メットライフ生命のリターンボーナスつき終身医療保険(旧リターンズ)をどう評価するか?
目次
メットライフ生命のリターンボーナスつき終身医療保険(旧リターンズ)の評価
支払った保険料が将来戻ってくる「還付金型医療保険」が近年増えてきてていますが、メットライフ生命で取り扱っているリターンボーナスつき終身医療保険(旧リターンズ)を評価してみたいと思います。
2007年にアリコジャパンから販売された還付金型医療保険「リターンズ」は、現在はメットライフ生命にてその名を変え、「リターンボーナスつき終身医療保険(生存還付給付金付終身医療保険)」となりました。
支払った保険料が将来戻ってくるという仕組みは、掛け捨て型が常である医療保険の分野においては、医療保険選びの選択肢を広げるに一役を買ったと思われます。
しかし、医療保険に求められる最大の役割は、決して保険料が戻る仕組みではなく、万が一の際に使えるものであるかどうかです。
保障内容はもちろん、保険料の水準、契約詳細などを含めて、解説していきたいと思います。
リターンボーナスつき終身医療保険の特徴
保障内容について
リターンボーナスつき終身医療保険の内容としては、①疾病入院給付金②災害入院給付金③手術給付金④健康祝金⑤生存還付給付金⑥死亡保険金の6つの保障を基本とした「Ⅱ型」のほか、⑦通院給付金⑧退院給付金が加わった「Ⅰ型」どちらかを選択することになります。
商品名にあるように、この医療保険の最大の特徴は、支払った保険料が「実質的」に全額戻ってくるという仕組みの貯蓄性のある仕組みとなっています。
「実質的」という表現をしているのは、医療保険を使わなかった場合に5年ごとに受け取ることができる「健康祝金」や、医療保険を使った場合に受け取った「給付金」を、支払った保険料から「差し引いた」金額がリターンされることから、保険を使っても使わなくても、支払保険料分の金額を必ず受け取ることができるという意味からです。
リターンボーナス(生存還付給付金)を受け取ることができるタイミングは、保険料の支払いが「終わった」タイミングとなるため、それ以前に保険を解約してしまったり、死亡してしまった場合には、リターンボーナスを受け取ることができません。
契約口数1口の保障額は「入院・退院給付金日額1,000円、通院給付金日額500円」とし、3口以上15口以下の口数で保障額を決めます。
保障額
給付金名 | 金額 | 給付例(5口、10日入院の場合) |
---|---|---|
①疾病入院給付金 | 入院1回につき、(入院給付金日数)×(入院日数) | 5,000円×10日=50,000円 |
②災害入院給付金 | 同一の不慮の事故による入院1回につき、(入院給付金日数)×2×(入院日数) | 5,000円×2×10日=100,000円 |
③手術給付金 | (入院問わず)手術1回につき、入院給付金日額の10倍 | 50,000円 |
④健康祝金 | 入院給付金日額の10倍 | 50,000円 |
⑤生存還付給付金 | 支払保険料額ー(健康祝金+受け取った給付金合計額) | |
⑥死亡保険金 | 入院給付金日額の100倍 | 500,000円 |
⑦通院給付金 | 1回の入院のその通院につき、(通院給付金日額)×(通院日数) | 2,500円×通院日数 |
⑧退院給付金 | 1回の入院のその退院につき、退院給付金額 |
契約の詳細
リターンボーナスつき終身医療保険の加入可能年齢は、6歳~65歳までとなっています。
保険期間は終身保障となりますが、一般的に還付金型の医療保険は保険料の払込期間が「終身払い」が基本なのですが、この保険は終身払いが選択できず、「短期払い」のみが選択可能となっています。
保険料払込期間は最長「50年」まで伸ばすことができます(6歳児が加入する場合の保険料払込期間は55歳まで)、61歳~65歳の方が加入する場合には、85歳が最長の払込期間となります。
保険料が還付される「リターンボーナス」は、保険料払込期間が終了した段階で支払われるものとなるため、途中で解約した場合や、死亡された場合には、支払った金額よりも少ない金額が戻ることがほとんどとなるので注意が必要です。
リターンボーナスつき終身医療保険の大きなデメリット
この医療保険には、大きな2つのデメリットがあります。
1つ目は、現在の医療保険の真髄ともいえる「先進医療保障」がなく、また、付加できる「特約」がいっさいありません。
上記①~⑧の保障がすべてであり、別途三大疾病に対する手厚い保障や、特定疾病による保険料払込免除などもないため、医療保険としては、やや手薄感が否めません。
2つ目は、保険料の支払いで「終身払い」が選択できず短期払いのみとなっているため、保険料が非常に高くなってしまうという点です。
保険料控除
医療保険にもかかわらず、リターンボーナスつき終身医療保険は、その保険料が全額「一般生命保険料控除」に分類されます。
介護医療保険料控除ではないため、一般的な死亡保障の保険と合算されてしまいます。
死亡保障の多くは、それ単体で控除額の上限「年間保険料80,000円」に該当してしまいますので、介護医療保険料控除を適用できないのは大きなマイナスポイントとなってしまいます。
リターンボーナスつき終身医療保険の保険料
入院給付金日額を5,000円となるように「5口」を契約口数とし、退院・通院の保障がない「Ⅱ型」を選択し、保険料の払込期間を「70歳」とした場合(リターンボーナス受取年齢)の保険料を試算してみます。
30歳男性の場合の月払保険料は「7,435円」となります。
70歳時点で支払う保険料累計は、7,435円×12か月×40年間から「3,568,800円」となりますので、期間中に受け取った健康祝金や給付金をこの金額から差し引いた金額を、「70歳」に受け取ることができます。
他社の還付金型医療保険との保険料の比較
代表的な還付金型の医療保険として、東京海上日動あんしん生命のメディカルキットRを例に出します。
保障内容をできるだけリターンボーナスつき終身医療保険に似せ、「入院日額5,000円、手術給付金5万円(入院時以外2.5万円)」のみをカバーできる保障内容とし、保険期間・保険料払込期間を「終身」、健康還付金受取年齢を同様に「70歳」とした場合の、月払保険料と健康還付金額は以下の通りです。
月払保険料…2,890円 健康還付金額…1,387,200円(2,890円×12か月×40年)
リターンボーナスつき終身医療保険の保険料は、メディカルキットRの「約2.5倍」も高くなります。
リターンボーナスつき終身医療保険のメリット
保険料支払いが「短期払い」を設定できるというのは大きなメリットでもあると思えます。
指定した年齢まで保険料を支払い続けることができるのであれば、それ以降の保険料の支払いがなくなるため、老後生活に余計な支出を増やさなくて済むからです。
しかし、実際の保険料負担の観点で比較してみますと、「終身払い」と「70歳払い」と条件が異なるため、単純比較をすることは難しいですが、70歳以降もメディカルキットRは保険料を支払っていくとはいえ、70歳~80歳までの10年間で月2,890円を支払ったとしても、その負担は346,800円です。
80歳までの保険料支払額で考えると、メディカルキットRは約173万円で済むため、2倍もの保険料負担をする価値をリターンボーナスつき終身医療保険に見出すことができるかどうか、がポイントとなるでしょう。
メットライフ生命のリターンボーナスつき終身医療保険(旧リターンズ)の評価のまとめ
先進医療保障が付けられないという点、月々の負担が大きすぎる点を考えると、リターンボーナスつき終身医療保険で一生涯の医療保障を確保するというのは少々リスクが高いと感じます。
リターンボーナスを受け取るためには、結局は指定した年齢まで保険料を「支払い続ける」ことが大前提となるため、その継続性に大きく関係してくるのは「毎月の保険料の大小」です。
今現在は支払える金額だとしても、将来、結婚~出産~教育といったライフスタイルの変化を考えると、とてもじゃないが支払えない、といった状況も高い可能性で考えられます。
既に10年以上も契約し継続している方でしたら、この保険を見直し保険に入りなおすことは保険料の増加にもなるため、安易には勧められません。
しかし、何より、日額5,000円の入院保障の商品に、毎月7,000円を支払うという行為に、違和感が感じるのは私だけでしょうか?