JA共済の医療200日型で考える、1入院限度日の妥当な期間は?
目次
JA共済の医療共済は1回あたりの入院限度日数を決められる
農協が運営するJA共済の医療共済では主契約である入院について日額はもちろんですが、1回当たりの入院限度日数というものを決められます。
2018年6月現在、入院限度日数は60日型、120日型、200日型の3種類があります。
今回は200日型を基準にして、実際に保障が必要な期間はどの位が良いのか?を考えていきたいと思います。
JA共済の医療200日型は長期入院を想定したもの
この1回当たりの入院限度日数は、JA共済以外の生命保険会社が取り扱う医療保険でも複数の選択肢から設定できるのが一般的です。
医療共済を含む生命保険は特に「今後起きるかもしれない入院に備える」性質の為、選択肢が多岐にわたっています。
医療200日型は1回の入院が200日までならば入院日数×日額で支給される為、「長期入院になった時に家族の経済的負担を軽くしたい」という方に向いているといえます。
実際に200日入院する事態があるのか?
長期入院に備えるための医療200日型ですが、実際に入院したとして200日入院する事はどのくらいあるのでしょうか?
筆者は以前「膿瘍性S状結腸憩室炎」という便秘から来る腸炎で緊急入院しましたが、それでも28日間でした。
また、筆者の父親は「股関節炎」で入院(リハビリ含む)をしましたが、それも21日間でしたし平均でも40~50日程度とお医者さんは行っていました。
このように意外と200日にわたる入院というものはそもそも起こりにくいといえます。
3大疾病の際は長期入院になるケースも・・・でもちょっと待って
発病すると長期化しやすい疾病とすると3大疾病がすぐに思いつきますし、女優の川島なおみさんが患った胆管がんは比較的長期入院になりやすい疾病です。
しかしJA共済の医療共済には、そもそも「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中」で入院の場合には入院限度日数を無制限にするという規定が存在します。
つまり上に挙げたような疾病の場合、そもそも入院限度日数の設定を気にする必要が無いのです!!
保険料も医療200日型は高くなる
基本的に医療200日型と60日型ではそれ以外を同条件にした場合、やはり保障の手厚くなる医療200日型の方が年額20,000円程度掛け金も高くなります。
JA共済の医療共済は、掛け捨てなので実際に200日入院しないのならば掛け金が割高に感じる可能性もあります。
その面からも医療200日型を選ぶ理由はあまり多くないといえます。
3大疾病以外で200日入院した場合、実際に掛かる費用は?
先ほど3大疾病は入院限度日数が無制限になると書きましたが、逆を返すと「3大疾病以外の入院では入院限度日数の影響を受ける」ということです。
そこで実際にそのケースを想定して、出費を計算してみようと思います。
ここでは高額療養費を使用し、かつ事前に限度額承認証を取得した上で入院を200日間行い、医療費が60万円/月発生した現役世代(年収500万円)の方を想定します。
高額療養費の詳細については、厚生労働省HPをご覧ください。
年収500万円の方は高額療養費制度を利用すると、1か月の医療費は
80,100円+(医療費ー267,000円)×1%という計算式で算出されます。
200日入院→1か月を30日で6.6か月→ほぼ7か月として先ほどの式に当てはめると、」
1か月目~3か月目→80,100円+(医療費600,000円ー267,000円)×1%×3か月=250,290円①
4か月目~7か月目→多数該当の為、44,400円×4か月=177,600円②
高額療養費に含まれない病院食代→360円×3食×200日=216,000円③
①+②+③=643,890円がこのケースで実際に掛かった医療費となります。
※医療費の中に病院の食事代は含まれません。実際の出費はこの計算結果と異なる場合があります。
では、医療200日型からいくら下りるのか?
上記のケースにおいて、医療200日型で日額5,000円の契約の場合下りる共済金は、
5,000円×200日=1,000,000円となります。
1,000,000円ー643,890円=356,110円は手元に残り、プラスになります。
医療共済はあくまでも入院時の経済的現状維持を図る為の商品です。
現状維持で良ければ、200日入院したとしても643,890円÷日額5,000円=128日で黒字化。
つまり120日型でもほぼ出費はカバーされるのです。
医療200日型は個人の保障としてはオーバースペック
想定のケースは年収500万円の方でしたが、それを踏まえてもJA共済の医療200日型は個人向け共済商品としてはオーバースペックと考えます。
それならば、120日型や60日型にして浮いた分の掛け金を積立ておく等の対策で十分備えられるのです。
しかし医療200日型の加入の検討すべき人がいます。
企業の経営者向けとしてならば医療200日型は有効
それは経営者向けの保険、いわゆる事業保険としての提案の場合です。
法人の場合、法人名義で被保険者=経営者の場合は掛け金を損金算入する、つまり経費として計上できます。
そうする事で利益を圧縮し法人税負担を軽減するという方法は、事業保険としては一般的な手法です。
この用途ならば、医療200日型の活用度は高いと考えます。
保障は手厚ければ良いというものではない
これまでJA共済の医療200日型を題材にして、入院日型の日数についてご紹介してきました。
医療200日型は個人の方が加入するにはオーバースペックかつ掛け金も高くなるので、あまりお勧めできません。
本当に準備しなくてはならない金額はいくらなのか?を念頭に置きながら、医療保険加入の検討を行いましょう。