自衛官の年金事情は厳しい!?入隊する前に考慮すべきこと
年金制度から見る自衛官の働き方
一般的な自衛官の年金事情に対する理解は、国家公務員と共済年金に区分されるため、一見老後の安心が約束されているように思いがちです。
しかしながらその実態は、度重なる制度改正と働き方の特殊性から、早めにキャリア設計が要求される職業となっております。
そこで今回は、自衛官を志望する、また所属している方向けに、自衛官が所属する共済年金の特殊性について、いくつかポイントを挙げていきます。
自衛官の年金制度の改正について
平成27年の10月より、自衛官が所属する共済年金制度は、厚生年金制度に一元化されることによって大きく変化しました。
一元化による改正点はたくさんありますが、共済年金の「職域加算分」が無くなり、「年金払い退職給付」と呼ばれる三階部分が新設されました。
この「年金払い退職給付」は、従来型が賦課方式による計算方法だったのに対し、積立方式による計算方法になるため、財政の健全性が保たれる仕組みになっております。
自衛官の共済年金の受給資格について
自衛官が共済年金を受給する際には、他の公的年金制度の加入期間を含めて、25年以上の加入期間が必要でした。
しかし、平成29年8月1日からは、資格期間が10年以上あれば年金給付を受け取れるようになりました。
したがって、自衛官の方には「一般的特例」や「曹士特例」等の特別措置がありましたが、
それよりも緩やかな条件となっているので、受給資格が上記の10年で統一されていることに注意しましょう。
自衛官の年金と定年制について
自衛官の年金事情で最も考慮すべきなのが、自衛官の定年は一般の会社員より早いということです。
自衛官の定年は、「級数」や「陸軍、海軍、空軍」の所属によって細かく違いますが、一般的な会社員が60歳なのに対し、自衛官では54歳前後とされています。
この理由は、実務の自衛隊は非常に厳しい訓練を要し、有事の際の適切な行動を出せる限界年齢として、早期の定年制が準備されているようです。
したがって、公的年金制度の加入は60歳まで義務づけられているため、早期退職した後は、別途保険料の納付をしなければなりません。
自衛官の年金と転職について
自衛官から会社員に転職した場合は、共済年金制度から厚生年金制度へ移ることになりますが、この部分の年金受給はどのようになるのか、といった質問があります。
この場合は、共済年金と厚生年金の「併給調整」に当たり、しっかり計算されるので問題はありません。
一人一年金の原則を提示する方がおりますが、「併給調整」の対象にならないのは、「退職年金」と「障害年金」といったように、支給理由が異なるケースの時なので、誤解しないようにしましょう。
また、転職や定年による求職期間の際でも、年金保険料の支払いは発生するので、納付や猶予申請を忘れずに行う必要があります。
自衛官の年金加入は前もって準備が必要
最後に、以上のポイントをまとめましょう。
①共済・厚生年金制度の一元化によって、「職域加算」部分が無くなりました。
②自衛官の定年は早いので、60歳までの保険料と経済収入を準備する必要があります。
③転職・退職に関わる制度移行は、「併給調整」の対象になるので心配ありません。
自衛官は、定年制が早く訪れてしまう以上、一般的な会社員より65歳の年金受給が始まるまでの空白期間が長いため、キャリア設計をしっかり準備しておく必要があるのです。