ソニー生命のパクリ医療保険「メディカル・ベネフィット リターン」を評価付け

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ソニー生命のパクリ医療保険「メディカル・ベネフィット リターン」を評価付け

   

ソニー生命の医療保険「メディカル・ベネフィット リターン」の評価は如何に

2018年7月より、ソニー生命で新しく販売がスタートした医療保険「メディカル・ベネフィット リターン」について評価付けしてみたいと思います。

この医療保険は、医療保険を使わなかった場合、主契約分の保険料が指定した年齢で「1円単位」で還付されるという仕組みのほか、医療保険を使って給付金を受け取っていたとしても、指定した年齢までの支払保険料累計からその分を差し引いた金額が還付されます。

長年、医療保険の分野で他社に極度な見劣りしていたソニー生命の新たな挑戦とも言えるかもしれませんが、保険商品に精通している人間がこの医療保険を見たとき、どこか「あれっ!?」と感じたことでしょう。

そうです、東京海上日動あんしん生命の医療保険「メディカルキットR」の「丸パクリ」の医療保険なのです。

いちおうソニー生命独自の保障の仕組みもいくつかあるようですが、この大胆不敵なパクリ商品について評価付けしてみたいと思います。

ソニー生命の「メディカル・ベネフィット リターン」の仕組み

基本的な仕組み

将来、主契約分の保険料が返ってくるという特徴のほか、保険料も一生涯変わらない医療保険です。

還付金を受け取ることができる年齢は、加入時の年齢によって制限がありますが、「50歳・55歳・60歳・65歳・70歳・75歳・80歳」から選択することができます。

この点は、「60歳・70歳・75歳・80歳」からしか選択できないあんしん生命のメディカルキットRよりも、選択肢の幅は大きいと言えます。

反面、保険料の支払いは「終身払い」のみしか選択することができないため、還付金を受け取った以降も医療保険を続ける場合には、依然として保険料を支払い続けていく必要があります。

還付金の対象となるのは主契約分の保険料のみとなるため、特約で付加した保障の保険料は還付対象とはならないことにも注意が必要です。

主契約の保障内容

1回の入院あたりの入院給付金支払限度日数を「60日型・120日型・360日型」から選択、入院給付金日額は3,000円~20,000円までの範囲で1,000円単位で決めることができます。

がん・心疾患・脳血管疾患の三疾病による入院は、デフォルトで支払限度日数が無制限となるので、特約で任意選択できるメディカルキットRとは異なる部分です。

手術給付金についても、デフォルトで入院給付金日額の「5倍・10倍・20倍・40倍」の金額が保障されており、こちらも「手術給付金の追加払に関する特約」を付加することで同額の手術給付金を受け取ることができるメディカルキットRとは異なります。

主な特約の種類

入院一時給付金特約

入院した際に一時金を受け取れる特約であり、三疾病の入院の場合は2倍の額。メディカルキットRにはない特約。

三疾病入院給付特約

三疾病で入院した際に、主契約の入院給付金に加えて上乗せで日額給付金を受け取れる特約。メディカルキットRにはない特約。

特定疾病診断給付金特約

初めてがんと診断されたとき、急性心筋梗塞により診療を受けた日から60日以上労働制限の継続、脳卒中により診療を受けた日から60日以上後遺症が継続。がん以外の給付条件が厳しすぎて使い物にならないと思われる。

女性特定手術給付特約

女性特定部位などの女性固有の疾病治療のための手術を受けた場合に、主契約とは別に女性特定手術給付金を受け取れる特約(異常妊娠・異常分娩などは対象外)、乳がんなどによる乳房切除後の乳房再建術時も保障。メディカルキットRと似たような保障。

抗がん剤治療特約

公的医療保険制度の対象となる所定の抗がん剤による入院または通院を受けた「月ごと」に給付金を保障、メディカルキットRと似たような保障。

先進医療特約

先進医療による治療を受けた場合に通算2,000万円まで保障で5年更新で最長80歳まで。10年更新のメディカルキットRよりも更新の頻度が多い。

ソニー生命の「メディカル・ベネフィット リターン」の保険料

ソニー生命の「メディカル・ベネフィット リターン」と東京海上日動あんしん生命の「メディカルキットR」で、ほぼ同じ保障内容で年齢別・男女別で月払保険料と健康還付金額を試算してみます。

保障内容は、入院日額5,000円の60日型、健康還付金は70歳受取、先進医療特約を付加とし、「メディカル・ベネフィット リターン」にデフォルトで付いている「三大疾病入院日数無制限」と「手術給付金倍率」を同じにするために、メディカルキットRには「3大疾病入院支払日数無制限特約」と「手術給付金の追加払に関する特約」を付加することとします。

年齢メディカル・ベネフィット リターンメディカルキットR
男性女性男性女性
20歳保険料:2,587円
還付金:1,497,000円
保険料:3,277円
還付金:1,911,000円
保険料:2,439円
還付金:1,278,000円
保険料:2,919円
還付金:1,563,000円
30歳保険料:3,502円
還付金:1,636,800円
保険料:3,932円
還付金:1,843,200円
保険料:3,279円
還付金:1,387,200円
保険料:3,624円
還付金:1,552,800円
40歳保険料:5,137円
還付金:1,816,200円
保険料:4,610円
還付金:1,659,600円
保険料:4,654円
還付金:1,485,000円
保険料:4,544円
還付金:1,458,000円

保険料試算からの考察

保険料だけの比較を行うのであれば、東京海上日動あんしん生命のメディカルキットRのほうが、どの年代でも、男女ともに保険料が安くなることがわかりました。

しかし、健康還付金を考慮すると、すべてのケースでソニー生命のメディカル・ベネフィット リターンのほうが大きくなります。

これは、メディカルキットRのほうには、健康還付金の対象とならない特約を2つ付加しているためであり、その分の差となります。

無駄な特約を付加しないという選択をとるのであれば、メディカルキットR一択となりますが、健康還付金の対象とならない特約を考慮するのであれば、健康還付金をどのように考えるか、個々人の価値観によってくるでしょう。

あんしん生命のメディカルキットRの優位性

東京海上日動あんしん生命のメディカルキットRには、特定疾病保険料払込免除特則を2018年8月より付加することができるようになりました。

この特則は、初めてがんと診断された場合、もしくは心疾患・脳血管疾患を発病し、所定の手術または継続20日以上の治療入院を受けたとき、と心疾患・脳血管疾患のケースで非常に該当しやすい緩い条件となっています。

この特則に該当した場合、保険料の払い込みが免除されるだけでなく、保険料の払い込みがなされたとみなされて、健康還付金を一気に受け取る権利が発生することになります。

一方、ソニー生命のメディカル・ベネフィット リターンには、保険料の払い込みが免除になる仕組みがないため、万が一の医療保険という基本的な加入目的を考えると、軍配はメディカルキットRに挙がりそうです。

しかし、メディカルキットRに特定疾病保険料払込免除特則を付加すると、その分保険料が上がるうえ、その分の保険料は健康還付金の対象とはならないのでご注意ください。

保険料控除の区分

ソニー生命の「メディカル・ベネフィット・リターン」は、医療保険でありながら「介護医療保険料控除」の区分ではなく、「一般生命保険料控除」となります。

特約保険料分は「介護医療保険料控除」となりますが、主契約分は丸々「一般」となります。

これは加入を検討する上で大きなデメリットとなるでしょう。

それは、死亡保障のある保険に加入していると、その保険料分のみで「一般生命保険料控除」の限度額「年間保険料80,000円(月払換算で6,666円)」を満たしていることがほとんどであり、手厚い保障内容である「主契約」が売りの「メディカル・ベネフィット・リターン」に加入したところで、控除の恩恵をほとんど受けることができなくなります。

ソニー生命のパクリ医療保険「メディカル・ベネフィット リターン」を評価付けのまとめ

メディカルキットRの仕組みを丸パクリしたソニー生命の「メディカル・ベネフィット リターン」ですが、健康還付金を受け取った以降も医療保障が必要であることを考えると、少しでも保険料が安いほうに加入したい、という心理が働いてしまいます。

私は、個人的には保障内容が複雑化してしまうことが嫌なので、無駄な特約をあれもこれも付けることなく、シンプルに最低限の保障で十分であると考えています。

医療保障は、そもそも高額療養費制度といった健康保険制度の活用を前提として考えなければならないからです。

そういった意味では、丸パクリして、かつ、保険料も高いソニー生命の「メディカル・ベネフィット リターン」という商品は、相対的に魅力を感じませんでした。

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