日本生命のプラチナフェニックスは全損で高い返戻率で人気があるが注意すべき点は?
目次
日本生命のプラチナフェニックスは高い返戻率と全損できるのがメリット
日本生命のプラチナフェニックスは、加入から一定期間の傷害以外の死亡保険金が制限されることで保険料が割安となり、その分解約返戻率が高まるといったメリットがある商品です。
他のサイトや雑誌などでもプラチナフェニックスは評判も高く人気の法人保険ランキングなどでも上位に入っているのを見たことがある方もいるのではないでしょうか。
また、加入は簡単な項目の告知で加入でき、健康状態に不安があり、通常の長期定期保険に加入できないという経営者や、高い返戻率を求める方におすすめの法人保険です。
そこで今回は、プラチナフェニックスのメリットや注意点、実質返戻率について詳しく解説します。(追記:2019年2月にプラチナフェニックスが販売休止になる情報も追加しました。)
プラチナフェニックスの仕組み
日本生命のプラチナフェニックス(傷害保障重点期間設定型長期定期保険)は長期定期保険のひとつで、全損タイプ(保険料の全額を損金計上できる)の保険です。
この保険は、一定時期までを傷害死亡のみしか補償せず(第一保険期間:10〜50年の間で、5年刻みで設定可能)、一定時期を超えたらすべての死亡を補償する(第二保険期間)よう設計しています。
こうすることで第一保険期間中に払った保険料の大部分が積立に回ることが出来、解約時の返戻金を大きくしています。
2019年2月、プラチナフェニックスは販売停止へ
以前より噂されておりました、プラチナフェニックスの販売停止(販売休止)がついに決まったようです。
国税庁は、プラチナフェニックスの販売手法が節税ありきのスタイルになっており、保険という概念を逸脱しているとして見直しを要求したようですが、プラチナフェニックスを販売する日本生命を含む他三社(第一生命、明治安田生命、住友生命)の類似商品を販売休止にする決断をしました。
経営者にとっては全額損金扱いできる点など、魅力的なプラチナフェニックスでしたが、生命保険会社としての利ザヤは薄く、経営資本が少ない保険会社では取り扱うことが難しい点や10年後の解約時期が集中することで保険会社の経営悪化が問題視されていました。
とりあえず、2019年2月13日の毎日新聞の取材に対して各保険会社は「該当商品を販売休止にする方針」であるといっていますから、もしも契約したい人は駆け込み契約ができるチャンスかもしれません。(ただ焦って契約する保険にいいことはありませんが…。)
それらを踏まえて、この記事を参考にしていただければ幸いです。
実質返戻率とは
「実質返戻率」は、法人で加入した際に支払保険料が損金に算入出来ることによるメリットを表しており、具体的な計算方法は以下になります。
実質返戻率とは保険料を支払った事により減少した税負担を考慮した「実際に負担した保険料」に対して契約を解約した場合に支払われる解約返戻金がどのくらいの割合で戻ってくるかを表している指標です。
よって、実質返戻率が100%を超えると、払った保険料から安くなった税金を差し引いた金額より解約した際に戻ってくる返戻金が多いということになります。
プラチナフェニックスの実質返戻率
プラチナフェニックスを60歳で契約し、保険料を10年間支払った後解約すると支払った保険料の約85%が手元に残ります。
毎年利益が1,000万円有ったと仮定して計算してみます ※法人税35%で試算
1年目利益:1,000万円・・・法人税350万円・・・会社に残るお金(1,000ー350=650万円)
10年目⇒会社にある現金:650万円✕10年=6,500万円
1年目保険料:1,000万円(全額損金)・・・法人税0円・・・会社に残るお金(1,000ー1,000=0)
10年目⇒会社にある現金:0円(この状態ではゼロですが、この保険を解約すると解約返戻金が戻ってきます)
10年間、何も対策していなければ6,500万円だったのが、保険に加入していたことで10年後に8,500万円になるのです。
※8,500万円÷6,500万円=約130.7%(実質返戻率)
プラチナフェニックスの節税効果
このように、プラチナフェニックスに加入すると支払った保険料全額を会社の経費として計上できるため、法人税の課税対象となる利益を減らし税負担を軽減することができます。
また、加入して一定期間後に解約すれば支払った保険料が解約返戻金として戻ってきますが、解約返戻金は経営者の退職金などの経費にあてることで課税対象とはならず、結果的に節税効果がある保険だと言えます。
プラチナフェニックスの返戻率を踏まえてのデメリットは?まとめ
しかしながら、プラチナフェニックスは、経営者の退職時(60代後半~70代前半)の退職金が見えている死亡リスクの高い年齢齢(50代~60代)じゃないと節税効果を発揮しにくい為、20代~30代の経営者にとってはさほど良い商品ではないと言えます。
また、解約時に退職金を払うように設計するといった財務戦略を組んでいれば問題ないですが、解約までの期間ずっと利益を出し続けるという前提をクリアしなければなりませんし、退職のタイミングがずれてしまった場合も解約時の税金だけが高くなる可能性があり、この保険の最大の効果を消してしまう可能性がありますので、加入の際は慎重に判断することをお勧めします。