緩和ケアを考慮してアフラックのがん保険を考える
目次
アフラックのがん保険と緩和ケア
アフラックのがん保険「生きるためのがん保険Days1」には、緩和ケアにかかる費用をカバーするための「緩和療養特約」というオプションが用意されています。
がん治療で行われる緩和ケアとは、重症がん患者や末期患者などに対して、治療による副作用や苦痛、不快感を伴う症状を投薬で緩和し、人生の残り時間を自分らしく過ごし、満足して最期を迎えられるようにすることが目的で行われることが一般的でした。
しかし、近年のがん治療においては、治療初期段階から緩和ケアも併用していくことが増えつつあり、肉体的にも精神的も辛い負担を和らげながら、QOL(生活の質)も考慮された治療方針が行われています。
今回は、緩和ケアについての詳細と、アフラックのがん保険の保障との関係性、そしてがん保険そのものの評価について触れてみたいと思います。
緩和ケアについて
緩和ケア自体は、がんの治療中かどうか、入院・外来・在宅療養などのを問わず、どの状況でも受けることができるようになってきています。
緩和ケアを受けるには、主に緩和ケア病棟への入院という方法と、緩和ケアチームによる診療という2つの方法がありますが、がん診療連携拠点病院の指定を受けている医療機関は、緩和ケアに対応できる機能を持っており、外来診療や在宅療養についても対応が進んできています。
緩和ケアでは、疼痛緩和薬や神経ブロックなどの投薬治療が行われ、体と心の痛みやつらさを和らげながら、人間らしい生活を維持しつつ、がん治療を行っていくことになります。
もちろん、緩和ケアは無料サービスではなく、それなりの対価を支払われなければなりません。
緩和ケアの費用
緩和ケアは、治療中の病院でも、緩和ケア病棟でも、自宅でも受けることができますが、それぞれにかかる費用が変わってきます。
「治療中の病院の一般病棟に入院して緩和ケアを受ける場合」「緩和ケア病棟に入院して緩和ケアを受ける場合」「自宅で生活しながら緩和ケアを受ける場合」です。
平成28年度診療報酬にて、それぞれの場合で費用を見てみます。
(※参考ホームページ「緩和ケア.net」http://www.kanwacare.net/)
一般病棟での緩和ケアの場合
厚生労働省から認可を受けた院内の緩和ケアチームが主治医と共に治療にあたる場合、「緩和ケア診療加算」が加算され、この加算を含めた医療費には健康保険が適用されるそうです。
緩和ケア診療加算は、1日400点(4,000円)であり、3割負担の方は1,200円/日、1割負担の方は400円/日となります。
差額ベット代や食事代などは別途となります。
緩和ケア病棟での緩和ケアの場合
厚生労働省から「緩和ケア病棟」として承認を受けた病棟に入院して緩和ケアを受ける場合には、医療費は定額制(治療内容に関わらず1日の医療費が一定額)となり、健康保険が適用となります。
入院30日以内の場合・・・1日4,926点(49,260円) 3割負担の方は14,790円/日、1割負担の方は4,930円/日
入院31日以上60日以内の場合・・・1日4,400点(44,000円) 3割負担の方は13,200円/日、1割負担の方は4,400円/日
入院61日以上の場合・・・1日3,300点(33,000円) 3割負担の方は9,900円/日、1割負担の方は3.300円/日
こちらも同様に、差額ベッドや食事代は別となります。
通院・訪問診療での緩和ケアの場合
自宅で生活をしながら、通院したり、自宅に訪問診療や訪問看護に来てもらって緩和ケアを受けることができます。
医師や看護師が訪問して行う緩和ケアには健康保険が適用されますが、衛生材料費や交通費など保険適用外の費用も必要となることがあるので注意が必要です。
1回/日・週3回訪問 | 1回/日・週5回訪問 | 2回/日・週5回訪問 | |
3割負担の方 | 36,000円程度 | 51,000円程度 | 84,000円程度 |
1割負担の方 | 12,000円程度 | 17,000円程度 | 28,000円程度 |
「生きるためのがん保険Days1」の緩和ケア保障
緩和ケアにはどの程度費用がかかるのか分かったところで、「生きるためのがん保険Days1」が保障する緩和ケアはどのような内容なのかを見てみます。
緩和ケアに関係してくるのは、主契約である「入院給付金」「通院給付金」と、特約である「緩和療養特約」になります。
特約である「緩和療養特約」は、任意オプションですので、加入の際には特約保険料の支払いが生じます。
ちなみに「緩和療養特約」の特約保険料は30歳男性定額タイプの場合、月額104円~110円、30歳女性定額タイプの場合、月額76円~82円です。
入院給付金・通院給付金について
入院給付金に関しては、がんの治療を直接の目的とするものであり、厚生労働大臣が定める施設基準に適合する「緩和ケア病棟」での入院が含まれる、との文言が約款に記載されています。
つまり、主契約の入院保障で、緩和ケアのための入院も同額保障されることになります。(一般病棟での緩和ケアの場合は、がん治療のための入院で給付金が出るため、二重に出るわけではありません。)
通院給付金に関しても、具体的な「緩和ケアのための通院が保障される」といった文言は約款に記載されていませんが、会社に直接確認したところ、給付対象となるようです。
つまり、主契約部分だけでも緩和ケアに対応することができるようです。
緩和療養特約について
この保障は、給付金支払事由に該当した場合に、「月ごと」に5万円の緩和療養給付金が支払われる仕組みとなっており、保険期間を通じて24回まで受け取ることができます。
支払事由は以下の3つのうち「いずれか」に該当する必要があります。
①がん性疼痛緩和を目的とする所定の疼痛緩和薬または神経ブロックが使用された入院または通院をしたとき
②がん性疼痛等の各種症状の緩和を目的とする所定の緩和ケア病棟へ入院したとき
③がん性疼痛等の各種症状の緩和を目的とする所定の在宅医療を受けたとき
緩和療養特約と高額医療費制度との兼ね合いから
緩和ケアは健康保険が適用となるため、一般的な収入の方であれば、1ヶ月あたりの実質的な医療費は10万円未満程度になる方がほとんどです。
そのため、どんなに緩和ケアを受けたとしても医療費の上限が定まっているため、それほど大きな経済的な問題が起きないことが予想されます。
また、主契約部分による入院給付金や通院給付金で緩和ケアが保障されているため、緩和療養特約の価値としては「在宅医療」にあるでしょう。
自宅で生活しながら緩和ケアチームに家に来てもらいたい、という点を重視したい方は、ある程度の価値を見い出せるのではないでしょうか?
緩和ケアを考慮してアフラックのがん保険を考える、のまとめ
一般的な他社のがん保険を見てみると、入院保障も通院保障も、緩和ケアを対象外としているものが多い中、アフラックの「生きるためのがん保険Days1」は対象としているため、この点は評価できます。
しかし、緩和ケアには高額療養費制度が適用されるという前提を考えると、「緩和療養特約」の存在価値はそれほど大きくなく、余計な特約保険料を支払うわずとも、一定の経済的保障がされます。
ただ、通常のがん治療も基本的には保険適用の治療方針がなされるため、入院・手術・通院といった治療方針によっては対象とならない保障があるがん保険よりも、がんと診断確定の際に一時金が支払われる「診断給付金タイプ」であれば、給付金の使いみちに融通が効きます。
こういった点から、「生きるためのがん保険Days1」は、少々使いづらいがん保険なのかもしれません。