火災保険はぼやで使える?使えない?火事が発生してしまったら
火災保険が使える?使えない?ぼやが発生してしまったら
皆さん、今日本で年間に何件くらいの火災が発生しているかご存知でしょうか?
総務省が発表している平成28年のデータを見ると総出火件数39,111件もあったそうです。かなり多くないでしょうか?1日100件以上のぼやや火災が発生している計算になります。
出火原因を見ると「放火」「たばこ」「ストーブ」「コンロ」など様々です。自分で火を出してしまう事もあれば、逆に隣から類焼するリスクもあります。
あなたの身の回りでもいつ火災が発生するかわからないと言うことですね。そんな時に頼りになるのが火災保険ですね。ただ状況によっては保険が使えない事もあるようですので今回はぼやや火災が発生したらどうなるのか詳しくお伝えしたいと思います。
失火責任法とは?
通常、民法709条で「故意または過失によって他人の権利を侵害したる者はこれによって生じたる損害を賠償する責めに任ず」と定められているように、人に迷惑をかけた場合、賠償しなければいけないと言う責任を負っています。当然ですよね。
しかし火災に関しては「失火責任法」と言う別の法律があり、「民法709条の規定は、失火の場合には適用しない。ただし、失火者に重大な過失があったときは、この限りでない。」と定められています。つまり火災で迷惑をかけても賠償はしなくてもいいということなのです。
逆にもらい火しても賠償してもらえない事になりますので、自分で火災保険をかけて備えなくてはいけないという事ですね。
ただ気になるのが「重大な過失があったときは・・・」と言う一文です。賠償しなければいけなくなる可能性があるこの重過失とはどのような状況を指すのでしょうか?次の章で過去の判例などお伝えします。
重過失とは?
実際に重過失と判断された過去の判例です。
- 台所のガスコンロに油の入った鍋をかけたまま、台所を離れたために過熱された油に引火し、火災が発生した例(東京地裁昭和57年3月29日判決)。
- ストーブから75cm離れた場所に蓋をしていないガソリンの入ったビンを置き、ビンが倒れて火災が発生した例(東京地方裁判所平成4年2月17日判決)。
- 石油ストーブに給油する際、ストーブの火を消さずに給油したためストーブの火がこぼれた石油に着火して火災が発生した例(東京高裁平成15年8月27日判決)。
要するに「わずかな注意さえすれば、容易に火災を予見、防止できるのに非常識な行為をした場合」が重過失と判断されてしまうようです。上の例を見ると余程の状況でなければ重過失とは言われないですね。
重過失と判断されてしまうと賠償責任が発生する事に加えて、加入している火災保険も使うことができなくなってしまいます。約款上の免責といって保険金を払わない場合のなかに重過失の記載があるのです。
という事は重過失に該当しない状況であれば火災保険が使えると言うことになります。(他の免責項目に該当しなければですが・・・)そう考えると重過失となってしまうぼやや火災はそれほど多くないと思いますのでちょっと安心ですね。
火災の規模によって保険が使えない事はあるの?
よく質問をされますが「保険を使えるか使えないか」という事に関して火災の規模は全く関係ありません。たとえ小さなぼやであっても損害が出ている場合は保険が使えるのです。
実際に火災が発生した場合、建築業者に修理の依頼をすると思います。業者は焦げてしまった壁紙やフローリングなどを修理する見積もりを作ります。
最終的に保険会社や鑑定人などがその見積もりの内容を確認して認定すればその金額が保険金として支払われるのです。
火災保険はぼやで使える?使えない?に関するまとめ
最終的には出火の原因など細かい状況によっては火災保険を使えるケースと使えないケースがあると言うことですね。
テレビなどで何気なく見る火災のニュースですが、ぼやや火災にあった方がその後保険が使えたのかな?と考える方はあまり多くないかもしれません。
そんな目線でニュースや新聞記事を見ると違った見方ができるかもしれませんね。