ドル建て保険の見直しは「払済保険」の活用で損を防ぐ

ほけんケア~ドル建て保険も理解できた!保険について本気出して勉強した主婦のブログ

子供のための貯蓄型学資保険の検討からドル建て保険の存在を知り、様々な保険を勉強してきました。複雑でわかりにくい保険に関する内容を少しでも理解しやすくなるためのブログです。

ドル建て保険の見直しは「払済保険」の活用で損を防ぐ

   

ドル建て保険の見直し

現在加入している生命保険を解約して他の商品に切り替える場合、掛け捨て型の保険であれば解約返戻金がないため、今までの支払い保険料が無駄になることはありませんが(年齢の上昇により保険料が上がることはあり得ます)、終身保険や養老保険といった貯蓄性商品を見直す場合、解約返戻金は今まで支払ってきた保険料額を優に下回ってしまうことがほとんどです。

将来の資産形成や貯蓄目的で加入していた場合、損をしてしまっては何のために保険に加入したのか分かりません。

今回は、予定利率が高い商品であるドル建て保険について、見直しに伴う「解約」という手続きで損を被ってしまう手段ではなく、今まで支払ってきた保険料を無駄にせず、むしろ「得」をしてしまう見直し手続き「払済保険」について解説したいと思います。

払済保険について

「払済保険(はらいずみほけん)」という手続きは、それ以降の保険料の払い込みを「ストップ」し、手続き時の解約返戻金を「一時払い保険料」に充当し、今までの契約の保険期間を「変えず」に、保障額の少ない保険に変更できることを意味します。

簡単に言うと「保障額が減ってしまうけれども保険料を払うことなく保障を持つことが出来る」手続きです。

「解約」という手続きは、保険自体を辞めることになるので、その時点で貯まっている解約返戻金を受け取って終了となりますが、「払済保険」は、解約返戻金を受け取らず保障を残すことができます。

この払済保険のメリットは、保障額が減ってしまうながらも「保障を残す」ことができることにあります。

解約返戻金があることが前提となる手続きですので、掛け捨て型の商品ではこの手続きは行えず、貯蓄性商品、終身保険や養老保険、学資保険といった商品で行うことができます。

解約返戻金の推移

この払済保険の手続きを行った場合、解約返戻金は一時払い保険料に充当されるので、「一時払い」の終身保険や養老保険に加入したのと同等の効果が生まれます。

つまり、払済保険に切り替え以降、解約返戻金が「増え続けていく」という仕組みを持つことになります。

解約をしてしまうと、その時点での解約返戻金額しか戻りませんが、払済保険に切り替えると、年々解約返戻金が増えていくため、支払った保険料額まで貯まるのを待ってから解約してしまうことで、損失を回避できるというメリットがあるのが払済保険なのです。

なぜドル建て保険に払済保険なのか?

ドル建て保険は、この低金利時代の日本円建ての保険よりも予定利率が高く設定されているため、ドルベースでの数値ではありますが、返戻率が高い商品となっています。

ドル建て保険を払済保険に切り替えたとしても、契約当初の高い予定利率がその後も適用されるため、解約返戻金の増え率は依然として高い水準となる仕組みとなっています。

さらに、本来の保険を続けた場合の返戻率よりも、払済保険に切り替えた場合の返戻率のほうが「大きくなる」といった逆転現象を起こします。

これは、一時払い終身保険の解約返戻金のほうが、月払い・年払い終身保険の解約返戻金よりも大きくなるという理屈と一緒で、月払い・年払いの保険商品は、保険料払込期間に近い保険料が運用に回る期間が短くなってしまうからです。(保険料払込期間が仮に60歳であった場合、59歳のときに支払う保険料は1年ほどしか運用に回らないからです。)

返戻率と返戻金額

30歳男性の方が、60歳までの保険料払込期間でドル建て終身保険に加入し、毎月の保険料が100ドルだった場合に、60歳まで保険料を支払いきった場合の解約返戻率が「110%」だったとします。

毎月100ドル×12か月×30年間から保険料の合計は36,000ドルとなり、返戻率110%の場合の解約返戻金は39,600ドルとなります。

この方が45歳で仮に払済保険に切り替えた場合、60歳時点での返戻率が115%になる、というのが払済保険の例ですが、45歳までの15年間に支払ってきた保険料は18,000ドル(100ドル×12か月×15年)であり、解約返戻金は20,700ドルとなります。

ドル建て保険を払済保険にした場合の解約返戻金と解約返戻率の変化
保険料払込年齢累計支払保険料60歳時解約返戻金解約返戻率
30歳~60歳36,000ドル
(100ドル×12か月×30年)
39,600ドル110%
30歳~45歳
(払済保険に移行)
18,000ドル
(100ドル×12か月×15年)
20,700ドル115%

つまり、返戻率自体は大きくなりますが、実際の「金額」は、支払ってきた保険料に対しての返戻率のため、少なくなることにはご注意ください。

30年しっかりと続ければ解約返戻金は39,600ドルですが、15年で払済保険に切り替えた場合には解約返戻金は20,700ドルとなり、手元に返ってくる金額は当然ですが少ない金額となります。

賢いドル建て保険の見直し例

[契約年齢:30歳男性 保障金額:100,000ドル 保険料払込期間:60歳 60歳時点での解約返戻率:110%]のドル建て終身保険に加入していたとします。

15年後に払済保険に切り替えた場合、残る保障額(払済保険金額と言います)が50,000ドルになり、払済保険に切り替えた以降の60歳時点での解約返戻率は115%、ということが分かっている場合、見直しとしてどのような保障に切り替えると良いのでしょう。

一例ですが、保障額「100,000ドル」を減らしたくないという意向であれば、ドル建て終身保険の保障額を「50,000ドル」で、もしくは、円建て終身保険の保障額を「500万~600万円」で設定した保険に加入すれば、当初の保障額100,000ドル(日本円で約1,100万円)を変えることなく、同額の保障を持つことができるでしょう。

その上で、払済保険に切り替えたドル建て終身保険の解約返戻金はずっと増えていき、当初の返戻率よりも大きくなるため、「損」なく見直すことができます。

ドル建て保険の見直しは「払済保険」の活用で損を防ぐのまとめ

「見直し」=「解約」だけが唯一の方法ではありません。

貯蓄性商品は、掛け捨て型の保険よりも保険料が大きいため、今まで支払ってきた分を損してまで、となると残念な気持ちになってしまいます。

払済保険は、返戻率を当初よりも上げることができる仕組みでもあるので、ドル建て保険に加入している方の中で見直しを考えている方は、積極的に検討したい手続きです。

しかし、加入から年数があまり経過していない場合には、払済保険の手続きがとれないことが多いので、10年前後を目途に考えることをお勧めいたします。

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