学資保険に入る余裕がない場合の子供の進学費用の考え方!優先すべきは「死亡保険」か「学資保険」か?
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「学資保険に入る余裕がない」=「子供の進学費用を準備できない」ではない
お子様が生まれると、将来の進学費用の準備として学資保険への加入を真っ先に考えられるご家庭も多いと思われますが、学資保険に入る余裕がないご家庭も中にはいらっしゃいます。
また、自分たちの生活保障を二の次として、学資保険への加入を再優先事項として考えるケースも少なくありません。
お子様が誕生した段階で、「死亡保険」と「学資保険」どちらに優先的に加入するべきなのかという問いに対しては、「遺族の生活保障を確実に確保してから、学資保険への加入を検討してください」と答えます。
そして、必ずしも学資保険に加入しなかった(入ってない)からと言って、また、経済的な理由で学資保険に入る余裕がない(入れない)からと言って、子供の進学を諦めなければならないということでもありません。
それぞれ解説していきたいと思います。
死亡保険を学資保険よりもなぜ優先するのか
学資保険とは、保険と名のつく商品ではありますが、「保障性」というよりもむしろ「貯蓄性」が重視された商品設計となっており、親である契約者が死亡などの万が一があった場合でも、死亡保険金が支払われません。
商品によっては、契約者死亡による「保険料払込免除」といったオプションが付いており、以降は保険料を支払うことなく、所定の年齢で学資金・満期保険金を受け取ることができるものもあります。
しかし、もし仮に親がしっかりとした死亡保障を確保しておらず、学資保険のみに加入し、何年後かに学資金・満期保険金をいくら受け取ることができることになっていたとしても、それまでの親亡き生活は一変してしまいます。
それまで当然のように家計に入ってきた収入が途端に無くなるわけですから、残された片親は身を焦がして一心不乱に働き詰めて子供を養っていかなくてはなりません。
自分たちの生活がいっぱいいっぱいな状況の中で、子供の部活用品、塾・家庭教師費用、習い事、ゲームなどの娯楽用品など、数年先の学資・満期保険金があったとしても現時点では何も役に立たず、目先の生活支出に追われてしまうのではないでしょうか?
子供は親の背中を見て成長する
親が生命保険に入らないままお亡くなりになってしまわれたご家庭の多くで、残された片親と子どもたちのその後の生活は、想像を超える悲惨なものです。
親としては、自分の生活よりも子供の将来を優先したいと考えます。
そのため、毎日毎日休みもなく朝から晩まで本当に働き詰めになり、毎日遅くに帰宅して子供の食事などの世話をする。
子供は、自分のために頑張ってくれている親の背中を、思った以上に見ています。
自分がやりたいこと、欲しいもの、将来の夢、これらを捨て、親のために進学をせずに就職をする、といった道を選ぶことが多いようです。
学資保険は自助努力としての積立商品
現在のマイナス金利の状況下において、どこの保険会社の学資保険も、そのパフォーマンスは非常に悪いです。
高い返戻率でも110%行くかどうか、平均すると105%前後ではないでしょうか?
学資保険とは、いわば「積立貯金」と同じようなものであり、毎月一定額を何年もかけて積み立てていくものです。
仮に月10,000円の保険料で18年間積み立てた場合、10,000円×12ヶ月×18年から216万円となりますが、この金額の返戻率105%であれば2,268,000円です。
10万円程度増やすことができるというお得度と、毎月どんなことがあっても強制的に10,000円が自動引落されてしまうという制度、どちらが自分たちに合っているのか、という尺度で考えてみましょう。
また個人的な経験から、もし仮に途中で部活用品で大物を購入しなければならなかったときにまとまったお金が欲しいと感じたとしても、学資保険では契約者貸付という利息が付く方法でしか、お金を使うことができません。
もしも、これが普通預金に積み立てている(または定期預金でも)場合は18年間で10万円ほどの増やすことはできないかもしれませんが、解約や引き出すのにお金が取られることもありません。
「学資保険を活用する」場合と「毎月その都度貯蓄する」場合の違い
学資保険に加入する余裕がない場合には、私は「毎月毎月余裕のある金額を自分で貯蓄していく」という手法でも、子供のための進学資金を形成することは十分だと考えます。
学資保険は、毎月決まった金額を「自動的」かつ「強制的」に積立していき、増やして将来受け取ることができるといった商品です。
経済的に困窮している月があったとしても、強制的に保険料が引かれてしまうという仕組みは、言い方を変えればデメリットとしても捉えることができます。
現在の利息事情を考慮すると、「増やす」といったことには「預貯金」には効果がほとんどありませんが、自分のペースで「無理なく」貯めることはできます。
今月は6,000円、来月は余裕があるから13,000円、といったように収入・支出のバランスを考えながら、学資資金を貯めていくということも選択肢として考えてみる価値はあると思います。
奨学金制度を活用する
それでも経済的に学資資金を積み立てていくことが難しい場合には、奨学金制度を活用することも選択肢の1つです。
有償貸与なもの、無償貸与なもの、大学毎の特色ある奨学金制度など、状況に合わせて選択することができます。
親としては、将来子供に貸与返済を負わせてしまうことに抵抗を感じるかもしれませんが、それでも、将来の選択肢を広げる上では、胸を張って使う価値のある制度だと思います。
優先すべきは「死亡保険」か「学資保険」か?学資保険に入る余裕がない場合の子供の進学費用の考え方のまとめ
保険への考え方・価値観は人それぞれですので正解はありません。
しかし、必ずしも学資保険に加入しなければならない、といった固定概念は捨てられたほうが良いのかなとは思います。
実際に最近の日本での学資保険の加入率(入っている割合)は約50%前後となっており、マイナス金利の影響である積立利率の低下から年々、加入率が下がっているのが現状です。
小学生(7歳)くらいまで入れる学資保険も存在はしていますが、返戻率でみると100%をぎりぎり超えるか超えないかというところです。
また学資保険は保険と名の付く商品である以上、その一義的な存在価値は「経済的な損失のカバー」にあります。
お子様が生まれたのであれば、真っ先に考えるは「家族の保障」、そして余裕があれば「学資保険」の順で、子供の将来を考えてみてはいかがでしょうか?
みんなが学資保険に入っているからという理由だけで契約を決めてしまうのは早計だと感じます。