「経済合理性が全くない」と評価せざるを得ないユニットリンク
目次
アクサ生命のユニットリンクの評価
アクサ生命で取り扱っている「ユニットリンク」という保険商品について解説していきたいと思います。
この保険は、死亡保障を確保しながら資産形成を図ることを目的とした商品であり、変額保険の仕組みとなっています。
マネーセミナーなどに出席すると、この商品を強く勧められるようです。(勧める旨みが何かあるのでしょうか・・・)
しかし、死亡保障と資産形成を同時に備える非効率性、圧倒的な高コストな仕組みなどから、私は入ってはいけない保険の一つとして評価しています。
ユニットリンクの商品性について確認し、どの点が問題なのかを明確にしてみます。
ユニットリンクの商品性
ユニットリンクは、いわゆる「変額養老保険」であり、保障期間は一生涯ではなく、保険期間を「何年」「何歳」と決めなければなりません。
アクサ生命が用意した10種類の特別勘定(投資信託)へ、毎月の保険料を自分の自己責任で振り分け、運用を行っていきます。
あくまで「投資」となるので、増えるかどうかは運用次第、運用がうまくいけばお金は増えていきますが、うまくいかなかった場合は損失を被ることになります。
しかし、死亡保障に関しては、指定した保険金額は保証されているため、運用がうまく言った場合には死亡保険金額も増えていきますが、運用がうまくいか無かった場合でも最低保証されています。
ユニットリンクの問題点1:死亡保障と資産形成の非効率性
死亡保障は最低保証されてはいますが、あくまで保険期間内での話です。
保険期間が満了してしまった場合には、その時点での運用結果による満期保険金が支払われて保険は終了します。
つまり死亡保障はあくまで「期間限定」となっており、一生涯の保障ではないことに注意が必要です。
また、保険期間内に仮にもし運用が非常にうまくいき、積立金額がかなり増えた場合に解約してしまうと、当然ですが「解約」ですでの、保険はその時点で終了します。
死亡保障と資産形成は、「解約」をもって両立しなくなることになります。
運用がうまくいかなかった場合
運用ですから、誰しもが増やしたいと思って始められます。
しかし、運用は将来のこと、どうなっていくかは誰にも分かりません。
仮に運用がうまくいかず、積立金が大きく減ってしまい、そのまま保険期間が満了した場合どうなるのか。
大きな損失を被った満期保険金が支払われて終了となります。
ユニットリンクの問題点2:圧倒的な高コストの仕組み
死亡保障と資産形成を1つの保険で行うのですから、支払っている保険料が、どの程度の割合で死亡保障と資産形成に振り分けられているかを見てみます。
保障の機能がある分、純粋な貯蓄商品と比べるとそのパフォーマンスが劣ってしまうのは自明の理ですが、保障に使われる割合を見てみることで、お得な商品なのかどうかを判断することができます。
アクサ生命のホームページより資料を抜粋して見てみます。
運用実績シミュレーション
<契約例>
30歳・男性/月払保険料:20,000円/基本保険金額:901万円/保険期間・保険料払込期間満了:30年満了/ 保険料払込方法:口座振替月払
※アクサ生命のホームページから抜粋
死亡保障に割り振られている割合
運用実績が0%だった場合において、30年間で保険料720万円を支払って、解約返戻金は558万円となっています。
つまり、差額の162万円が死亡保障に充てられていることになります。
30年間で162万円ですので、162万円÷30年間÷12か月より、毎月4,500円で30年満期の901万円の死亡保険に加入していたことと同義となります。
毎月の保険料のうち約4分の1の金額が、資産運用とは別の部分に使われていることになります。
高すぎる保険料
では、【30歳男性/保険期間30年/死亡保険1,000万円】の条件で、保険料の安さで定評のある、オリックス生命の定期保険「ブリッジ」に加入した場合の保険料を見てみましょう。
30歳男性月払い保険料:1,883円
1,000万円の保障を持つのに、オリックス生命では1,883円で加入できることに対し、ユニットリンクでは倍以上の4,500円を支払わなければなりません。
死亡保障と資産形成は切り分けて考えるべき
仮にですが、上記の試算に沿って、毎月20,000円の保険料を支払うのであれば、1,883円でオリックス生命の定期保険ブリッジに加入し、差額の18,117円で投資信託を始められたほうが良いと感じるのは私だけでしょうか?
20,000円のうちおよそ4分の1が投資とは異なる部分へ割り振られていることになるため、あえてバカ高い保険料を支払う経済合理性がないと思います。
投資信託であれば、積立NISAや確定拠出年金(イデコ)といった、生命保険料控除以上の節税効果がある手段が存在します。
ユニットリンクには万が一の保障があるとは言っても、期間限定ですし、運用がうまくいった際の利益確定のための解約を行ってしまえば、保障はなくなってしまいます。
死亡保障と資産形成を別々で備えておけば、このようなデメリットは回避できますし、何よりも運用パフォーマンスも段違いでしょう。
ユニットリンクのあえてのメリット
ユニットリンクのメリットをあえて挙げるとするならば、投資先の商品がアクサ生命で準備してくれていることでしょうか。
どこの何に投資したらよいか分からない、といった方には10種類ある中から自由に選択できるため、膨大な情報量の中から多大な苦労をかけて調べる必要がありません。
ただ、私はもし投資信託で迷ったら「世界経済インデックスファンド」にしておけば良いのではとは思いますが。
「経済合理性が全くない」と評価せざるを得ないユニットリンクのまとめ
今回は、ユニットリンクの評価としてあえて特別勘定の中身については触れませんでした。
それは、現在の運用がうまくいっていようが、将来の成果を保証するものではないからです。
それ以前に、高コストであり、「有期型」という仕組みが故に、死亡保障と資産形成の両立の限界、といった観点を鑑みると、積極的に検討する必要がないという評価をせざるを得ません。