大同生命の個人年金保険は普通預金とほとんど変わらないパフォーマンス
目次
大同生命の個人年金保険
太陽生命とともに持株会社として設立したT&Dホールディングス傘下である大同生命は、主な経営基盤を中小企業経営者向けとし、法人保険の販売を中心とした保険会社として知られています。
法人保険だけでなく、個人向けの保険商品も取り扱っており、定期保険、終身保険、医療保険、介護保険、個人年金保険など、オーソドックスな商品ラインナップとなっています。
今回は、このうち「個人年金保険」に焦点を当て、その商品性について確認してみたいと思いますが、正直、大同生命の個人年金の返戻率を考えるとそれほどのメリットは見つかりません。
個人年金保険の商品性
大同生命で取り扱っている個人年金保険は、非常にオーソドックスな商品性となっており、他の保険会社の個人年金保険と比較して、特段特徴ある仕組みがある訳ではありません。
将来の年金受け取り方法を加入時に選択し、以降、老後の生活に向けて保険料を積み立てていき、保険料払込期間が満了した以降は、積み立てた金額を加入時に選択した年金受け取り方法で受け取る仕組みとなっています。
保険料の払い込みは、「全期払い」のほか「短期払い」も選択することができ、短期払いの場合は、保険料の払い込みが満了した以降から年金開始日までの期間、積立金を増やすことができます。
また、年金開始日前に被保険者が死亡した際には、死亡給付金が支払われ、保険料相当額分の金額となります。
主な取扱基準
主な取扱基準は以下の通りです。
- 加入可能年齢:20歳~63歳
- 基本年金年額:最低24万円~最高3,000万円
年金受取方法
加入時に、将来の年金受取の方法を「確定年金」もしくは「終身年金」のいずれかを選択することになります。
期間に関しては、どちらも「10年確定年金」もしくは「10年保証期間付終身年金」です。
以前は、5年から20年まで、5年刻みで選択することができたようですが、現在の取り扱いでは「10年のみ」となります。
加入時に選択した年金受け取り方法は、年金開始前の段階であれば変更は可能です。
また、年金ではなく「一括受け取り」が可能であり、年金受給期間であっても、未支払の年金の現価相当分の金額を一括で受け取ることも可能です。
大同生命の個人年金保険に付加できる特約
大同生命の個人年金保険には、「税制適格特約」「年金支払特約」「指定代理請求特約」の3つの特約を任意付加することができます。
どの特約も、「無料」の特約となっており、特約保険料の負担は生じません。
この3つのうち、「税制適格特約」と「年金支払特約」について解説します。
税制適格特約
生命保険料控除のうち、「個人年金保険料控除」を受けるために必用な特約となります。
税制適格特約を付加するためには、以下の4項目全てに該当する必要があります。
①被保険者:契約者本人または契約者の配偶者であること。
②年金受取人:被保険者と同一であること。
③保険料払込期間:10年以上であること。
④確定年金の場合:年金開始年齢が60歳以上かつ、年金支払期間10年以上であること。
年金支払特約
年金開始日前に被保険者が死亡した際に支払われる死亡給付金を、一括ではなく年金で受け取ることができる特約です。
しかし、年金年額が大同生命の定める金額に満たない場合には、この取り扱いができないのでご注意ください。
年金受取期間中に、年金受取人の申し出により、未支払分の年金の現価の一時支払を請求することも可能です。
大同生命の個人年金保険の返戻率
それでは実際に、大同生命の個人年金保険の返戻率を算出してみたいと思います。
試算は、平成30年1月15日時点の料率による、大同生命の個人年金保険のパンフレットより抜粋しています。
契約年齢:40歳男性 基本年金年額:60万円 年金開始年齢・保険料払込期間:70歳(30年間払い)
上記の条件で、10年確定年金を選択した場合と、10年保障期間付終身年金を選択した場合の、それぞれの保険料と返戻率を見てみます。
10年確定年金の場合 | |||
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月払い保険料 | 16,512円 | 払込総保険料 | 5,944,320円 |
年金累計額 | 6,000,000円(年60万円×10年) | ||
トータル返戻率 | 100.9%(6,000,000円÷5,944,420円) | ||
10年保証期間付終身年金 | |||
月払い保険料 | 31,764円 | 払込総保険料 | 11,435,040円 |
年金累計額 | 9,000,000円(85歳) | 12,000,000円(90歳) | 15,000,000円(95歳) |
トータルの返戻率 | 85歳で78.7% | 90歳で104.9% | 95歳で131.2% |
返戻率からみる商品の価値
正直なところ、圧倒的に「低すぎる」返戻率となっています。
10年保障期間付終身年金は、返戻率の高さを目立たせるためか、男性の平均寿命「80.98歳」を大きく超えた、85歳、90歳、95歳での返戻率を記載しているあたりに、悪意を感じます。
30年間積み立て、その後10年間で年金を受け取って返戻率が「100.9%」という10年確定年金に関しては、1年当たりの利回りは「0.02%」です。
普通預金とほぼ変わらない商品性となっており、とてもじゃないですが、オススメはできません。
あえてメリットを言うのであれば、税低適格特約を付加することによる「個人年金保険料控除」を受けることができることくらいでしょうか。
大同生命の個人年金保険は普通預金とほとんど変わらないパフォーマンスのまとめ
長期間に渡って資金を拘束するにも関わらず、普通預金と変わらない利回りという結果となりました。
貯蓄性商品のパフォーマンスは、どの保険会社も軒並み低下しているという背景もありますが、大同生命の個人年金保険を選ぶ積極的な理由は、残念ながら見当たりません。
ではかといって、他社の個人年金保険が優れているかというと、そういう訳でもありません。
あくまで「現状」として、個人年金保険のパフォーマンスがこうなっている、という点を理解いただければと思います。