太陽生命のひまわり認知症予防保険は保険料が高い!保障範囲が限られることがデメリット
目次
太陽生命のひまわり認知症予防保険と保険料
2018年10月1日、認知症の「予防」という観点からサポートを行う「ひまわり認知症予防保険」が太陽生命から新たに販売が開始されましたが、保険料との兼ね合いで、果たしてこの保険の必要性・優先性があるのかについて考えてみたいと思います。
超高齢化社会に突入している日本において、厚生労働省による平成28年度の国民生活基礎調査の結果によると、介護が必要な状態(要介護者)の主な原因として、「認知症」が初めて1位になりました。
今後は、65歳以上の約5人に1人が認知症になると言われており、認知症という病気が社会的に大きな課題となっていくようです。
こうした背景から、「認知症」にピンポイントに焦点を当てた保障が誕生したのでしょう。
全国のろうきん等でも取り扱っている太陽生命のひまわり認知症予防保険(静岡県労働金庫ではたんぽぽ認知症治療保険)の具体的な商品性と保険料について評価してみたいと思います。
ひまわり認知症予防保険について
ひまわり認知症予防保険の大まかな特徴
ひまわり認知症予防保険とは、選択緩和型認知症診断保険に生存給付金特則を付加したものを「愛称」で呼んでいるものです。
主な保障内容としては、認知症となったときに支払われる「認知症診断保険金」、加入1年後から「2年ごと」に、生存している限り保険期間を通して受け取ることができる「生存給付金(予防給付金)」、一定額の「死亡保険金」、3つの保障が軸となっている商品です。
健康状態の不安などから他の保険に加入できなかった方でも、「簡単な告知」で加入できる引受基準緩和型の商品となるので、保険料は割高となります。(告知内容はこちらを参照ください。)
また、契約から「1年間」は「削減期間」となり、認知症診断保険金と死亡保険金(災害死亡は除く)は通常の50%に削減され、1年間が経過すると削減が終了します。
認知症「予防」としての特徴
ひまわり認知症予防保険の最大の特徴としては、加入1年後から「2年ごと」に受け取ることができる「生存給付金(予防給付金)」の存在です。
この「予防給付金」を受け取ることで、認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)の兆候を調べることができる「MCIスクリーニング検査」費用に充てることができることをはじめ、以下のような様々なことができます。
- 認知症の診断・治療ができる医療機関を紹介してもらえる「認知症関連施設紹介サービス」を受けることができる
- 認知症や生活習慣病の予防として1泊2日の「クアオルト®健康ウオーキング体験ツアー」に参加できる
生存している限り、保険期間を通じて「2年ごと」に受け取り続けることができますが、認知症と診断を受け、「認知症診断保険金」を受け取った段階で、「予防給付金」の支給は終了となります。
あくまで認知症「予防」という意味で、認知症発症後を保障するものではないことに注意が必要です。
契約の取り扱い
加入可能年齢範囲は、保険期間・保険料払込期間が「10年間」の場合は「20~75歳」まで、保険期間・保険料払込期間が「終身」の場合は「20~85歳」までとなります。
認知症診断保険金は、10万円~100万円の範囲で、「10万円単位」で選択することができます。(認知症診断保険金が支払われた時点で保険は終了となります。)
死亡保険金は、保険期間が「10年」の場合は「生存給付金額の15倍」の金額が、保険期間が「終身」の場合は、以下のようになります。
年齢 | 死亡金額 |
---|---|
20歳~29歳 | 生存給付金額の55倍 |
30歳~39歳 | 生存給付金額の45倍 |
40歳~49歳 | 生存給付金額の40倍 |
50歳~59歳 | 生存給付金額の30倍 |
60歳~69歳 | 生存給付金額の20倍 |
70歳~85歳 | 生存給付金額の15倍 |
保障を上乗せできる仕組み
ひまわり認知症予防保険は、特約という形ではなく、別の保険を別途加入することで保障を上乗せすることができます。(保険組曲BEST既成緩和)
上乗せ保障できる主な商品は以下の通りです。
- 選択緩和型認知症治療保険
- 選択緩和型医療保険
- 選択緩和型入院一時金保険
- 選択緩和型7大疾病医療一時金保険(男性)
- 選択緩和型女性疾病医療一時金保険(女性)
ひまわり認知症予防保険の保険料水準
【保険期間・保険料払込期間:終身 認知症診断保険金:100万円 予防給付金:3万円】の条件で、年齢別・男女別の月払保険料を見てみます。
契約年齢 | 男性 | 女性 |
50歳 | 5,361円 | 5,579円 |
60歳 | 5,720円 | 6,338円 |
70歳 | 7,588円 | 9,065円 |
ひまわり認知症予防保険と介護問題との関係
要介護状態になる原因として「認知症」が1位となったことを踏まえると、認知症に関しての備えをしておかなくてはならない必要性があることは分かります。
しかし、ひまわり認知症予防保険は、あくまで「認知症」のみにターゲットを絞った保険であり、その他の介護状態に対しての保障性はいっさいありません。
介護状態となる原因として、認知症以外には、「脳血管疾患(脳卒中)」や「骨折・転倒」、「高齢による衰弱」なども普通に多く、「認知症」1つだけと、その他の原因を合わせたものを比較すると、認知症以外の原因で介護状態が必要になる割合のほうが多くなります。
もちろん、認知症患者を介護する負担は、他の原因によるものと比べると大きいかもしれませんが、果たして認知症ばかりに目を向けすぎて、その部分がデメリットになり得、他の原因によるものを無視して良いものなのでしょうか?
介護状態に陥る1つの原因としての「認知症」だけに保障を絞った保険にしては、保険料が高いという印象を持たざるを得ません。
介護問題の実態を踏まえて太陽生命のひまわり認知症予防保険の必要性を考えるのまとめ
介護状態に至る原因として、「認知症」だけに意識を向けすぎるのは非常に危険だと思います。
認知症というのは、あくまで「1つの原因」にしか過ぎず、実際には様々な理由により、介護状態になってしまうケースのほうが多いでしょう。
太陽生命のひまわり認知症予防保険で高めの保険料を支払うくらいであれば、朝日生命の「あんしん介護」のような、介護状態全般を保障してくれるようなタイプの保険のほうが、実際に介護を行う立場の人には、使い勝手が良いのではないでしょうか?