明治安田生命の外貨建て一時払い終身保険「エブリバディプラス」は魅力低
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明治安田生命の外貨建て一時払い終身保険「エブリバディプラス」
近年、国内保険会社から外国通貨建ての一時払い保険の販売が多くなっています。
今までは外資系生命保険会社の十八番の分野でしたが、国内生保も負けじと新商品を開発してきています。
今回は、2017年6月に発売された明治安田生命の一時払い外貨建て終身保険「エブリバディプラス」について解説してみたいと思います。
「米ドル建て一時払養老保険」については「明治安田生命の「米ドル建一時払養老保険」は外貨建て入門編だった?」の記事をご覧ください。
エブリバディプラスの特徴
明治安田生命で取り扱っている外貨建て一時払い終身保険「エブリバディプラス」は、銀行等の金融機関窓口販売専用商品となっています。
詳細を聞くためには、直接取り扱っている銀行窓口に赴く必要があります。
そもそも一時払い保険は、まとまった金額を一括で支払い、どれだけ金額を増やすことができるのか、という投資の側面があるため、低金利で利息があまり付かない銀行側が、積極的に資金を集めるには手っ取り早い商品です。
具体的な特徴をいくつか見てみます。
指定通貨
指定できる外貨は、「米ドル」と「豪ドル」の2つからになります。
一時払いで支払う金額については、「米ドル」「豪ドル」での支払いも可能ですが、ほとんどの方はその時の為替レートで換算して支払うことになるでしょう。
その際の為替手数料は、仲値+50銭(往復1円)になります。
以降は、指定した通貨で運用していくことになります。
一時払い終身保険
保険種類は終身保険になるため、「保障」と「運用」を兼ねた商品性となります。
生命保険ですので、本来は健康状態を申告する「告知」が必要となりますが、この商品は「職業告知」のみとなっています。
それは、「一時払い保険」という商品特性が、「保障目的」ではなく「運用目的」となっているからです。
「保障」と「運用」を兼ねているといいますが、そもそも生命保険の存在意義とは「支払った保険料と受け取る保険金の差額」にあり、支払った以上の金額を受け取ることができることに意味があります。
一時払いという支払い方法は、スタート時に巨額な金額を支払うため、生命保険の意義から離れた行為であり、代わりに投下した資本がどれだけ増えるのかといった「投資性」を追求します。
契約日から5年間(第1保険期間)
この期間は、「支払った一時払保険料」=「保険金額(基本保険金額)」となります。
支払った金額しか保険金がおりないのであれば、保険として意味がありませんが、5年を経過すると(第2保険期間)保険金額が増えます。
60歳男性が契約した場合の保険金額の推移は以下のようになります。
米ドルであれば5年後に基本保険金額が120%に、豪ドルであれば基本保険金額が130%になるようです。
100,000米ドルの基本保険金額が120,000米ドルに、100,000豪ドルの基本保険金額が130,000豪ドルのイメージです。
10年毎の予定利率の見直し
契約時から10年は予定利率は一定となり、以降10年毎に予定利率が更改していきます。
2017年11月10日現在の各通貨の予定利率は以下のとおりです。
【米ドル】
契約年齢20歳~75歳 ・・・ 2.61%
契約年齢76歳~85歳 ・・・ 2.39%
【豪ドル】
契約年齢20歳~75歳 ・・・ 3.37%
契約年齢76歳~85歳 ・・・ 3.04%
それぞれ最低保証利率は0.5%のようです。
円建終身保険移行特則
一時払いとして最初に支払った金額に対して、円換算した解約返戻金がどれくらい増えたかという「目標値」を定めることにより、契約以降毎日その「目標値」への到達を解約返戻金と為替レートによる計算から自動的に判定し、「目標値」以上に到達した場合に自動的に円建ての終身保険に切り替わるようです。
「目標値」は、支払った金額に対して「105%」もしくは「110%~200%(10%単位)」を指定できます。
円建ての終身保険の保険金額と解約返戻金額は同額になるようで、以降円建ての終身保険に適用される予定利率(2017年11月10日現在0.01%)で運用されていくことになります。
払済保険のように、解約返戻金相当額で終身保険に加入するようなイメージ(その場合は、当然解約返戻金額よりも保険金額のほうが大きくなります)を想定していましたが、解約返戻金と保険金額が「同じ」になるそうです。
以降は、為替レートの影響を受けなくなります。
返戻率
60歳男性が、基本保険金額「100,000米ドル」もしくは「100,000豪ドル」で加入した場合の返戻率(金利変動が一定だった場合)を確認しました。
米ドルの場合、5年後の返戻率が「104%」、10年後の返戻率が「116.5%」となります。
豪ドルの場合、5年後の返戻率が「108.1%」、10年後の返戻率が「125.6%」となります。
ただこれらのパーセンテージは、それぞれの外貨ベース上のものになりますので、実際に手元に来る日本円で計算する場合には、その時点での為替レートで計算する必要があります。
市場価格調整(金利変動リスク)
この商品を検討する際には、市場価格調整(金利変動リスク)についても理解しておく必要があります。
これは、解約する時点での市場金利が、契約時点の市場金利と比べて、「高い」のか「低い」のかによって、解約返戻金が増減します。
「解約時の市場金利 > 契約時の市場金利」の場合、解約返戻金は「減少」します。
「解約時の市場金利 < 契約時の市場金利」の場合、解約返戻金は「増大」します。
ただし、10年後・20年後といった10年単位時点における解約は、市場価格調整が行われませんので、そのままの返戻率を参考にできるでしょう。
返戻率と為替レート
5年目までの第1保険期間は、市場価格調整による返戻率が増減する可能性が大きいので、5年目で解約を検討する場合には市場価格調整を踏まえて、為替レートを考えなければいけません。
しかし、10年目における解約は市場価格調整がないため、外貨ベースでの返戻率をそのまま検討しても大丈夫です。
米ドルにおいては10年目の返戻率は116.5%、豪ドルにおいては10年目の返戻率は125.6%です。
10年目の損益分岐となる為替レート
2017年11月10日時点での米ドルの適用為替レートは113.89円、豪ドルの為替レートは87.59円となっています。
米ドルの10年目返戻率116.5%を赤字にしてしまう為替レートは、1米ドル=約95円(113.89円 × (1-0.165))
豪ドルの10年目返戻率125.9%を赤字にしてしまう為替レートは、1豪ドル=約65円(87.59円 × (1-0.259))
運用利回り
それぞれ10年間の年間あたりの利回りは以下のとおりです。
米ドル建て ・・・ 1.65%
豪ドル建て ・・・ 2.56%
投資商品として考えると、少々魅力にかける数字です。
明治安田生命の外貨建て一時払い終身保険「エブリバディプラス」は魅力低、のまとめ
一時払い型の保険は、どれだけ投資性を求めることができるかという点では、株式・債券・投資信託と言った金融商品には劣ってしまいます。
視聴価格調整を考慮すると、10年未満で解約することができない「可能性」があり、流動性がありません。
保険は保険、投資は投資、と切り分けて考えるべきではないでしょうか?
ただ、どうしても個人的に投資をするのが怖いとお感じになる方は、検討してみてもいいかもしれませんね。
参考:明治安田生命のエブリバディプラスを検討中の方におすすめの記事
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