アクサダイレクト生命の就業不能保険は自営業者の方は検討の余地あり!内容や評判について
目次
アクサダイレクト生命の就業不能保険
2018年9月、アクサダイレクト生命より働くことができなくなってしまった際の収入減に備える「就業不能保険」(アクサダイレクトの働けないときの安心)が発売されました。
就業不能保険の分野は、ライフネット生命の「働くひとへの保険」を皮切りに、しつこいほどテレビCMを連発しているアフラックの「給与サポート保険」により認知が広まってきています。
しかし、「働くことができない」=「収入がなくなる」とは一概には言えず、社会保障が充実している日本においては、それほど緊急性の高い保障分野ではないと私は考えています。
穿った見方をしてしまえば、就業不能保険という分野はマイナス金利の影響で終身保険と言った貯蓄性保険の魅力が相対的に落ちてしまった経営事情をカバーするための、各保険会社の苦肉の策のようにも感じます。
精神疾患による就業不能状態を保障してくれることに加えて割安は保険料をウリ・評判にしている、アクサダイレクト生命の就業不能保険の中身を見てみます。
アクサダイレクト生命の就業不能保険の特徴
就業不能給付金
アクサダイレクト生命の就業不能保険は、精神疾患による就業不能状態と、精神疾患以外の病気やケガによる就業不能状態で、収入保障保険のように「年金月額」で就業不能給付金を受け取ることができます。
どちらをきっかけとして就業不能状態になってしまったかによって、就業不能給付金をどの期間受け取ることができるのかが変わってきます。
「精神疾患以外」による就業不能の場合、保険期間満了まで回数無制限で就業不能給付金を受け取ることができます。
しかし、「精神疾患」による就業不能の場合は、保険期間満了まで「通算15回」しか給付金を受け取ることができないため、精神疾患による就業不能状態は非常に長期間に渡ることを考えると、「15回」という回数は少なく不安が残る印象です。
就業不能状態からの回復
就業不能給付金は、就業不能状態から回復した段階で給付はストップしてしまいます。
つまり、給付金を受け取るためには、依然として就業不能状態であるのかどうかを証明する必要があります。
毎月毎月、必要書類を保険会社に提出しなければならないことには注意が必要です。
支払対象外期間
就業不能給付金は、就業不能状態になってすぐに貰えるわけではありません。
働くことができなくなってしまった段階から「60日間」は、支払対象外期間とされています。
つまり60日間、約2ヶ月間働くことができない状態が「継続している」ことが給付金を受け取るための条件となっているため、相当に重い状態にならないと保障を受けられないと言えるでしょう。
就業不能状態の定義
精神疾患以外による就業不能状態
精神疾患以外の病気やケガを発症した場合、以下の条件を満たすと就業不能給付金を受け取ることができます。
①治療のための入院、②医師の指示による在宅療養、③国民年金法施行令に定める障害等級1級または2級に認定された状態
就業不能給付金を受け取ることができるのは、就業不能状態になってから「60日間以上」その状態が継続していなければならないことを考えると、やはり給付金を受け取るための条件は厳しそうです。
精神疾患による就業不能状態
精神疾患を起因とする就業不能状態は、以下の条件となります。
①治療を目的とした入院、②国民年金法施行令または精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行例に定める障害等級2級以上に認定された状態
うつ病などの精神疾患の罹患率は年々上がっており、数ある疾病の中でも精神疾患による入院日数は、群を抜いて長期化している状況を考えると、精神疾患による就業不能状態の場合、給付金を受けやすいと言えるでしょう。
ただ、私の周りのうつによる休職を経験した人でも入院に至るケースは稀であり、こちらも軽度の鬱病では給付金を受給するのは難しいかもしれません。
しかも、精神疾患以外による就業不能状態の条件「医師の指示による在宅療養」が含まれていない点、就業不能給付金の給付回数が「15回」と少ない点を考えると、少々心もとない保障内容に映ります。
満額タイプとハーフタイプ
アクサダイレクト生命の就業不能保険は、就業不能給付金を最初から「満額」受け取れるコースと、一定期間は「半額」に抑え、その後「満額」受け取れるコースの2タイプが用意されています。
これは、自営業者と会社員・公務員の社会保障の違い「傷病手当金」や「障害厚生年金」の有無を考慮されたものです。
会社員・公務員など、社会保障が充実している職業に付いている方は、働くことができなくなった場合でも、今までの給料の3分の2に該当する金額を、最長1年6ヶ月間受け取ることができる「傷病手当金」という保障があります。
また、障害年金においても、障害基礎年金しかない自営業者に比べ、会社員・公務員の方は、障害基礎年金に加えて「障害厚生年金」も受給できるとことから、過剰保障にならないように、一定期間の給付金額を抑えることで、より割安な保険料での加入が可能となっています。
保険料試算
それでは、加入時の年齢ごとの月払保険料を、「満額タイプ」と「ハーフタイプ」それぞれで見てみます。
就業不能給付金月額:10万円 保険期間・保険料払込期間:65歳満了
プラン | 20歳 | 30歳 | 40歳 | 50歳 | |
男性 | 満額タイプ | 2,020円 | 2,370円 | 2,890円 | 3,700円 |
ハーフタイプ | 1,550円 | 1,810円 | 2,190円 | 2,800円 | |
女性 | 満額タイプ | 1,650円 | 1,990円 | 2,470円 | 2,920円 |
ハーフタイプ | 1,230円 | 1,470円 | 1,810円 | 2,130円 |
保険料は比較的割安な水準だと思います。
アクサダイレクト生命の就業不能保険はどんな人に向いている?おすすめ?
基本的に、会社員・公務員の方であれば、手厚い社会保障があるため、あえて保険料支出を増やしてまで就業不能状態に備えておく必要性は薄いと感じます。(これはアクサダイレクト生命に限らずですが…。)
毎月毎月就労不能状態であることを証明する書類を保険会社に提出するという大きな手間もありますし、その状態から回復してしまった場合には給付がストップするという仕組みも、個人的には保険料との兼ね合いが悪いと感じます。(他社には、いったん就業不能状態に該当すれば、その状態から回復していても給付金をもらい続けることができる、といった類の商品もあるので。)
そうなると、社会保障が手薄い「自営業者」の方が、「満額タイプ」でならば、アクサダイレクト生命の就業不能保険は検討する余地はあると思います。
ただ、就業不能保障については、生命保険の分野に限らず、損害保険の分野における「所得補償保険」という商品もあります。
所得補償保険
自営業者の方であれば、損害保険会社で取り扱っている所得補償保険に既に加入済みの方も多いのではないでしょうか?
アクサダイレクト生命の就業不能保険のように、「支払対象外期間」として60日間もの長い期間保障を受けられない仕組みではなく、短くて「7日間」だけといったタイプの所得補償保険もあります。
自営業者の方にとっての「60日間」、つまり2ヶ月もの間保障がないというのは少々キツイと思いますので、7日後から保障を得られる所得補償保険には優位性があります。
しかし、保障を受けられる期間が「1年間」となっているものが一般的であるため、長期に渡る保障がないという点がデメリットでしょうか。
就業不能保険、所得補償保険、どちらにもメリット・デメリットがあるため、しっかりと比較検討することが大切だと思います。
自営業者の方は検討の余地あり!アクサダイレクト生命の就業不能保険についてのまとめ
アクサダイレクト生命の就業不能保険は、保険料の割安さ、医師による診査がないこと(告知はありますが)から、気軽に契約してしまいがちな水準であると言えます。
しかし、本当に自分にとって必要な保障なのかをしっかりと考える必要があるでしょう。
また、生命保険だけが就業不能の問題を解決できるわけではないという点も踏まえ、様々な選択肢の中から「比較」することが大切だと思います。