プルデンシャル生命が代理店制度を採らない背景
目次
プルデンシャル生命の代理店
保険会社から委託を受け、保険会社に代わって保険を販売したり保全を行う生命保険代理店制度、近年その数は増加を一途をたどり、多くの生命保険会社が代理店に委託をしています。
委託を請け負う保険代理店は、一社だけの商品を扱う「一社専属」と複数の会社の商品を扱う「乗合代理店」が存在し、さらには銀行や郵便局などの窓口でも保険を販売するようになりました。
この時代の流れに逆行するのがプルデンシャル生命です。
プルデンシャル生命は、2保険代理店の委託を行っておらず、100%自社の社員のみで保険商品の販売を行っています。
今回は、このプルデンシャル生命が保険代理店制度を行っていない背景について考えてみたいと思います。
プルデンシャル生命とは
今でこそプルデンシャルという社名の知名度は増してきていますが、それでもまだまだ知らない方も多いので、簡単にどのような保険会社なのか触れておきます。
プルデンシャル生命は、アメリカ最大級の金融サービス機関プルデンシャル・ファイナンシャルの一員で、俗に言う、外資系保険会社の一つです。
1979年にソニーとの合弁で、ソニー・プルデンシャル生命として生命保険業をスタート、以降合弁が解消され、それぞれソニー生命とプルデンシャル生命とに分かれました。
後述する「ライフプランナー制度」と呼ばれる、質の高い生命保険のコンサルティングセールスが特徴で、多くの保険会社が採用するエリア制や職域制ではなく、契約者と担当ライフプランナーによる徹底した担当者制度となっています。
グループ会社として、2000年に経営破綻した協栄生命を買収し、商号を変えたジブラルタ生命などがあります。
生命保険の代理店制度のメリット
販売コストの削減
自社社員に一から営業ノウハウを習得させるには時間も費用も多大にかかり、かといって必ず成果を挙げることができる保証がありません。
販売自体を外部に委託してしまえば、そういったコストをあまりかける必要がなくなります。
また、生命保険の代理店制度に関しては、代理店側が保険を販売して初めて、手数料が保険会社から代理店側に支払われます。
そのため、例えば販売がはかどらなくとも、契約自体にコストはかからないため、固定費もかからないことになります。
販路の拡大
代理店へ販売の委託を行ったとしても、1社や2社程度しか委託できていなかったとすれば、その効果はほとんどありません。
また、極端な話、1年に1件しか保険を販売できない保険代理店だったとしても、1,000件の代理店に委託することできれば、販売数を増やすことができます。
委託自体に費用がかからないため、保険会社側にとっては、自社の商品を取り扱ってくれる代理店の数が増えれば増えるほど、販路が拡大できることになります。
プルデンシャル生命が保険代理店制度を行わない背景
ライフプランナー制度
プルデンシャル生命では、保険販売員を採用するうえで、営業力に長けた優秀な人材を厳選しています。
生命保険業界経験者は原則採用せず、異業種で活躍している人材をヘッドハンティングし、その中から幾度の面接クリアした人材に、イチから生命保険の基礎をたたき込みます。
元々異業種で活躍できるほどの人材のため、セールスの土台が確立されている上に、プルデンシャル独自の販売心理学を科学した営業手法を学ぶことになります。
つまり、人材育成のためにコストを惜しまず注ぎ込み、販売員の質を高めることを重視している会社と言えます。
ライフプランナーとは、彼ら保険販売員の呼称となります。
ライフプランナーの質
プルデンシャル生命のライフプランナーは、一つ一つの振る舞い、魅力ある人柄、質の高いコンサルティング力、があると言われており、ライフプランナーのトークを聞くと、生命保険の仕組みに感動し、この人から保険に入りたいと思うほどだと言われています。
(しかし、その話も今から10~20年前の話、採用ノルマの達成のために人をあまり選ばなくなってきており、現在はその質はかなり低下しているとの話をよく聞きます。)
プルデンシャル生命は、生命保険はそれを扱う人次第で良くも悪くもなると考えており、プルデンシャル流の保険に対する価値観を習得した人材でないと、自社の商品を扱うことができないと考えていると思われます。
CMや広告などによる宣伝活動を一切行っていない会社であり、ライフプランナー自身がいわゆる広告塔としての役目を果たすもの考えています。
プルデンシャル生命と販売代理店
プルデンシャル生命が販売代理店制度を行わない理由。
それは、人材育成にコストをかける風土であり、自社が認めた人間以外に保険を販売させてしまうことで、自社の価値が下がってしまうことを危惧しているのではないかと思っています。
つまり、販路を拡大すること以上に守りたい大切なものがあるのでしょう。
そしてそれは、単なる「ブランド戦略」に他ならないと思います。
プルデンシャル生命とジブラルタ生命について
余談ですが、グループ会社のジブラルタ生命との代理店委託契約について触れておきます。
勘違いをされていらっしゃる方が多いようですが、プルデンシャル生命は、ジブラルタ生命と代理店委託契約を結んでいます。
これは、ジブラルタ生命が募集代理店となっているのではなく、プルデンシャル生命が募集代理店となっているものです。
つまり、プルデンシャル生命を販売代理店として、ジブラルタ生命の商品を申し込みできるということです。
プルデンシャル生命の商品をジブラルタ生命で申し込みできることではありませんのでご注意ください。
プルデンシャル生命が代理店制度を採らない背景
プルデンシャル生命が代理店制度を採らない背景にはついて考察してみましたが、仮に代理店制度を利用したとしても、正直なところ、それほど効果があるとは思えません。
それは、圧倒的に商品力が他社と比べて劣っており、担当の質がどうであれ、最終的に重要なことは、「どのような保障にどの程度の保険料で加入できたか」も大切だからです。
他社の商品を比較しながら保険を検討できる代理店制度が普及しているこの時代において、プルデンシャルというブランドを守るが故に、どこまでいまの体制を継続していくのか、違った視点で見ものです。