未来ステップの評判は?(マニュライフ生命の変額保険=有期型)商品性や保険会社を評価してみた
目次
「未来ステップ」の評判について(マニュライフ生命の変額保険=有期型)
マニュライフ生命の変額年金保険「未来ステップ」はシンプルな変額保険で、保険というより投資信託に近い商品です。
マニュライフ生命のセールスマンから購入できる保険で、銀行などの金融機関では取扱いをしていません。
ここでは、この商品の仕組みと特徴、評判のほか商品に対する評価を検討しましたのでご紹介します。
1.「未来ステップ」の仕組み
未来ステップは有期型の変額保険で、運用実績に応じて解約返戻金が変動する保険です。
終身保険ではなく、一定の期間または年齢で保険期間が終期を迎えます、養老保険と同様に満期保険金があります。
保険料の支払い方法は月払いのみで、保険金額は月払い保険料×12×保険期間(年数)となっています。
例えば、毎月の保険料を1万円、保険料払込み期間が30年でしたら、1×12×30=360万円が死亡保険金になります。
保障性は薄く、どちらかと言えば投資信託に近い商品です。
2.「未来ステップ」の保険商品としての特徴
「未来ステップ」はマニュライフ生命のセールスマンや同社の保険代理店で購入することができますが、銀行や信用金庫などの金融機関での取扱いはありません。
月払いしか保険料の払込み方法がないので、積立保険のような感覚でお勧めされている商品でしょう。
将来のためにコツコツとお金を貯めたい人向けの商品ですので、運用商品としての性格が強い商品です。
商品のパンフレットの内容は、バランス型の投資信託を見ているようで、販売規制の関係で投資信託を扱えないセールスマンや保険代理店の要望に応えたものと思われます。
3.「未来ステップ」の保険料は毎月払い、コツコツタイプの方にピッタリの保険
「未来ステップ」は毎月払いの保険で、その運用は保険会社の特別勘定で運用されますので、保証利率はありません。
実際にはマニュライフ生命のグループ会社であるマニュライフ・アセット・マネジメントの投資信託で運用されますので、実質は投資信託の購入とほぼ同じです。
投資の世界で毎月一定額の購入を継続することをドルコスト平均法といいますが、長期投資では最もオーソドックスな投資手法でリスクの小さな購入法なので、月払いに限定していることは評価できます。
例えば、日経平均が史上最高値をつけた1989年のバブルのピークに株式投信の定額積み立てを開始した人が、28年後の現在では元本が1.7倍になったというのは有名な話です。
定額で買い続けることで、高い時には少し、安い時には多く買うことを繰り返すことで投資の安全性が高まります、つまり長い目で見れば「相場に勝つ」ことができるためです。
4.「未来ステップ」の特徴(運用ファンドは3種類)
「未来ステップ」を運用商品として評価する時は、他の保険商品と比較するのではなく、投資信託としてみた方が良いでしょう。
投信との比較で最も大切なのは、資産配分(アセットアロケーション)と手数料ですが、手数料比較は似たような資産配分の商品と比較することが大事です。
この保険の投資ファンドは3つあり、「グローバルバランス75」、「グローバルバランス50」、「日本債券型」の中から一つ選択して運用が開始されます。
「グローバルバランス75」は株式への投資が75%、債券25%、「グローバルバランス50」は株式50%、債券50%となっていますが、どちらのファンドも国内より海外への資産配分ウエイトが高くなっています。
米国株式は少し調整があったものの、最近のアメリカ経済は絶好調でしたので、この資産配分は時代の流れに沿った合理的なものと言えます。
5.「未来ステップ」の特徴(手数料について)
「未来ステップ」は、毎月の保険料から保険関係費用と資産運用関係費用を控除した残額が特別勘定に投入されます。
商品パンフでは、特別勘定の運用成績がプラスマイナスゼロであった場合の例が出ていますので保険関係費用と運用費用が凡そ予想できます。
例表では経過10年後の解約返戻金は182万円(保険料2万円、払込累計保険料は240万円)ですので、払込保険料に対して24%(=(240-182)÷240)は保険関係費用と運用費用に費やされていることになります。
また、この商品で最も資産運用関係費用が高い「グローバルバランス75」の場合でも、同費用は年0.3888%なので、費用の殆どは保険関係費用に使われていることがわかります。
一般的な投資信託の手数料は年1~3%程度ですので、「未来ステップ」の手数料(年0.3888%)は安いと思いましたが、保険関係費用がかさんでいることが分かりますので収益面での期待は薄いと言わざる得ません。
株式の配分ウエイトが75%と高いので、成長に対するのエンジンは強いのですが、手数料をこれだけ控除されるとさすがに大きな成長は見込みにくいでしょう。
6.「未来ステップ」の特徴(解約控除について)
変額保険の場合、早期解約の場合、解約控除金が積立金から差し引かれます。
名称は異なりますが、投資信託も信託財産留保金と呼ばれるものがありますが、最近ではこの費用がかからないものが多くなっているので、この解約控除は割高な手数料と相まって投資効率を下げるでしょう。
解約控除の高低については、ここでは触れませんが、手数料が結構かかるうえに解約控除まで取られると、運用商品としての魅力は薄れてきます。
7.「未来ステップ」の評判(お客さまの多くは株への投資は回避)
「未来ステップ」に対する評価ですが、商品性はほぼ投資信託に近く、実際の運用もマニュライフ生命で行うのでなく、マニュライフ・アセット・マネジメント株式会社という会社で行われます。
商品パンフレットも投資信託のような内容構成になっており、マニュライフ生命もお客さまの投資ニーズに応えるための商品として開発したものと思われます。
ファンドは3種類あり、お客さまがファンドを選択しますが、運用レポートからその選択割合を推測すると、「グローバルバランス75」:「グローバルバランス50」:「日本債券型」=25:5:70 程度です。
積極的な投資スタンスを持つ「グローバルバランス75」があるにも関わらず、7割のお客さまは「日本債券型」を選択していますので、販売現場であまりファンド特性の説明がされていないような気がします。
また、ベンチマーク(目標)に対する成果を見ても、3ファンドともそれを下回る結果ですが(つまり相場に負けている)、純資産残高が大きくないため運用効率性に見劣りがあるためではないかと思います。
銀行の窓口では、世界株やリートなどが売れ筋となっていますので、この販売割合には大きな違和感を覚えます。
8.「未来ステップ」の評価
この保険は投資信託類似商品と言えますが、商品パンフレットは分かりやすく、毎月の積立感覚で契約できますので、販売の現場でも売りやすい商品かも知れません。
しかし、保険料の全額が投資されるのではなく、高い手数料が運用成果に大きな影響を与える可能性があります。
パンフレットから推測する限り手数料負担が重く、フルインベストメントによる投資効果の追及は難しいです。
また、販売実績も大きな運用成果が期待できない日本債券型の販売実績が多く、勧奨の際に外国株式を入れる意義があまり説明されていないと推測されます。
保険で積立をしようとする手堅いお客さまを相手に、値動きの大きな外国株式を入れる意義を理解いただけてないかもしれません。
運用レポートによれば投資信託のファンドの規模は伸びていますが、投資信託を組成するファンドとしての規模は小さく、今後もパフォーマンスに対する期待はあまりできません。
最初に触れたように、積立による投資はドルコスト平均法の効果で時間の経過とともに運用リスクは軽減されますので、購入されるなら長期加入を原則としてください。
運用商品と考えるなら、投資信託との比較は行うべきでしょう。
9.マニュライフ生命について
マニュライフ生命はカナダに本社がある外資系の生命保険会社で経営は安定しています。
破綻した第百生命の受け皿としてマニュライフ本社が救済した歴史があります。
実質的な歴史は救済2年目の2001年からで、生命保険の銀行窓販開始を機に大きく日本での業容を拡大させ、メガバンクにも商品を提供するなど順調に事業基盤は築いてきました。
ただし、第百生命という中規模生保の事業基盤を引き継いだ会社なので、保険会社としては中堅の域を出ませんので、経営に対する注視は大手生保よりは必要と思います。
また、保険業界の競争は厳しいので、採算性が悪くなれば外資系企業ですから撤退する可能性は否定できませんので、その辺りも考えながら加入するようにしてください。