ソニー生命のドル建て保険を予定利率・積立利率・運用利回りで見てみる
目次
ソニー生命のドル建て保険を利率の面から言及する
色々な方からお話しを聞くと、予定利率・積立利率・運用利回りを勘違いされて、その言葉を使っていることをよく耳にします。
似たような言葉ですが、その意味は異なり、誤ってその言葉を使ってしまうと、「保険業法」に抵触しかねないリスクも生じます。
今回は、ソニー生命のドル建て保険を、予定利率・積立利率・運用利回りの3つの側面から考察してみます。
予定利率・積立利率・運用利回りについて
まず、3つの言葉の意味・違いを明確にしてみます。
非常に混同しやすいのですが、保険について言及する際には、その言葉をうまく使い分ける必要があります。
それぞれ見ていきましょう。
予定利率とは?
予定利率とは、保険会社が「保険料を決める」ときのひとつの要素であり、一般的には、保険料は、予定死亡率・予定利率・予定事業費率という3つの率から算出されます。
予定利率とは、保険会社が今後どのくらいの運用を見込めるか、といった「予測」から成り立ち、高い運用益が見込めるのであれば、それは「保険料が安くなる」ことにつながり、一方、低い運用益しか見込めないのであれば「保険料が高くなる」ことになります。
支払った保険料がまるごと運用に回されるのではなく、会社側の経費や手数料が引かれた金額が運用資金となります。
保険外交員がよく使う「この保険は予定利率2%で運用されるから、銀行に置いておくよりもお得ですよ」といったトークは、そのまま2%の利回りを得られることではないことにご注意ください。
銀行の金利とは異なるものなので、保険料がどのくらい安くなるのか、「予定利率=保険料の割引率」として考えたほうが間違えることはないでしょう。
積立利率とは?
支払った保険料の中から経費や手数料が引かれた、純粋に保険会社に「積み立てられている部分、貯まっている部分」が、今後どのような割合で運用されていくのかを表す言葉です。
いわゆる「運用率」そのものを意味します。
ただ、支払った保険料から経費や手数料を差し引いた金額が、運用される金額になるので、その率を計算する際には、「支払った保険料に対して」何%といった計算方法にはなりませんのでご注意ください。
予定利率については、どの保険会社でも問い合わせすれば教えてくれますが、この積立利率は非公開としている会社が多く、その場合は自分で計算することは困難を極めます。(経費や手数料は当然非公開なので、ほぼ不可能です。)
ソニー生命のドル建て保険に関しても、積立利率は非公開となっています。(聞いても教えてくれませんでした。)
運用利回りとは?
支払った保険料に対して、どのくらいお金が増えるか・増えたか、その貯まった割合を1年あたりで表したものです。
例えば、「500万円支払い10年後に800万円になった」場合は
(800万円 - 500万円) ÷ 500万円 ÷ 10年 × 100 の計算で求められ、運用利回りは6%と言えることができます。
支払った金額に対して増えた金額から計算されるので、この「運用利回り」が一般的に知りたい数値になるではないでしょうか?
ソニー生命のドル建て保険の予定利率・積立利率・運用利回り
ソニー生命にはドル建て保険は3種類あります。
・米ドル建終身保険
・米ドル建養老保険
・米ドル建特殊養老保険
それぞれ見ていきます。
予定利率
・米ドル建終身保険 → 3.00%
・米ドル建養老保険 → 2.75%
・米ドル建特殊養老保険 → 2.75%
積立利率
こちらは、ソニー生命に確認してみましたが教えていただくことはできませんでした。
運用利回り
ソニー生命の資料をもとに計算してみます。
【米ドル建終身保険】
被保険者:35歳男性 保険金額:100,000ドル 保険期間:終身 保険料払込期間:60歳 月保険料:176.20ドル 保険料合計:52,860ドル 60歳時解約返戻金:55,350ドル
(55,350ドル - 52,860ドル)÷ 52,860ドル ÷ 25年 × 100 = 0.19%
【米ドル建養老保険】
被保険者:35歳男性 保険金額:100,000ドル 保険期間:60歳 保険料払込期間:60歳 月保険料:288.60ドル 保険料合計:86,580ドル 満期保険金額:100,000ドル
(100,000ドル - 86,580ドル)÷ 86,580ドル ÷ 25年 × 100 = 0.62%
【米ドル建特殊養老保険】
被保険者:35歳男性 保険金額:50,000ドル 保険期間:60歳 保険料払込期間:60歳 月保険料:278.95ドル 保険料合計:83,685ドル 満期保険金額:100,000ドル
(100,000ドル - 83,685ドル)÷ 83,685ドル ÷ 25年 × 100 = 0.78%
予定利率と運用利回りの比較
ドル建終身保険の予定利率は3.00%であったのに対し、60歳までの運用利回りで考えてみると、1年でなんと「0.19%」程度しか運用できていないことが分かります。
ドル建養老保険も、ドル建特殊養老保険も、予定利率は2.75%であったのに対し、60歳満期での運用利回りは、1年でそれぞれ「0.62%」と「0.78%」程度です。
「予定利率の3%の商品です」と言われるのと「運用利回り0.19%の商品です」と言われたのでは、後者には全く魅力があるようには聞こえませんよね。
これに加えて、外貨建ての保険は、円と外貨をそれぞれ両替する際の「為替手数料」というコストが発生します。
実質的には、それぞれ計算した運用利回りはさらに悪い数字になるでしょう。
予定利率と運用利回りを誤認しないために
予定利率という言葉を本当に理解している人は少ないので、それを逆手にとり、予定利率=利回りと勘違いさせる話法が多くなっています。
販売側は、「予定利率=利回り」とは直接的には言いませんが(言っていた、そう聞いた、としたら大問題です)、「予定利率≠利回り」とあえて自発的に説明することもしません。
知らないことはリスクです。
販売側が、聞こえの良い数字ばかりを前面に押し出す手法を取ってくるのであれば、契約者側も正しい知識を身につけて対抗する術を持たなくてはいけません。
ソニー生命のドル建て保険を予定利率・積立利率・運用利回りで見てみるのまとめ
個人的には、貯蓄や運用目的で保険を使うことは非効率だと考えています。
実際の運用利回りを見ればわかるとおり、大して運用メリットがあるとは思えないからです。
しかし、保障という観点からは、予定利率が3%であることは、保険料が非常に安くなっています。
以前に論じた記事がありますので参考までに載せておきますが、保険料の観点からはドル建て保険はとても良い商品だと思います。
参考:ソニー生命のドル建て保険について気になる人におすすめの保険
ソニー生命のドル建て保険について気になっている人は、以下のような記事も参考にしてみてください。
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