住友生命の終身保険「バラ色人生」のデメリットとは?
目次
住友生命の「バラ色人生」のデメリットの考察
住友生命は、「未来デザイン ワンアップ」という就労不能・介護保障がある特約を、従来の「ライブワン」や「プライムフィット」のような、典型的な「アカウント型保険」「定期保険特約付終身保険」に付加する仕組みを、主に販売しています。
「アカウント型保険」や「定期保険特約付終身保険」の悪評については、私がこの場であらためて論じるまでもなく、ネット上で大量に拡散されています。
こういった商品を販売している住友生命ですが、純粋な「終身保険」も販売を行っております。
しかし、こういった商品を販売しても、セールスレディの点数にはならないため、ほとんどの方はその事実すら知ることができないでしょう。
今回は、住友生命の終身保険「バラ色人生」について、そのデメリットを見てみたいと思います。
「バラ色人生」の仕組み
終身保険「バラ色人生」は、いわゆる「低解約返戻金型」の終身保険となっています。
終身保険ですから、保障は一生涯であり、死亡時・高度障害時に保険金が支払われる、シンプルな仕組みの商品です。
保険料払込期間を「低解約返戻金期間」とし、低解約返戻期間は、解約返戻金を通常の70%に抑えることで、低廉な保険料を実現しています。
保険料の支払いが満了した以降は、今まで解約返戻金を抑制してきた分、一気に増加するという仕組みとなっています。
「バラ色人生」の商品性の所感
いたってシンプルな商品性となっているため、商品自体には大きな問題はありません。
「アカウント型保険」や「定期保険特約付終身保険」のように更新型ではないので、、保障額が保険期間中に増減することもないですし、保険料も途中で増えることなく、保険期間を通じて一定となっています。
また、終身保険であるため、解約返戻金が積み立てられていきます。
いわゆる「死亡保障」と「老後資金の形成」を同時に行うことができる仕組みとなっていると言えるでしょう。
「バラ色人生」に付加できる特約
リビング・ニーズ特約や、指定代理請求特約など、保険料がかからないオーソドックスな特約の付加が可能ですが、1つ変わった特約があるのでご紹介しておきます。
「がん長期サポート特約」という特約です。
これは、がん(悪性新生物)で「治癒も病状の好転も見込めない」と医師によって診断されたときに、死亡保険金の全部または一部を「前払請求」することができる仕組みになっています。
余命6ヶ月と医師によって診断されたときに同様に「前払請求」することができるリビング・ニーズ特約に似ていますが、がん(悪性新生物)で闘病しているケースで、余命年数不要で適用となる内容です。
しかし、「治癒も病状の好転も見込めない」状況を、果たして闘病している本人に告げることができるかどうか、現実的な運用としては、若干疑問は残ります。
住友生命の「バラ色人生」のデメリット①:保険料払込期間中の解約
一般的に、生命保険は保険料払込期間中に保険契約を解約した場合、その時点での解約返戻金を受け取ることができます。
しかし、保険料払込期間中に解約した場合、通常、払込保険料累計額よりも解約返戻金額のほうが下回り、全額ないし増えて戻ってくることはありません。
低解約返戻金型の仕組みであればなおさらであり、払込期間中の解約返戻金は、通常の場合よりも70%に抑えられているため、途中解約した場合の解約返戻金は、払込保険料累計額を「大きく」下回ってしまうことになります。
これは、「バラ色人生」に限った話ではなく、低解約返戻金型の商品であれば、他社も含めて同様の仕組みとなっているので、注意が必要です。
住友生命の「バラ色人生」のデメリット②:保険料と解約返戻率
「バラ色人生」は、他社の同様の「低解約返戻金型終身保険」と比べると、保険料も解約返戻率も、劣っています。
例えば、オリックス生命の低解約返戻金型終身保険「ライズ」と比べてみます。
試算条件は、保険金額:1.000万円とし、20歳・30歳の場合の保険料払込期間は「60歳」、40歳の場合は「65歳」とします。
「バラ色人生」のシミュレーション
<男性>
年齢 | 月払い保険料 | 払込保険料総額 | 払込期間満了直後の解約返戻金 | 解約返戻率 |
20歳 | 17,310円 | 8,308,800円 | 約898万円 | 約108.1% |
30歳 | 24,110円 | 8,679,600円 | 約898万円 | 約103.4% |
40歳 | 30,910円 | 9,273,000円 | 約916万円 | 約98.7% |
<女性>
年齢 | 月払い保険料 | 払込保険料総額 | 払込期間満了直後の解約返戻金 | 解約返戻率 |
20歳 | 16,550円 | 7,944,000円 | 約874万円 | 約110.0% |
30歳 | 23,110円 | 8,319,600円 | 約874万円 | 約105.0% |
40歳 | 29,360円 | 8,808,000円 | 約893万円 | 約101.4% |
「ライズ」のシミュレーション
<男性>
年齢 | 月払い保険料 | 払込保険料総額 | 払込期間満了直後の解約返戻金 | 解約返戻率 |
20歳 | 15,360円 | 7,372,800円 | 約864万円 | 約117.2% |
30歳 | 21,640円 | 7,790,400円 | 約864万円 | 約110.9% |
40歳 | 27,920円 | 8,376,000円 | 約887万円 | 約105.9% |
<女性>
年齢 | 月払い保険料 | 払込保険料総額 | 払込期間満了直後の解約返戻金 | 解約返戻率 |
20歳 | 14,680円 | 7,046,400円 | 約837万円 | 約118.8% |
30歳 | 20,760円 | 7,473,600円 | 約837万円 | 約112.0% |
40歳 | 26,650円 | 7,995,000円 | 約861万円 | 約107.7% |
シミュレーション結果から
圧倒的な保険料の差が目立ちます。
同じ保障にもかかわらず、月々2,000~3,000円もの保険料の差があるため、払込期間後の解約返戻率も、非常に大きな差となっています。
つまり、「バラ色人生」は「保険料が高く」「返戻率も悪い」商品と言えます。
ここまでの差ですと、さすがに選択肢からは外れてしまうでしょう。
住友生命の終身保険「バラ色人生」のデメリットとは?のまとめ
住友生命の終身保険「バラ色人生」の商品性についてのデメリットと、商品自体のデメリットに分けて、解説してみました。
商品自体に大きな問題があるという訳ではありませんが、比較することで、相対的に魅力が欠ける内容となっています。
他により良い商品が存在しているという事実がある以上、商品比較をせずに「バラ色人生」に加入してしまうことは、非常に損だとも言えます。
生命保険は、やはり比較ありきで、検討したほうがよさそうです。