プルデンシャル生命の掛け捨て保険「就労不能障害保険」を斬る
目次
プルデンシャル生命の掛け捨て保険
外資系保険会社プルデンシャル生命では、外資系らしいドル建ての保険商品を販売していますが、当然、一般的な円建ての保険も取り扱っています。
貯蓄性のある終身保険や養老保険、掛け捨て型である家族収入保険や定期保険、医療保険やがん保険などがあります。
今回は、掛け捨て保険の中から、その歴史がまだ浅い商品「就労不能障害保険」について解説してきたいと思います。
プルデンシャル生命の就労不能障害保険のリリース
プルデンシャル生命の就労不能障害保険は、2014年8月25日に新規取り扱いされました。
現在においては大分認知度が高まってきた「働くことができない状態」に備えることを目的とした保障内容となっており、収入保障保険のように、「毎月」年金という形で支払われます。
多くの保険会社で就業不能をカバーする保険を新リリースして来ている背景に合わせて、プルデンシャル生命もその流れに乗った形でしょう。
就労不能障害保険の仕組み
就労不能障害年金
精神障害を除いて、国民年金法に基づいた「障害等級1級」または「障害等級2級」に認定された場合に、就労不能障害年金が支払われます。
また、国民年金法に基づいた障害等級に該当しない場合でも、会社所定の就労不能障害状態に該当し、その状態が「540日」以上継続したと医師によって診断された場合、もしくは高度障害状態に該当した場合でも支払われます。
いったん支給対象に該当すれば、毎年の生存判定日被保険者が生存している限り、保険期間満了まで年金が毎月支払われます。
540日以上、つまり1年6ヶ月以上の継続状態ということになりますが、ちょっと長すぎる印象がありますね。
特定障害年金
国民年金法に基づいた「精神障害状態」により「障害等級1級」または「障害等級2級」に認定された場合に、保険期間を通じて「最長3年間」、特定障害年金が支払われます。
いわゆる、うつ病などの精神疾患に対しての保障となります。
他社商品では、精神疾患を対象外としている商品が多いため、精神疾患も保障してくれることは一定の評価はします。
また、国民年金法に基づいた障害等級に該当しない場合でも、就労不能障害年金と同様に、会社所定の特定障害状態に該当し、その状態が540日以上継続したと医師によって診断されれば、支給対象となります。
保険期間ずっと年金が支払われるのではなく、毎年の生存判定日に被保険者が生存していており、かつ「3年間」ということにご注意ください。
就労障害サポート年金
精神障害を除いて、被用者年金制度に基づいた「障害等級3級」に認定された場合に、就労障害サポート年金が支払われます。
被用者年金制度とは、厚生年金保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員共済組合法、私立学校教職員共済法をそれぞれ意味しています。
就労不能障害年金、特定障害年金と同様に、会社所定の就労制限障害状態に該当し、その状態540日以上継続したと医師によって診断されれば、支給対象となります。
就労障害サポート年金額は、就労不能障害年金額・特定障害年金額の「30%」の額となります。
こちらも就労不能障害年金と同様に、いったん支給対象に該当すれば、毎年の生存判定日に被保険者が生存している限り、保険期間満了まで毎月支払われることになります。
保険料払込免除
就労不能障害年金、特定障害年金、就労障害サポート年金の支払い事由に該当した場合、もしくは、会社所定の身体障害状態に該当した場合、以降の保険料の支払いが免除される仕組みとなっています。
会社所定の身体障害状態は、約款を詳細に確認する必要があります。
代表的な状態としては、1眼の視力を全く永久に失った状態、両耳の聴力を全く永久に失った状態など、かなり重い状態が求められます。
就労不能障害保険は良い商品なのか?
ここからが本題です。
就労不能障害保険は果たして「良い」商品なのでしょうか?
一見ですが、他社では保障してくれる商品が少ない「精神疾患」も保障対象とし、生存している限り保険期間満了まで保障が続きくことから、良さそうな商品性に見えるかもしれません。
しかしこの保険は、「障害」という言葉がキーワードとなります。
他社の就労不能保障
上記で説明した通り、「就労不能」のあとに「障害」の字が入っているプルデンシャル生命の就労不能障害保険。
他社で販売している「就業不能保険」はどのような状態を保障してくれるのかを確認してみると、以下のような特徴があります。
疾病状態、特に5疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中・肝硬変・慢性腎不全)による所定の状態に該当することで、就業不能給付金が支払われます。
つまり、「障害」という重い状態ではなく、「疾病」を起因とした状態を、給付金支払の条件としています。
就労不能に至る「原因」の違い
プルデンシャル生命では、国民年金法に基づいた「障害等級」が該当条件となっていることに対して、他社であれば「疾病」を条件としています。
この就労不能状態に陥る「原因」の違いが、保険を検討するうえで、非常に重要になってきます。
それは、国の保障制度の話に発展します。
障害年金の存在
社会保険としての一つ「障害年金」という言葉、ないしはその仕組みをご存知でしょうか。
国民年金保険料、厚生年金保険料を毎月支払っている方は、万が一の「障害状態」に対して、国が「障害年金」という形で、その後の生活を保障してくれる制度が日本には存在しています。
プルデンシャル生命の年金支払い要件となっている、「国民年金法」に基づく「障害等級」に該当するほど重い状態になった際には、障害年金がしっかりと国から支払われることになります。
一方、「疾病」を事由とした、働くことができない状態に対しては、国としての制度はほとんどありません。
就労不能障害保険の過剰保障の問題
「疾病」を事由とした就業不能状態に関して、国の保障制度がありませんので、各自で準備をしておかなければなりませんが、「障害」については、国からの保障があります。
このような事実背景において、「障害状態」に対しての保障を民間保険会社でさらに手厚く保障を確保しておく必要性は、果たしてあるでしょうか?
もちろん、万が一のためにさらに手厚い保障を確保しておくことは無駄でありません。
しかし、「疾病」による就業不能状態に関して国が保障を設けていない時点で、「疾病」による就業不能状態をカバーしてくれる保険を差し置いて、さらに「障害状態」に備えることは、優先順位としては間違ってはいないでしょうか?
「疾病」による就業不能状態に対して保障を持たないで、「障害状態」に対してさらなる保障を持つことは、「過剰保障」のように思えてなりません。
プルデンシャル生命の掛け捨て保険「就労不能障害保険」を斬るのまとめ
上記の理由により、プルデンシャル生命の「就労不能障害保険」は、加入しても損はないですが、優先順位としては大分後になるのでは、というのが私の意見です。
「働くことができない状態を保障する」という言葉は、聞こえは非常に良いですが、働くことができない状態に至るまでの「原因」に対しても、しっかりと確認しておく必要があると思います。
保険料負担という経済的な制限がある以上は、この掛け捨て保険「就労不能障害保険」は、自身の保障ポートフォリオには含める必要はありません。