オリックス生命の低解約払戻定期保険「ロングターム7」は限られた前提でのみ検討できる

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オリックス生命の低解約払戻定期保険「ロングターム7」は限られた前提でのみ検討できる

   

オリックス生命の低解約払戻定期保険「ロングターム7」の歴史

今よりさかのぼること10年前、オリックス生命の低解約払戻定期保険「ロングターム7」は、すさまじい解約返戻率を誇る商品として話題になり、円建ての商品にも関わらず、その返戻率は「150%」を優に超え、死亡保障を兼ねながら老後資金の準備として活用できる仕組みの商品でした。

死亡保障と老後資金の準備を兼ねることができる商品は「終身保険」がありますが、死亡保障が「終身」ではない定期保険は、保険期間が一定期間となっている分、終身保険よりも割安な保険料での加入ができ、その上で返戻率もすさまじく高い数字を保障してくれていました。

しかし、2008年にロングターム7の商品改定が行われ、これほどの高い返戻率を確保することができなくなってしまい、次第にその認知度も薄れていきました。

今回は、オリックス生命の低解約払戻定期保険「ロングターム7」の商品性について触れ、どのような状況であればこの商品を検討する価値があるかどうかについて解説していきたいと思います。

低解約払戻定期保険「ロングターム7」とはどういう保険?

低解約払戻定期保険「ロングターム7」は、98歳保険期間の「全期払い型」の定期保険です。

2008年の商品改定までは「短期払い」が可能な仕組みでしたが、現在は「保険期間=保険料払込期間」の全期払いしか選択することができませんので、98歳払いとなります。

低解約払戻期間を、50歳、55歳、60歳、65歳、70歳まで選択することが出来ますが、契約年齢は15歳~65歳までとなっており、契約年齢によって指定できる低解約払戻期間が決められています。

解約返戻金が全くない定期保険ではないので、ある程度の解約返戻金を期待できる仕組みではありますが、最大でも100%前後までの解約返戻金しか戻ってきません。

短期払いが選択できたころは、それこそ解約返戻率が150%を超えるものがありましたが、短期払いができなくなってしまった現在においては、最大でも100%前後ほどしか解約返戻率がないため、魅力は愕然と下がってしまいました。

法人向けとしての低解約払戻定期保険「ロングターム7」

全期払いしか選択することができなくなってしまったため、この保険に加入するのに向いているターゲットは、法人向けとなっています。

法人契約であれば、保険料の半分が損金算入することができるため、利益圧縮による法人税軽減効果があります。

また、低解約返戻期間を決めることができるため、法人役員の優待退職金として受け取りたい年齢までを低解約返戻期間として定めることで、解約返戻金を退職金として充てることで、最大限の「節税効果」として加入される傾向にあります。

個人保険として見る低解約払戻定期保険「ロングターム7」

一般的に、終身保険はその貯蓄性を最大限活かすため、60歳や65歳払いといった支払い期間が選択されることが多いですが、全期払いしか選択できないため、保険期間である98歳まで支払い続けなければなりません。

短期払いと比較して、全期払いは保険料が安くなるため、少しでも保険料を下げたいといった場合に検討することになります。

そこで、低解約払戻定期保険「ロングターム7」が、同オリックス生命で取り扱っている終身保険「ライズ」と比べて、どの点に優位性があるのかを確認してみます。

低解約払戻定期保険「ロングターム7」は98歳までの全期払いのみとなっているため、終身保険「ライズ」に関しては「終身払い」を選択することとします。

また、低解約払戻定期保険「ロングターム7」は、解約返戻金の増加を一定期間抑えることで保険料を安くする「低解約返戻期間」を決めることができますが、今回の試算では、最大限「保険料を安くする」ことに主目的を置くため、低解約返戻期間は最長の「70歳」を指定します。(契約年齢30歳であれば、低解約返戻期間は50歳、55歳、60歳、65歳、70歳が選択できます。)

シミュレーションによる保険料の比較

契約年齢:30歳男性 死亡保険金額:500万円 月払いの条件で行います。

低解約返戻定期保険「ロングターム7」:保険料6,810円

終身保険「ライズ」:保険料6,715円

低解約払戻定期保険「ロングターム7」は、保険期間が98歳となっていることに対し、終身保険は「一生涯」の保障です。

その上で、一か月あたりの保険料の差は「95円」となっており、仮に80歳までの50年間支払い続けた場合、約6万円ほどの差になります。

シミュレーションによる解約返戻率の比較

低解約返戻定期保険「ロングターム7」は、低解約返戻期間を70歳までとしているため、71歳時点での解約返戻率は「101.7%」となります。

この71歳時点での解約返戻金は、以降どんどん下がっていき、参考までに75歳時点での解約返戻率は「99.9%」、80歳時点では「97.0%」、85歳時点では「92.6%」となります。

一方終身保険「ライズ」に関しては、解約返戻率が100%を上回ることはありません。

71歳時点での解約返戻率は「72.7%」、75歳時点で「71.7%」、80歳時点で「70.2%」、85歳時点で「68.1%」となります。

低解約返戻定期保険「ロングターム7」を検討する場合

死亡保障重視で保険に加入するのか、貯蓄性重視で保険に加入するのか、各々の価値観と照らし合わせて検討する必要があります。

死亡保障を重視する場合は、契約途中に「解約」は行わずに継続して保障を持ち続けることになるため、1円でも保険料負担が小さいものを選ぶべきでしょう。

契約年齢を30歳男性のケースで試算を行いましたが、これが仮に「40歳男性」の場合は、月の保険料の差は「200円」になり、年齢が上がるにつれてその差は大きくなっていきます。

貯蓄性重視で考える場合は、返戻率が高めである「ロングターム7」は選択肢の一つとして検討しても良いでしょう。

ただ、そもそも貯蓄性重視で考えるのであれば、終身保険を「短期払い」で契約するほうがパフォーマンスが高くなるため、「終身保険の短期払いでは保険料が高すぎる」かつ「将来解約前提で、できるだけ損をしたくない」といった場合においてのみ、低解約返戻定期保険「ロングターム7」を考える価値があると思います。

オリックス生命の低解約払戻定期保険「ロングターム7」は限られた前提でのみ検討できる、のまとめ

低解約払戻定期保険「ロングターム7」は、2008年に商品改定が行われる以前は、圧倒的な返戻率で猛威を振るっていました。

しかし、改定後の現状況においては、非常に限られた状況でしか検討に値しない商品に成り下がってしまった感は否めません。

全期払いしか選択できないという仕組みは、定年退職を迎え、年金生活で日々過ごさなくてはならない世代にとっては、死ぬまで保険料を支払わなければなりません。

収入がある段階で可能な限り保険料を支払ってしまい、保障だけを残す仕組みをできるだけ若い年齢で行っておいたほうが、後々苦労せずに済むでしょう。

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