介護保険としての役割を果たすオリックス生命の介護前払特約
目次
オリックス生命の介護保険
高齢化の伸展の勢いが増す日本において、要介護認定者数は2017年5月末時点で全国で630万人を超え、介護に対する備えの必要性が高まってきています。
しかし、業界でも割安な保険料水準で知られるオリックス生命ですが、単体商品としての介護保険は残念ながら取り扱っていません。
この社会問題を踏まえ、オリックス生命では、介護の備えに対する保障意識の高まりに応えるべく、保険料の負担のない特約という形で、介護保障の取り扱いを始めました。
それが、「介護前払特約」です。
オリックス生命の介護前払特約
オリックス生命の介護前払特約は、同社で取り扱っている終身保険「ライズ」にのみ特約という形で付加することが可能です。
介護の中でも、特に重度の介護、公的介護保険制度における「要介護4」もしくは「要介護5」と認定されることで、支払事由を満たします。
加えて、「保険料払込期間が終了していること」かつ「被保険者の年齢が65歳以上であること」を同時に満たす必要があります。
「ライズ」を終身払いに設定している場合や、保険料払込期間内である場合、被保険者が65歳未満である場合において、「要介護4」と「要介護5」と認定を受けても、保険金の給付対象とはなりませんのでご注意ください。
この特約は、保険料がかからない特約となっています。
介護前払保険金額
死亡保険金額の「全部」もしくは「一部」を指定して請求することが可能です。
請求できる介護前払保険金額は、指定保険金額(死亡保険金額の範囲内で、最高3,000万円)から、オリックス生命所定の利息が差し引かれて支払いされます。
つまり、指定した金額から利息分が引かれるため、必ず指定した金額より少ない金額になってしまいます。
実際の試算の上で、どのくらいの金額になるか見てみます。
介護前払保険金額の試算
契約年齢:30歳男性 保険期間:終身 保険料払込期間:60歳 保険金額:500万円
死亡保険金額「500万円分」を介護前払いとして請求した場合
65歳・・・支払額約472万円(解約返戻金額約446万円) 80歳・・・支払額約485万円(解約返戻金額約475万円)
死亡保険金額よりも利息分引かれるため、500万円よりも金額が少なくなりますが、その時点での解約返戻金額よりも「多い」介護前払金額になります。
よって、解約して現金を手にするよりも、介護前払特約を請求したほうが多く金額をもらえることになります。
介護前払特約の請求者
介護前払特約を請求できるのは、基本的には「被保険者」に限ります。
しかし、重い寝たきり状態や認知症など、介護状態の程度によっては、本人が請求行為を行うことができないことも十分に考えられます。
その際には、「指定代理請求人」として指定されている方が代理で請求行為することが可能です。
この「指定代理請求人」について、適当に指定してしまっているケースが良くあります。(指定代理請求人がすでにお亡くなりになってしまっている身内の方になっていたり、指定代理請求人が被保険者本人という、よくわからない様態になっていたりするものもあります。)
いざというときに使えないことがないように、あらためて指定代理請求人が誰になっているかを確認しておくと、より安心です。
介護前払特約の中途付加
終身保険「ライズ」にのみ付加できる特約ですが、契約途中でいつでも追加で付加することができます。
現在ライズに加入していて、この介護前払特約が付加されていない方でも、いつでも付加可能です。
保険料がかからない特約ですので、付けておいて損はないでしょう。
保険担当者もしくはオリックス生命の問い合わせ専用窓口に電話することで、加入いただけます。
死亡保険金との重複不可
あらためて記述することではないかもしれませんが、すでに介護前払保険金として支払いを受けている金額分については、被保険者死亡時には、その分が差し引かれて死亡保険金が支払われます。
介護前払保険金額を死亡保険金「全て」と指定した場合、その後被保険者死亡の際には、死亡保険金が1円も支払われませんのでご注意ください。
そのため、より安心を求めるのであれば、終身保険「ライズ」の保険金額を高めに設定して加入しておけば、介護前払保険金として一部分を受け取ったとしても、十分な金額の死亡保障をその後残すことができるでしょう。
介護前払保険金請求の必要書類
介護前払特約を行使して、保険金を請求するには以下の書類が必要となります。
①要介護認定の結果について記載された介護保険要介護・要支援等結果通知書または介護保険被保険者証
②会社所定の様式による医師の診断書
③被保険者の住民票(ただし、会社が必要と認めた場合は戸籍抄本)
④被保険者の印鑑証明書
介護保険としての役割を果たすオリックス生命の介護前払特約のまとめ
重い介護状態で、死亡保険金額内で介護資金の支払いを受けることができるのは、仕組み的には役に立つと思います。
しかし、その支払事由が「要介護4」「要介護5」とかなり重い状態が求められるのは、少々厳しいと感じます。
認知症になってしまったとしても、「要介護2」といった比較的軽めの認定があり得ます。
できることであれば、比較的軽度な介護状態、「要介護1」や「要介護2」で保険金が支給される介護保険も他社には存在しています。
介護状態にご不安を感じるのであれば、この特約1本のみで介護の備えとして十分とは考えずに、「介護年金保険」や「介護一時金保険」といった、別の介護保険に加入し、保障を手厚くする必要があると感じます。