第一生命の医療保険「なでしこエール」の優位性は果たしてあるのか?
目次
第一生命の医療保険「なでしこエール」
第一生命をはじめ、国内保険会社の生命保険は、生命保険に源氏名が付いており(○○人生、ミライの○○○など)、その中身は極少額の主契約である終身保険(最近ではアカウントタイプが主流)に、医療保険や定期保険などの特約が10年更新で乗せられているセット商品がほとんどです。
第一生命の医療保険「なでしこエール」は、国内生保には珍しく単体で加入することができる医療保険になっています。
「なでしこエール」という源氏名から推測できるように、女性向けの医療保険になります。
今回は、この中身について確認してみた上で、なでしこエールの保険料を代表的な医療保険と比べながら、優位性があるのかどうかを検証してみたいと思います。
なでしこエールとは
この医療保険は、「メディカルエール」という名の医療保険に、「女性特定治療特約」と「保険料払込免除特約」の2つの特約が付加されている商品になります。
主契約部分に関しては、「メディカルエール」という医療保険の内容と相違はありません。
しかし、加入可能年齢に問題があり、「15歳から49歳までの女性」しか加入することができません。
その上、保険料払込期間も「終身払い」のみとなっていることにご注意ください。
給付金の支払限度日数は、「60日型」「120日型」「240日型」「60日(生活習慣病入院給 付金120日)型」「60日(生活習慣病入院給付金240日)型」「120日(生活習慣病入院給付金240日)型」から選ぶことになります。
主契約の保障
- 疾病・災害入院給付金 ・・・ 入院給付金日額5,000円から
- 手術給付金 ・・・ 入院時手術:入院給付金日額 × 20倍 外来手術:入院給付金日額 × 5倍
- 放射線治療給付金 ・・・ 入院給付金日額 × 10倍 60日間で1回給付
- 骨髄ドナー給付金 ・・・ 入院給付金日額 × 20倍
女性特定治療特約
乳房、子宮または子宮附属器(卵巣および卵管)の所定の手術を受けられたとき、および、その手術を受けた乳房について乳房再建手術を受けられたときに給付金が支給されます。
女性疾病での入院日額の増額は、一般的な女性向け医療保険ではよく見ますが、この特約は所定の「手術」時に給付金が支給されるという特徴があります。
給付金額は、入院日額の金額問わず、最大「100万円」が支給され、手術箇所や術式によって「10万~100万円」の金額になります。
なお、この特約については、異常分娩における帝王切開などは対象とはしておらず、主契約部分の手術給付金額になりますのでご注意ください。
6つの型(タイプ)
なでしこエールには、付加されている給付金によって6つのタイプが存在します。
- A1型 ・・・ 入院一時給付金
- A2型 ・・・ 何もなし
- B1型 ・・・ 入院一時給付金と生活習慣病入院給付金
- B2型 ・・・ 生活習慣病入院給付金
- C1型 ・・・ 入院一時給付金と女性特定疾病入院給付金
- C2型 ・・・ 女性特定疾病入院給付金
生活習慣病入院給付金と女性特定疾病入院給付金を重複して保障を持つことができないようです。
保険料的には、何も特別に給付されるものがないA2型が一番安くなります。
入院一時給付金
(日帰り入院を含む)病気・ケガで1日以上の入院をした場合に、「入院給付金日額 × 5倍」の金額が一時金として支給され、支払い回数限度は通算して30回までとなっています。
生活習慣病入院給付金
生活習慣病による入院時に、主契約の入院給付金額が上乗せされます。
単純に入院給付金額が2倍になります。
生活習慣病の定義は、「悪性新生物(上皮内新生物含む)、心疾患、脳血管疾患、糖尿病、高血圧性疾患、肝疾患、腎疾患、膵疾患」となっており、これらに当てはまらない疾病もありますので、約款を参考にしてみてください。
女性特定疾病入院給付金
特定の女性疾病で入院された場合に、主契約の入院給付金額が上乗せされます。
生活習慣病入院給付金と同様に、給付金額が日額「2倍」になります。
「なでしこエール」の保険料
契約年齢:30歳女性 入院日額:5,000円 保険期間・保険料払込期間:終身 給付金支払限度:60日 という条件で、上記の「A1型からC2型」までの保険料の試算をしてみます。
プラン | A1型 | A2型 | B1型 | B2型 | C1型 | C2型 |
---|---|---|---|---|---|---|
保険料 | 3,976円/月 | 3,491円/月 | 4,736円/月 | 4,251円/月 | 4,676円/月 | 4,191円/月 |
保険料の比較
一般的な女性向けの医療保険にある、女性特有の疾病で入院した場合に入院日額が上乗せされる「女性入院特約」は、なでしこエールでは「女性特定疾病入院給付金」が該当します。
そのため、なでしこエールのC2型の保険料:4,191円を、他社の医療保険と比較してみます。
オリックス生命:新キュア・レディ ・・・ 2,155円/月
東京海上日動あんしん生命:メディカルkit NEO ・・・ 2,310円/月
新キュア・レディには、女性疾病時の手術給付金がありませんが、メディカルkit NEOには、女性疾病手術給付金はありませんが乳房再建手術を受けた時には100万円支給されます。
なでしこエールの優位性
単純な保険料の比較では、約2倍も割高な保険料になってしまっているなでしこエールですが、他社にはない優位性はあるのでしょうか?
それは、「女性特定治療特約」の存在でしょう。
一般的には、女性疾病においては、入院は保障するタイプが多いですが、「手術」を保障するタイプはあまり見かけません。
ですので、手術を伴うほどの疾病であった場合には、この女性特定治療特約が生きてくる訳ですが、果たして2倍以上の保険料の差にその価値を見い出せるかどうかに依るでしょう。
個人的には、健康保険で適用になる「高額療養費制度」が日本には存在するので、手術費が高額になってもそう困ることはないので、この女性特定治療特約の必要性は低いと考えますが、それでも手術を受ければ給付金が支給される訳ですから、あとは2倍以上の保険料分の価値を見いだせたのであれば、検討の余地があるかと思います。
第一生命の医療保険「なでしこエール」の優位性は果たしてあるのか?のまとめ
手厚く保障を持とうとすれば、その分保険料が上がるのは当然ですし、広告料も人件費も多くかかっている第一生命に保険料の安さを追求するのはお門違いです。
あとは、保障と保険料の兼ね合いで、その保障の「価値」があると判断できるのか、できないのかは本当に人それぞれになります。
第一生命というブランド力に安心感を感じる人はやや割高でも同じような保障だったら第一生命のなでしこエールの方が安心材料になりますよね。
ただ、その安心材料のために他社の保険料と比べた時に2倍近い保険料の差をどう捉えるかは、個人の価値観によるため何十年と保険料を支払っていくことをしっかりと考慮した上で、医療保険を選ぶ必要性があるでしょう。