国民年金保険料の未納は2年で時効となる、しかし…
目次
国民年金保険料の未納には時効が存在する
国民年金の保険料未納には2年という時効が存在しています。
会社員の方であれば、厚生年金保険料から国民年金保険料も合わせて給料から天引きされているため、あまり関係がない話かもしれませんが、国民年金保険料の支払いには時効があることはあまり知られていません。
国民年金保険料に関しては、自営業者の方、フリーター、無職の方などが大きく関係してくる話であり、国民年金保険料の納付率に影響してくるのは、こうした方々の行動です。
国民年金保険料の納付は、「2年間」という時効が決められており、時効を迎えると保険料を収める必要はなくなり、また、督促行為を受けることもなくなります。
「2年間」支払わなければ時効であれば、保険料を支払いたくない方にとってはこの上ないことですが、そうは問屋が卸しません。
今回は、国民年金保険料の未納に対する「時効」に焦点をあてて解説していきます。
国民年金に関する2つの時効:未納に関しての「給付」と「徴収」
国民年金に関する時効は、年金を受け取る期限となる「給付」に関する時効と、年金保険料を国が徴収できる期限となる「徴収」に関する時効が存在しています。
「給付」に関する時効に関しては、国民年金法『年金給付を受ける権利(当該権利に基づき支払期月ごとに又は一時金として支払うものとされる給付の支給を受ける権利を含む。第三項において同じ。)は、その支給事由が生じた日から五年を経過したときは、時効によつて、消滅する。』と定められています。
つまり、年金の受給権利があるにも関わらず、5年以内にその権利を行使しないと、受給できる権利を失ってしまうことになります。
「徴収」に関する時効に関しては、納付期限から「2年間」とされています。
納付期限から2年を過ぎてしまえば、国は未納分を徴収する権利を失うことになるのです。
国民年金保険料の未納に対する時効内の催告・督促
国民年金保険料の納付期限までに納めていない方に対しては、年金機構や、業務を委託された民間事業者によって、直接訪問や電話や文書が届くようになります。
保険料が未納の方には文書が届くことが多いようで、最初は「特別催告状」という文書が届くようになります。
保険料が未納となっているので支払ってくださいという注意喚起のような意味合いです。
それでも支払わない方には、「最終催告状」が届き、指定した期限までに未納分の保険料を支払わなければ、「法の定める滞納処分を開始します」といった文言が書かれています。
これまでの期間は、時効である2年以内に行われます。
国民年金の未納に関する時効内の最終督促状~督促状
最終督促状が届いてからも何かしらのアクションがない方に対しては、「督促状」が送られることになります。
この「督促状」が届いてしまったら、ずばり赤信号です。
「督促状」が届いてしまうことで、2年間という「時効」が中断してしまいます。
「2年間逃げ切れば支払わずに済む」と思っていても、この「督促状」が届いてしまった時点で時効が効力を持たなくなってしまうのです。
その上、今までの「特別催告状」「最終催告状」の時点では猶予されていた、年利14.6%の「延滞金」が課せられてしまうようになります。
国民年金未納者に対する時効内の行動1:差し押さえ
督促状が届いてしまった時点で、あなたの財産状況は、ある程度把握されていることになります。
最終催告状が発送された移行、あなたがどこに勤めていて、どれくらいの給料をもらっていて、どのくらいの資産があるのか、かなり念入りに調査されています。
その後は、給料を差し押さえられたり、口座を差し押さえられたり、換金可能な自宅のものが差し押さえられたりするようになります。
国民年金未納者に対する時効内の行動2:口座の差し押さえが一般的
給料そのものに関しては、最低限の生活を送るための措置として、差し押さえることができる金額が決まっているため、全て差し押さえられることはありません。
しかし、給料が振り込まれる口座に関しては、いくらでも差し押さえすることができます。
現代社会において、現金手渡しで給料をもらうケースは少なく、ほとんどが口座振込となっています。
給料口座であったとしても、いったん口座に入ってしまえば、役所はいくらでも上限なしに差し押さえすることが可能となってしまうのです。
国民年金未納者は時効内にアクションを!実家暮らしや結婚されている方は要注意
「最終催告状」には、「国民年金保険料の連帯納付義務者(世帯主や配偶者)がいる場合、その方の財産も滞納処分を受けます」とも書かれています。
つまり、あなたが未納分を支払わずとも、親や配偶者にその支払義務が発生してしまい、滞納処分を受けてしまうことになります。
一人暮らしのケースであれば、身内に迷惑がかかることはありませんが、国はそこまでやってくる姿勢であることを知っておくべきです。
国民年金保険料の未納は2年で時効となる、しかし…のまとめ
国民年金保険料の未納分は2年で時効となりますが、「督促状」の発送1本で、時効の効力を失います。
つまり、国のさじ加減一つで、いつでも時効をなかったものにすることができてしまう仕組みとなっています。
「時効」と聞くと刑事ドラマでよく聞いていたことを思い出しますが、刑事事件の時効も、殺人事件に関してはなくなりました。
国民年金に関する時効も、将来的にはもしかするとなくなるかもしれません。
支払うべきものはしっかりと支払っておきましょう。