ドル建て保険の解約時期を考えるキーワードは「円安」と「2分割」
目次
ドル建て保険の解約時期について
ドル建ての保険は、高い予定利率のため、円建ての保険料よりも負担を抑えることができ、かつ、円建ての保険よりも貯蓄率が高い点で人気があります。
しかし、これらのメリットは全て「為替レートが一定である」という条件で成り立つもので、実際問題としては「為替レートは変動」します。
裏を返すと、為替レート次第では、メリットが消滅し、デメリットしかなくなるリスクも抱えています。
今回は、メリットを最大限享受し、デメリットをできるだけ受けないようにするため、為替レートを考慮しながら、その解約時期を考えてみたいと思います。
基本的には保険は解約しないもの
まずはじめに、保険は「解約前提」で加入するものではない、ということに触れておきます。
保険を解約すると、解約返戻金が貯まるタイプの保険であれば、それまでに貯まっているお金が戻ってきます。
保険料の掛け捨て型に抵抗がある方は、「お金が貯まる」という言葉を聞くと、ついつい飛びついてしまいがちですが、「解約」をしてしまうと、当然ですが保険が「消滅」することにご注意ください。
本来、保険は何かあったときに「安心」のために加入するケースがほとんどです。
解約することで、「貯まっているお金」と引き換えに、それ以降の「安心」がなくなってしまうことを案外忘れがちですので、加入前にはしっかりと目的を考える必要があります。
為替レートでドル建て保険の解約を考えるケース
為替レートが円高・円安どちらで解約を考えるか
ドル建て保険の場合、支払う保険料や受け取る保険金、解約返戻金は、為替レートにより変動します。
一般的に、為替レートが円高になっていくと、支払う保険料は「安く」なるが、受け取る保険金・解約返戻金は「少なく」なり、円安であれば、支払う保険料は「高く」なるが、受け取る保険金・解約返戻金は「大きく」なります。
保険料を支払い続けている最中であれば、円高で毎月の負担が軽くなっている段階で、解約を検討するのは合理的ではないでしょう。
つまり、為替レートにより解約の検討をし始めるのは「円安になり月々の負担が重くなってきた」ときになります。
為替レートが円安になってきた場合
例として、ソニー生命の「ドル建て終身保険」に「契約年齢:35歳男性 保険金額:100,000ドル 保険期間:終身 保険料払込期間:60歳」の条件で加入したと仮定すると、毎月の保険料は「176.2ドル」になります。
現在の為替レートが「1ドル=100円」と仮定すると、毎月の保険料は「17,620円」です。
為替レートが2倍、つまり「1ドル=200円」にまで円安になると、実際に支払う保険料も単純に2倍、「35,240円」となり、家計にかなりの負担を及ぼします。
許容できる為替レートの数値は、実際には人それぞれになるので、「為替レートがいくらになったら解約しましょう」とは論じることはできませんが、流石に2倍は厳しい数値でしょう。
そのため、ドル建て保険に加入する段階で、「為替レートがいくらまでなら耐えられる」という許容できるレートを決めて、加入することが重要です。
円安をうまく利用するために
支払う保険料負担が大きくなるため、「円安」にならないで欲しいと願うことが多いですが、もちろん「メリット」もあります。
それは、受け取る保険金・解約返戻金が大きくなることです。
この「円安」を最大限活かすには、保険を2分割して加入することをオススメします。
つまり、もし保険金額100,000ドルの商品を検討しているのであれば、50,000ドルを2本、計100,000ドルで加入する方法です。
ドル建て保険を2分割して加入するメリット
100,000ドルを1本加入するのと、50,000ドルを2本、計100,000ドルで加入するのでは、支払う保険料は変わりません。
分けるメリットは、「円安時に1本を解約し、1本を残す」といった選択肢を選ぶことができることにあります。
例えば、1ドル=200円まで円安が進んだ際、2本に分けてあると、1本を解約することで「円安で解約返戻金が大きくなるメリットを得る」ことと「1本分の保険料負担がなくなる」ことになります。
1ドル=200円と2倍になってしまっても、支払う保険料は1本分の2倍、つまり、100,000ドルを1本加入していた場合と変わらなくなります。
そのうえ、死亡保険金額についても、50,000ドル×200円で1,000万円と、1本分に加入していた場合と同額のお金が出ることになるので、「1本分の解約返戻金を手に入れた」分、お得になります。
ライフイベントに合わせてドル建て保険の解約を考えるケース
葬式代金、家族の生活費、子供の学費、結婚費用、住宅資金、車両購入費など保険に加入する目的は様々です。
しかし、ドル建ての保険は、これらの目的にはそぐわないと言われています。
それは、為替レートにより受け取る金額が変動してしまうからです。
受け取った金額が、これらの目的を満たすことができなかったとしたら、その保険は何のために加入していたのかと疑問視せざるを得ません。
どうしても加入するのであれば、月々の保険料負担は大きくなってしまいますが、保険料を支払う期間をできるだけ短く、5年や10年といった期間に定め、為替レートの影響をできるだけ受けないようすることが求められると思います。
ドル建て保険の解約時期を考えるキーワードは「円安」と「2分割」のまとめ
円安による保険料の負担を抑えるために、ドル建て保険を2分割にして加入することで回避することについて言及してみました。
1本で大きな保障額の保険に加入するよりも、分けて加入しておいたほうが融通が利きます。
販売側がこうした加入方法を提案してくれると安心できますし、仮にこうした提案がなかったとしても、自分で知っておけばうまく利用できるでしょう。