無茶をしすぎたアリアンツ生命の投資型年金は契約者には有利?

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無茶をしすぎたアリアンツ生命の投資型年金は契約者には有利?

   

アリアンツ生命の投資型年金

アリアンツ生命は、日本ではあまり知名度は高くないですが、ドイツ最大の保険会社アリアンツ・グループの一員であり、ヨーロッパでは最大級の金融機関の一角です。

日本においては2008年に生命保険業を開始しましたが、市場規模の縮小などを理由に2012年を持って新規の契約募集の停止を発表、現在は既契約の保全のみを行っており、事実上日本市場からは撤退している状況です。

一時払変額年金保険が主力の商品であり、死亡保険金=一時払保険料額が最低保証されており、特別勘定という名の投資信託に投資を行い、年金受給するための原資を運用により増やす目的の商品となっています。

この商品は販売窓口によって名称が変わるため、投資型年金という商品名のほか、「エルデ」「ステップマイスター」「バウム」「しあわせのタネ」「クラフトⅡ」「ステップビジョン」などの名称の商品は、中身はこの投資型年金と同様なものになります。

今回は、そんな現在は新規契約ができないアリアンツ生命の投資型年金について、契約者には有利である元本保証という点から解説してみたいと思います。

投資型年金の特徴

一時払変額年金保険のため、一時払保険料を支払い、手数料として支払い保険料の5%分が差し引きされた金額が「年金原資」となり、運用がスタートします。

毎日運用されていく年金原資は、105%~150%までの範囲内で、5%刻みの額に到達した場合、その額の死亡保険金額が以降下がることなく保証され、また年金原資もいったんその額に到達すれば、以降運用がうまくいかなくても下がることはありません。

運用期間は最短10年間で、年金支払い開始日時点での積立金額が年金原資となり、終身年金や確定年金を選択することで年金受給していく流れになります。

投資型年金の運用対象

グローバルバランス型(C001H)という商品で運用を行っていくことになります。

運用方針は以下のようになっています。

「主として国内外の債券ならびに円建の短期金融資産を投資対象とする投資信託証券への分散投資を行い、リスクを軽減しつつ、安定した運用成果の確保および中長期的な特別勘定資産の成長を目指して運用を行います。運用にあたっては、主として実質的に国内外の株式および債券に投資する(収益期待試算)と主として実質的に円建の短期金融資産に投資する部分(リスク回避試算)の配分比率を定期的に見直すことにより、特別勘定資産のボラティリティを4%(年利)に保つことを目指します。」

投資型年金の運用状況

2009年8月にこの商品がスタートし、翌月のリーマンショックの発端があったため、非常にスタートタイミングが悪く、運用も低迷を続けていたようです。

開始日のユニット価格を100としたときに、2011年11月には価格92.42まで下がりました。

しかし、その後は運用も順調に運び、2014年12月には価格114.65まで復活し、2018年2月9日現在その価格は107.68となっています。

年金原資は105%~150%の範囲で、5%刻みの額に到達すれば、以降は額が減ることはありませんので、最も高い価格114.65に到達した段階でスタートから5%刻みの額に到達していれば、現在価格が下がっていますが、この金額が保証されることになります。

諸費用

契約初期費用:一時払保険料に対して5%

保険契約関連費用:特別勘定の資産総額に対して年率2.65%

資産運用関連費用(信託報酬など):信託財産に対して年率0.20358%以内

初期費用で5%を取るにもかかわらず、毎年約3%近い手数料を抜かれていると考えると、割高感があります。

この保険に思うこと

すでに販売停止となっているこの商品ですが、今までの運用状況が分かっているという前提で評価すると、かなり保険会社に無理が生じている保険、つまり契約者にとってはかなり良い保険に映ります。

年金原資と死亡保険金が、運用が結果的にうまくいき、リーマンショック時のダメージをリカバーするくらいにまで回復しているため、スタート時の年金原資に対して105%~150%の範囲で、5%刻みの金額にいったん到達してしまえば、その金額が年金原資としても死亡保険金として保証されてしまうというのは、運用に不安を感じる契約者にとっては非常に喜ばしいことであり、保険会社にとっては不利でしかありません。

リーマンショック手前のスタートという販売タイミングが非常に悪かったこと、最も高い金額に到達した金額を最低保証してしまうということ、保険会社側が販売を停止する決断をしてしまったことも分からなくもありません。

仮に運用がスタート時から全くうまくいかずマイナス運用だったとしても、死亡保険金・年金原資ともに、一時払保険料と同額を保証してくれているという仕組みは、無茶すぎると思います。

現在市場にはびこっている変額年金保険のほとんどは、年金原資まで保障してくれるものはありません。

無茶をしすぎたアリアンツ生命の投資型年金のまとめ

もし現在加入されていらっしゃる方がいれば、年金開始まで大事に温めておきたい一商品です。

費用が若干割高な面は否めませんが、いわゆる「元本保証」の投資商品といっても過言ではないからです。

ただ保険商品ですので、スタート時期、運用状況次第では、途中解約した場合の損失のリスクがありますので、解約をもし行う場合には現状がどうなっているかをしっかりと確認した上で行いましょう。

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