ドル建てリタイヤメントインカムの落とし穴
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リタイヤメントインカムの購入者が増えてますが・・・
外資系保険会社の営業マンから「ドルの貯金」と言って、最終的にはこんなに増える!!と薦められて購入した方も多いドル建てリタイヤメントインカム。
そんなに上手い話があるのか検証してみました。
リタイヤメントインカムとは?
正式名称は「ドル建て特殊養老保険」という名前なのですが、ズバッと言ってしまうと手数料の取られる貯蓄です。
普通の養老保険と言うものは、期間を決めて死亡保障=満期保険金となる貯蓄型の保険なのですが、この「特殊養老保険」は死亡保障の額を約半額にしています。
その削減分を満期返戻金に上乗せして、あたかも返戻金が増える、という見せ方をして販売しています。
リタイヤメントインカムの実態
実際に、30歳の人が60歳を満期期間に設定し、保険金額を50,000ドルにして保険を設計すると、月の保険料は218.30ドルで60歳時点の満期返戻金は100,000ドル。
解約返戻率は127%になります。
確かに保険商品で返戻率127%は非常に高い数字ですが果たして保険としてはどうでしょうか。
- 218.30ドルの保険料を支払う場合、ドル終身保険は約160,000ドルの保障が組めます。つまりリタイヤメントインカムは終身保険の1/3以下の保障しか付けられません。
- 返戻率が100%を超えると保障額=解約返戻金額となってしまうため、保険としての効果はなくなります。
- 増えると営業に伝えられましたが、加入して数年の間は多くの手数料が取られます。数年で解約した場合はかなりの損失が出ます。
- 増えると言うことは税金が掛かります。満期保険金を一時金受け取った場合、返戻率127%だとしたら27%分が一時所得の対象になります。
- もし満期のタイミングで急激な円高に見回られた場合、ドルで受け取り、円安になるまで寝かさなければ、税金を取られ更に損をしてしまいます。
- 満期以後は保障が一切なくなりますので、60歳のタイミングで保障を残したいとしても、残念ながら現金化されてしまいます。
- 個人年金ではありませんので、一般の生命保険料控除にしかなりません。個人年金保険でも、年金を最後まで受け取ると返戻率は120%以上になりますので、もしやるのであれば個人年金保険をオススメします。
- むしろ貯金であれば、ポートフォリオの観点から、円高時にドルを買うことが基本になりますので、毎月×30年も払う契約をすることは、為替のメリットに目を瞑ることになります。
- 払い済み保険への変更も期間を定めて終身よりも短くしている分、十分な効果は発揮できません。
このようにデメリット盛りだくさんなんですよね。
リタイアメントインカムのデメリット、そこまで大きくないと感じる方は
メットライフ生命やジブラルタ生命のドル建て終身保険等で十分な死亡保障、年金控除枠も使い切ってしまっている、あるいは若干働いている期間だけ死亡保障をつけたい方にはそのようなデメリットもあまり感じないかもしれません。
学資や子供の家の頭金等等、必ず使うことが決まっているお金に備える意味で利率の良い商品を探している方にも良い・・・と考えられますが、実は予定利率がさらに良い保険商品、投資商品があるためそれはそれで使い勝手の悪い商品になります。(学資の積み立てにリタイアメントインカムを利用するとは)
リタイアメントインカムの落とし穴まとめ
利率が高い分、保障として抜群の効果を発揮するドルなのに、その保障を潰し20年後の返戻率で優位性を見せるというのは、ハッキリ言って保険を知らない人が、安易に増えるから追加で頼むよと押し売りをしている結果でしかありません。
実はこれに気付いているお客様が続出しているため、継続率が低いそうです。
ドルで受け取って、円が安くなるまで置いておいた場合、自分で為替に変えた時に保険のメリットの一つである為替手数料の安さも失われることになります。
ですので、デメリットを感じてもあまりメリットのある方がものすごく限定的であることを念頭に保険選びを続けてください。
また、ドル建て保険を選ぶ際には「【永久保存版!】米ドル建て保険ランキング【2017年度】」の記事も参考にしてみてください。
参考:リタイヤメントインカムやドル建て保険についてもっと知りたい方は
仕組みが複雑なリタイヤメントインカムやドル建て保険について詳しく知りたい方は、以下のような記事を参考にしてみてください。
プルデンシャル生命・ジブラルタ生命のリタイヤメントインカムや養老保険について知りたい方は
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【2017年】プルデンシャル生命といえども養老保険の評判としては「悪い」と言わざるを得ない