共済年金の廃止?!警察官等の公務員が注意すべきポイント
警察官等の公務員が所属する年金制度の変化
平成27年10月から、共済年金と厚生年金が一元化し、警察等の公務員の方々は加入する年金制度の仕組みが変わりました。
この一元化の要旨は、三階建てだった共済年金制度を、二階建ての厚生年金制度へ近づけるための措置であるため、これまで公務員の方だった方は、一部改正の際に注意するポイントがあります。
そこで今回は、共済・厚生年金の一元化に関する注意点について、順に紹介していきます。
共済年金の三階建て部分の変化
冒頭で述べたように、共済・厚生年金の一元化によって、三階建て部分の「職域加算分」が無くなり、その代替措置として「年金払い退職給付」が準備されることになりました。
この「年金払い退職給付」の主な役割は、公務に基づく負傷又は病気により障害の状態になった場合や死亡した場合に、公務障害年金・公務遺族年金を支給するためのものです。
言うまでもありませんが、消防士、警察官、自衛隊等の職業の方は公務上のリスクを伴うので、障害・遺族年金は必須だと考えられます。
したがって、「保障」自体はこれまでと変わりがありませんが、「保障」の中身が細かく変化していることになります。
共済年金と特定警察・消防職員の受給権
一般的に、国民・厚生年金制度の受給開始年齢は65歳からでしたが、共済年金に所属する「特定警察職員・特定消防職員」については、60歳から受給開始されていました。
一元化に伴って、この「特定警察職員・特定消防職員」の受給開始年齢は、65歳まで経過措置を経て繰り上げられることになっています。
この「特定職員」の部分は、「職域加算分」によって充足されていたため、今回の一元化に伴い、65歳以上の支給にまとめられたと言えます。
共済年金と年金計算式の変化
今回、「職域加算分」が「年金払い退職給付」に変化することによって、年金計算方式が「賦課方式」から「積立方式」に変化しました。
「賦課方式」とは、現役世代が退出世代を賄う方式でしたが、「積立方式」とは、自分自身が働いた分だけを受け取る仕組みになります。
この方式の変化に従って、「手当率制」から「標準報酬制」に、保険料率計算が厚生年金制度と同じになりました。
これまでは、「手当率制」に従って、一律25パーセントの掛け金率を支払ってきましたが、「標準報酬制」では、実際に支給された基本給及び諸手当などを基に、保険料(掛金)を算定することになります。
共済年金と遺族年金の変化
共済年金を対象とした遺族年金では、遺族年金の受給者が死亡していた場合、次の受給順位者が遺族年金を受け取れる「転給制度」が存在していました。
一元化に伴い、この「転給制度」は廃止されることになったため、現在共済遺族年金を支給されている方は注意が必要になります。
ただし、配偶者が死亡した場合における子供への受給権移動は、母と子が同じ受給順位なので、受給権が消失する心配はありません。
また、共済遺族年金に関わる「職域部分」については、平成27年まで「職域部分」の75%支給されてきましたが、平成46年までの経過措置を経て、50%に見直すことになっているので、後々減額されていくことに注意しましょう。
共済年金と警察等の公務員の関係
最後に、以上のポイントをまとめましょう。
①共済年金の「職域加算」が無くなっても、それを代替する「年金払い退職給付」が新しく創設されました。
②「特定警察・消防職員」でも、年金の受給開始年齢は60歳から65歳に、順次引き上げられます。
③遺族共済年金は、「転給制度」と「受給額」が見直されているので、現在共済遺族年金が受給されている方は、注意が必要です。
これからの共済年金制度は「職域加算部分」の廃止、また年金計算方式が変わったことで、これまでより将来年金額がもらえなくなる可能性があるので、早めのキャリア設計が必要になるでしょう。