プルデンシャル生命の米国ドル建リタイアメント・インカムは本当におすすめなのか?どういった方におすすめか?

ほけんケア~ドル建て保険も理解できた!保険について本気出して勉強した主婦のブログ

子供のための貯蓄型学資保険の検討からドル建て保険の存在を知り、様々な保険を勉強してきました。複雑でわかりにくい保険に関する内容を少しでも理解しやすくなるためのブログです。

プルデンシャル生命の米国ドル建リタイアメント・インカムは本当におすすめなのか?どういった方におすすめか?

   

プルデンシャル生命のドル建リタイアメント・インカムはおすすめ?

プルデンシャル生命のおすすめとしてドル建てリタイアメント・インカムという商品は、ネット上や雑誌媒体などで高い返戻率を有するという理由でおすすめである、という主張を良く目にします。

ドル建ての保険であるため、為替リスクという固有のリスクがありながらも、それを気にさせないほどの高い返戻率は、非常に魅力ある商品性と言えるでしょう。

そのため、プルデンシャル生命のライフプランナーも老後生活に向けた資金形成のおすすめ手段として提案し、多くの方が加入しているようです。

しかし、高い返戻率というのは「何十年かけて」の返戻率なのか、運用商品として見たときに、1年あたりにどれくらいの利回りを有する商品なのでしょうか。

今回は、ドル建リタイアメント・インカムが運用商品として本当におすすめなのか、どういった方におすすめなのか、を解説してみたいと思います。

日本円建ての養老保険/リタイアメントインカムの評判についてはこちらの記事から;
「プルデンシャル生命といえども養老保険の評判は「悪い」と言わざるを得ない」

ドル建リタイアメント・インカムとはどんな商品か?

「養老保険」の一種であり、一定期間の死亡保障と満期時に満期保険金がある商品性となっています。

商品名の通り、米ドルで支払い・運用・受け取りを行っていく仕組みであり、為替リスクという変動要素を抱えていますが、日本円と比べて相対的に高い金利水準の恩恵を受けることができるため、高い予定利率を有してます。

死亡保障に関しては、あくまで満期が来るまでの期間限定となっており、契約してから保険期間の半分程度経過すると死亡保険金が増えていくという特殊な仕組みであり、積立金が死亡保険金を超えてくると、積立金が死亡保険金額となり、最終的には満期保険金が支払われて終了となります。

満期保険金については、一括で受け取ることができるほか、5年・10年・15年・20年の「確定年金」、10年・15年・20年の「保証期間付終身年金」、10年・15年・20年の「保証期間付夫婦蓮生終身年金」(夫婦のうちどちらかが生存している限り、年金が支払われる)をそれぞれ選択することができます。

満期保険金を一括で受け取るよりも、年金受取りを選択したほうが、トータルで戻ってくる返戻率は高くなるため、状況に応じて選択することができます。

本当にプルデンシャル生命のオススメポイント?ドル建リタイアメント・インカムの返戻率について

それではプルデンシャル生命でおすすめポイントとして紹介される返戻率が実際にはどれほどのものなのかを見てみます。

仕組みやリスクについてよく理解せずにこの商品に加入してしまい、ご相談いただいた方からの保険証券などの情報をもとにしています。

【契約年齢:29歳女性 保険期間:65歳 基本死亡保険金額:20,000ドル 月払保険料:89.89ドル 満期保険金額:51,697ドル 保険料合計:38,832.48ドル 10年確定年金選択時:年金月額475.31ドル 年金総額:57,037.20ドル】

あくまで日本円ではなくドルベースでの数値となりますので、実際の日本円の支払金額や受取金額は、その時点の為替レート次第となりますので、正確なものではありません。

試算結果はドルベースですが、満期保険金を一括受け取りした場合の返戻率は「133.1%」、10年確定年金を選択した場合の返戻率は「146.9%」となります。

プルデンシャル生命のおすすめポイント?返戻率と利回りの違い

支払った保険料に対して150%近く返ってくると聞けば、誰しも非常に率が良いと感じるでしょう。

しかし、その返戻率は「何年かかって」の数値でしょうか?

何十年かけて150%の返戻率を実現するために、1年あたりどのくらいの利回りがある商品なのでしょうか?

返戻率と実際の利回りは異なるものです。

上記のケースで、1年あたりの利回りを求めてみます。

ドル建リタイアメント・インカムの1年あたりの利回り

満期保険金を一括受け取りしたときの返戻率「133.1%」は、保険期間「36年」かけての数値であり、10年確定年金を選択したときの返戻率「146.9%」は、保険期間36年に10年の年金受取期間を加えた「46年」かけての数値です。

「36年」かけて返戻率「133.1%」、1年あたりの利回りは、(133.1ー100)÷36年より「0.92%」です。

「46年」かけて返戻率「146.9%」、1年あたりの利回りは、(146.9-100)÷46年より「1.02%」です。

返戻率「133.1%」のドル建リタイアメント・インカムという商品は、1年でたった「0.92%」の利回りしかない商品なのです。

元本を損なうリスクのある金融商品として、1年でたった1%前後のパフォーマンスしかない商品は、正直な所、良い商品とは言えません。

言い方一つで良いイメージにも悪いイメージにもなる

1年あたりの利回りではなく返戻率を全面に出して商品アピールすること、レトリックと言いましょうか、誰しも「高い数値」と良い印象を持つでしょう。

この商品は1年で1%の利回りがある商品です、と言われても正直魅力は感じません。

しかしこの2つの数値は、どちらも同じことを意味しています。

見かけの数値だけでなく、本質を見抜く力が契約者に求められているのかもしれません。

その他ドル建リタイアメント・インカムのデメリット

この商品は、生命保険料控除において「一般生命保険料控除」に分類されます。

つまり、終身保険や収入保障保険といった保険商品と同じカテゴリーとなりますので、他に死亡保障の保険に加入している場合、ドル建リタイアメント・インカムの保険料分を保険料控除できないケースが非常に多いです。

一般生命保険料控除は、年間保険料80,000円を限度として、40,000円を上限に控除することができます。

年間80,000円という保険料は、月換算すると6,666円、ドル建リタイアメント・インカム以外に月約7,000円の死亡保険に加入している場合、それだけで上限に達していることになり、ドル建リタイアメント・インカム分の保険料は無駄になります。

つまり、保険料控除できないことがデメリットであると言えます。

プルデンシャル生命のドル建リタイアメント・インカムをおすすめできる唯一の層

プルデンシャル生命のドル建リタイアメント・インカムをおすすめできるという言葉よりも検討する余地があるという意味では、専業主婦の方(所得税が発生しない方)であれば、検討してみても良いと思います。

と言いますのも、後述する個人型確定拠出年金の節税効果は、専業主婦など所得税が発生しない方には所得控除するものがないため、意味がありません。

運用益が非課税、退職所得控除・公的年金控除を利用できる、といったメリットはありますが、節税効果がありません。

そういった意味では、ドル建リタイアメント・インカムを検討しても良いかもしれませんね。

ドル建リタイアメント・インカム以上におすすめの商品

利回り、保険料控除の観点を考えると、ドル建リタイアメント・インカムよりもはるかにおすすめできる商品を1つご紹介しておきます。

それは、「個人型確定拠出年金(iDeCo)」です。

国が老後生活のための資産形成の手段として推奨している私的年金であり、ドル建リタイアメント・インカムにはないメリットが多数あります。

加入者の意向に合わせて選ぶことができる投資対象が豊富にあるため、ハイリスク・ハイリターンの商品や、ローリスク・ローリターンの商品、中にはノーリスク・ノーリターンといった元本保証型の商品もあります。

個人型確定拠出年金は、誰でも加入できる上、拠出額が全額所得控除できる点、運用益が非課税である点、退職所得控除・公的年金控除などに該当する、といったドル建リタイアメント・インカムにはない、優れたメリットがあります。

個人型確定拠出年金のメリット

個人型確定拠出年金の最大のメリットは、拠出額が全額所得控除できる点でしょう。

一般生命保険料控除が最大40,000円しか控除できないことに対し、会社員の方であれば、年間27万6,000円も所得控除できてしまいます。

その節税効果だけを考えると、30年間続けたとして、120%にも及ぶ返戻率を同程度の効果があります。

プルデンシャル生命の米国ドル建リタイアメント・インカムは本当におすすめなのか?どういった方におすすめか?のまとめ

1年あたりの利回りがたった1%程度のリスク性運用商品は、残念ながら私には魅力に移りません。

他にもっと魅力的な投資商品があるからです。

会社員の方であればなおさら、まずは「個人型確定拠出年金」でしょう。

「個人型確定拠出年金」を始める前にドル建リタイアメント・インカムを契約するのは、優先順位が逆だと思います。

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