料や国民年金などは個人事業主の方のみかかる税金でないため経費処理することができません。(ただし法人の場合は保険料の損金算入(経費処理)可能)
ただ、個人事業主は事業上経費(損金算入)にすることはできないものの、一般の会社員と同様に確定申告で生命保険料控除(新生命保険料控除、介護医療保険料控除、新個人年金保険料控除の各々で最高4万円、合計で最大12万円)をうけることができます。
所得税の生命保険料控除
年間の支払保険料 | 控除額 |
20,000円以下 | 全額 |
20,000円超 40,000円以下 | 年間の支払保険料 × 50% + 10,000円 |
40,000円超 80,000円以下 | 年間の支払保険料 × 25% + 20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
住民税の生命保険料控除
年間の支払保険料 | 控除額 |
12,000円以下 | 全額 |
12,000円超 32,000円以下 | 年間の支払保険料 × 50% + 6,000円 |
32,000円超 56,000円以下 | 年間の支払保険料 × 25% + 14,000円 |
56,000円超 | 一律28,000円 |
具体的な数値で見る控除額
例えば年収500万円(所得税率20%、住民税率10%)、生命保険、医療保険、個人年金加入している場合で、それぞれの年間支払保険料が80,000円の場合
所得税の節税効果
a.新生命保険料控除額(生命保険) 40,000円 × 所得税率 20% = 8,000円
b.介護医療保険料控除(医療保険) 40,000円 × 所得税率 20% = 8,000円
c.新個人年金保険料控除(個人年金) 40,000円 × 所得税率 20% = 8,000円
所得税の生命保険料控除 節税額(a+b+c) 24,000円
住民税の節税効果
d.新生命保険料控除額(生命保険) 28,000円 × 住民税率 10% = 2,800円
e.介護医療保険料控除(医療保険) 28,000円 × 住民税率 10% = 2,800円
f.新個人年金保険料控除(個人年金) 28,000円 × 住民税率 10% = 2,800円
住民税の生命保険料控除 節税額(d+e+f) 8,400円
つまり各々の年間の支払保険料が80,000円の場合、最大で24,400円の節税することができます。
まとめ
経費化できる・できないの判断は難しいですよね。簡単にこれだけは覚えておきましょう。
個人事業主が経費化することのできるものは「業務上(事業に)必要な費用」です。
もし判断が難しいようであればお近くの税務署に尋ねるようにしましょう。もちろんお金に余裕のある方は税理士に相談してもいいかもしれません。税金に係ることのなので税務署の方もとても親身になって教えてくれます。