口コミも悪くないあんしん生命の長生き支援終身が話題に上がりづらい背景
目次
あんしん生命の長生き支援終身の口コミ
東京海上日動あんしん生命で取り扱っている「長生き支援終身」は、ネット上の口コミや保険雑誌での評価も悪くなく、保険の仕組みとしてはむしろ優秀な部類に入ります。
一般的には「介護保険」の分野で語られることが多いのですが、死亡リスク、介護リスク、そして長生きリスクに対して備えることができる終身保険です。
にもかかわらず、それほど巷で話題に上がることが少ないという、数奇な運命をたどっています。
今回は、長生き支援終身の仕組みを簡単に解説し、なぜ話題に上がりづらいのかを推察してみたいと思います。
あんしん生命の長生き支援終身の仕組み
あんしん生命の長生き支援終身は、終身保険の仕組みに介護保障が加わった商品性となっており、公的介護保険による「要介護2」以上の認定で、死亡保険金と同額の介護保険金が支払われます。
終身保険のため解約返戻金が発生しますが、保険料払込期間中の解約返戻金を抑えた低解約返戻金型の仕組みであり、その分保険料を安くする仕組みがとられています。
商品名にあるように「長生き」リスクに備えるために、「健康祝金」を受け取るタイプを選択することができ、「70歳・75歳・80歳」 もしくは 「80歳・85歳・90歳」の年齢で、保険金額の「5%・5%・20%」の健康祝金をそれぞれ受け取ることができます。(健康祝金を受け取らないタイプも選択することができます。)
がん、心疾患、脳血管疾患の特定疾病で、所定の状態に該当すると、それ以降の保険料の払い込みが免除される「特定疾病保険料払込免除特則」を任意付加することができます。
これら特徴に関して個別に解説していきます。
あんしん生命の長生き支援終身の仕組み1:介護保険金給付基準
「介護保険」として一つの商品を評価する観点は、どのような状態で保険金が支払われるかです。
あんしん生命の長生き支援終身の介護保険金は、公的介護保険制度による「要介護2」以上の認定、もしくは、会社所定の要介護状態に該当し、かつ、要介護状態がその該当した日からその日を含めて180日を超えて継続したと、医師によって診断確定されたとき、それぞれの場合が条件となります。
この「要介護2」以上の基準は、介護保険の中でも一般的な基準であり、中には、「要介護3」や「要介護4」を求める商品や、「要介護1」以上を条件としている商品もあります。
しかし、前者に関しては、ハードルが高すぎるという点、後者の場合ですと、医療保険の「特約」としてだけしか付加できなかったり、他の商品とのセットでないと加入できないといった条件があるため、「要介護2」以上という条件は、非常にバランスがとれている基準だと感じます。
あんしん生命の長生き支援終身の仕組み2:低解約返戻金型
保険料を支払い続けている限りは解約返戻金が抑制され続けてしまう低解約返戻金型ですが、保険料の支払いが「短期払い」が可能ですので、保険料払込期間が終了すれば解約返戻金が途端に増えます。
そのため、保障を持ちながら老後資金の形成を図りたい方にとっては、役に立つ仕組みとなります。
また、当然ですが低解約返戻期間中に保険を解約してしまうと、支払ってきた保険料よりもかなり下がった金額しか戻らないため注意が必要です。
あんしん生命の長生き支援終身の仕組み3:健康祝金
「70歳・75歳・80歳」 もしくは 「80歳・85歳・90歳」の年齢でそれぞれ健康祝金を受け取ることができる仕組みですが、健康祝金アリタイプは、その分保険料が高くなってしまいます。
例えば、30歳男性・65歳払い・保険金額500万円・特定疾病保険料払込免除特則付加、の条件で、健康祝金アリ・ナシでそれぞれ保険料を試算すると、以下のとおりです。
健康祝金アリ・・・月14,820円 健康祝金ナシ・・・月12,320円
その差は「月2,500円」であり、65歳までの35年間で「1,050,000円」となります。
「70歳・75歳・80歳」でそれぞれ「25万・25万・100万円」の150万円を受け取ることができますが、それはあくまで「生きていたら」の話、105万円余計に支払って150万円を受け取ることができるかどうか、各々の判断が分かれるところでしょう。
あんしん生命の長生き支援終身の仕組み4:特定疾病保険料払込免除特則
長生き支援終身の特定疾病保険料払込免除特則は、一般的な保険料免除の仕組みとは異なり、保険料の支払いが免除されるだけでなく、免除される残りの保険料分の支払いが「行われた」と見なされ、その時点で一気に解約返戻金が立ち上がる特徴があります。
本来の保険料免除は、保険料の支払いが免除された以降は、保険料が「毎月(毎年)」支払われたと見なされ、実際に保険料を支払ったのと「同じペース」で解約返戻金が増えていきます。
長生き支援終身の場合は、「一気に」解約返戻金が増えるため、その時点で仮に解約をした場合には、その時点で残りの分を一時払いを行ったのと同程度の解約返戻金を手にすることができます。
また、特定疾病の定義を、「悪性新生物(上皮内新生物を除く)」のほか、「心疾患」「脳血管疾患」と、一般的に多く見られる「急性心筋梗塞」「脳卒中」よりも広くしていることも特徴的です。
その上で、「悪性新生物」に関しては医師の「診断確定」と一般的ですが、「心疾患」「脳血管疾患」は、20日以上の継続した入院のほか、治療のための「手術」を受けただけでも提供となるため、適用のハードルが非常に低く、嬉しい仕組みとなっています。
口コミがいいあんしん生命の長生き支援終身がそれほど話題に上がらない理由
商品の仕組みを見れば見るほど、非常に手厚く優秀な商品であるように私には思えます。
しかし、その商品性ほど話題にはあまり上がりません。
いくつかその理由であろう部分を推察してみました。
あんしん生命の長生き支援終身が話題にならない理由1:終身払いが選択できない
あんしん生命の長生き支援終身は、加入可能年齢が「15歳~69歳」までとなっています。
しかし、支払い方法が「終身払い」を選択することができず、最長で「79歳払い」までしか指定することができません。
介護保障の必要性は、若ければ若いほど低く、年配になればなるほど高まってきます。
介護保障が気になってくる年代(50代~60代)の方がこの保険に加入しようとしても、年齢の関係で非常に保険料が高くなるだけでなく、終身払いではなく「79歳払い」の短期払いしか選択することができないため、ますます保険料が大きくなってしまいます。
60歳男性の方が79歳払いで500万円の保険金額で加入しようとすると、月の保険料は35,280円となるため、年金生活時代に入った以降、この保険料を支払い続けていくことは非常に難しいのでは、と感じます。
あんしん生命の長生き支援終身が話題にならない理由2:介護保障の優先順位の低さ
年配の方であればあるほど保険料面で非常に厳しくなりますが、それでは若年層については、確かに保険料という点では、20代、30代から加入したほうが非常に安い保険料で加入できるというメリットはあります。
しかし、結婚され新しい家族生活が始まるこれらの年齢層にとって、介護保障の必要性の優先順位はどうでしょうか。
もちろん介護に対する備えができるに越したことはありませんが、介護よりもむしろ「医療」や「収入保障」といった保障目的が最優先されるべきであり、介護は「余裕があれば」という二の次となってしまう傾向があります。
そして、あれもこれもと保障を持とうとすると、途端に保険料が跳ね上がってしまうため、介護保障が削られてしまうという運命にあるのです。
あんしん生命の長生き支援終身が話題にならない理由3:介護保障と解約返戻金の相性の悪さ
支払っていく保険料が無駄にならずに貯まっていく仕組みは、保険契約者にとっては非常にありがたいことですが、介護保障と解約返戻金の相性はあまり良くありません。
と言いますのも、介護保障の必要性が高まってくる年配期に入り、自分が介護状態に対する不安を感じる段階で、わざわざ保険を解約してまで解約返戻金を果たして受け取ろうとするでしょうか。
介護が不安だから保険に加入したにもかかわらず、それを捨ててお金という選択肢を取るというのは、あまり合理的な選択肢ではありません。
口コミも悪くないあんしん生命の長生き支援終身が話題に上がりづらい背景のまとめ
あんしん生命の長生き支援終身の商品性については、口コミでもそう悪い意見もなく、私個人も非常に優れている素晴らしい仕組みだと思っています。
しかし、悲しいですが、私自身保険料負担を上げてまで介護保障を持とうとは思いません。
保険料という予算が決められている条件の中では、長生き支援終身はなかなか積極的かつ優先的に選ばれることは難しいだろうと思います。