国民年金を未納のままで結婚するとどうなる!?
目次
国民年金の未納分がある状態で結婚するとどうなるのか?
国民年金を未納のままで結婚した場合、その取り扱いはどうなるのでしょうか?
新しい未来に向かって輝かしい新生活がスタートし、夫婦で力を合わせて困難を乗り越えていく、結婚生活には夢が広がっています。
もし結婚前に国民年金の未納があるのであれば、夫婦で力を合わせなくてはならない最初の困難となるでしょう。
今回は、結婚前の国民年金の未納の取り扱いについて解説していきたいと思います。
国民年金の未納に関する取り扱い
まず、国民年金は20歳以上60歳未満のすべての方が保険料の納付義務を負うため、「未納」という状態はそもそも認められていません。
支払ったか、免除されたか、猶予されたか、必ずこの3つのうちに該当することになります。
このいずれかについて該当しない場合には、年金機構や業務委託された民間事業者から「支払ってください」といった旨の催告を受けることになります。
そして、度重なる催告に応じない場合には、一般的には「財産の差し押さえ」という強制徴収の手続きがとられ、無理やりにでも保険料を徴収されることになります。
結婚後の未納分の取り扱い
国民年金法第八十八条を抜粋します。
1 被保険者は、保険料を納付しなければならない。
2 世帯主は、その世帯に属する被保険者の保険料を連帯して納付する義務を負う。
3 配偶者の一方は、被保険者たる他方の保険料の連帯して納付する義務を負う。
つまり、今までは自分だけの問題で済んでいた未納問題は、結婚という「籍」を入れたとたんに、世帯主・配偶者がその未納分を支払う義務を負うことになります。
ご主人様が未納であった場合は奥様が、奥様が未納であった場合にはご主人様が、お互いの未納分を助け合って支払ってくださいね、というのが国民年金法で定められています。
扶養に入る主婦の場合
結婚されてご主人様の扶養に入る場合、ご主人様が「自営業者」である場合には、奥様にも国民年金保険料の支払い義務が発生し、ご主人様が厚生年金等の社会保険に加入されている会社員や公務員などの場合には、奥様は年金保険料を支払う必要はありません。
しかし、これらはあくまで結婚「後」の話、結婚「前」の未納分に関しての取り扱いではありません。
先ほど説明したとおり、結婚しようが、扶養に入ろうが、依然として「支払う・免除される・猶予される」のいずれかに該当しない限りは、結婚前の未納分は支払わなくてはなりません。
未納分の免除・納付猶予制度
経済的に保険料の納付が難しい場合には、保険料を免除してもらう、支払いを猶予してもらう制度があります。
免除・納付猶予が認められるためには、本人の「所得審査」があり、一定の基準に該当しない場合には認められません。
しかし、上記のように結婚することにより、この「所得審査」に関しても、自分だけの問題ではなくなります。
保険料免除制度は、「ご本人・世帯主・配偶者」各々の所得が、保険料納付猶予制度は、「ご本人・配偶者」各々の所得が、審査に考慮されます。
つまり、自分だけの所得だけでなく、配偶者の所得が考慮されてしまうため、よほど配偶者の年収が低くない限り、免除・納付猶予の適用が受けることは難しくなります。
未納を続けるとどうなるか
国民年金法で定められているように、自分が払わずとも、配偶者が納付義務を負ってしまいます。
つまり、未納のまま結婚し、そのまま未納の状態が続くと、自分が経済的に払えずとも、配偶者の財産の差し押さえに及ぶことになります。
これからの新生活に期待に胸をふくらませている最中、自分のツケの責任を配偶者が負ってしまうことになります。
出だしからこのような困難が訪れてしまうのであれば、幸せな生活どころではなくなってしまいます。
最終催告状に注意
国民年金の未納者には、年金機構や業務委託された民間事業者から、電話や封書で催告のアクションがあります。
まずは、数ヶ月に1回の頻度で、「特別催告状」という封書が届くことになります。
「特別催告状」を何度送っても相談もなく、支払いもなかった場合には、「最終催告状」というものが届きます。
これが届いてしまったら赤信号です。
自分だけでなく、配偶者の勤務先、年収、口座といった情報を既に年金機構側が把握していることになり、いつでも財産を差し押さえる準備ができている状態です。
やってはいけない「世帯分離」
世帯に入っている限り連帯責任となるのであれば、いっそ世帯を分離してしまう「世帯分離」という方法があります。
一緒に生活していても、住民票上で別の世帯となるため、本人のみの所得が審査されるため、未納分の免除や納付猶予を受けやすくなるというメリットがあります。
しかし、国民年金の支払いを免れたいという理由だけで世帯を分けてしまうことは、メリット以上にデメリットが大きいと思います。
新たに国民年金保険料の支払いが発生しますし(所得がなければ非常に低額ですが)、自治体によっては、夫婦で世帯分離を行ってしまった場合ずっと戻すことができなかったり、数年間は分離状態を維持しなければならない、といったルールを設けています。
また、配偶者控除として認めないという自治体や、会社の家族手当の給付条件に該当しなくなる可能性などもありますので、細心の注意が必要です。
国民年金を未納のままで結婚するとどうなる!?のまとめ
綺麗事ですが、国民年金の支払いは法律で定められている国民の義務であり、何とか頑張って支払っている人たちが大勢いるなか、自分だけ楽しておいしい思いをしようというのはあまり褒められたものではありません。
結婚を控えているのであれば、尚更パートナーに迷惑がかからないように、できる限り支払うことが求められます。
支払えずとも、免除や納付猶予が認められる可能性もあるので、「何もしない」ことが一番問題と思われます。
払うものはしっかりと払い、素敵な新生活を送っていただきたいと思います。