資産の拘束期間が長い住友生命のドル建て一時払い終身保険

ほけんケア~ドル建て保険も理解できた!保険について本気出して勉強した主婦のブログ

子供のための貯蓄型学資保険の検討からドル建て保険の存在を知り、様々な保険を勉強してきました。複雑でわかりにくい保険に関する内容を少しでも理解しやすくなるためのブログです。

資産の拘束期間が長い住友生命のドル建て一時払い終身保険

   

住友生命のドル建て一時払い終身保険

近年、国内保険会社の外貨建て保険の発売ラッシュが凄まじくなっています。

しかも、自社では取り扱いをせず、主に銀行や証券会社を代理店として、間接的に販売を行っています。

今回は、住友生命の外貨建て一時払い終身保険「ふるはーとJロードグローバル」「笑顔の約束」の2つを解説してみたいと思います。

この2つの商品は、住友生命自体では販売を行ってはおらず、金融機関窓口専門商品(銀行や証券会社)となっています。

「ふるはーとJロードグローバル」と「笑顔の約束」

この2つの外貨建て一時払い終身保険は、どちらも「米ドル」と「豪ドル」どちらかを指定して、運用していく「一時払い型」の商品となります。

名称が異なりますが、その中身はほぼ一緒であり、販売先と付加できる特約の数が違いになります。

「ふるはーとJロードグローバル」・・・ 全国の金融機関

「笑顔の約束」・・・ 三井住友銀行、SMBC日興証券

詳細を聞きたい場合には、取り扱い金融機関に出向く必要があるでしょう。

なお、ふるはーとJロードグローバルに関しては「住友生命の「ふるはーとJロードグローバル」は、米ドル・豪ドルで運用する外貨建て終身保険」の記事でも詳しく解説していますので参考にしてみてください。

住友生命のドル建て保険の特徴

指定通貨

住友生命で運用先として指定できる通貨は、「米ドル」と「豪ドル」の2つの通貨になります。

支払い時には、「外貨」のまま支払うことができる他、支払い時の為替レートで円を外貨に換算して支払うことも可能です。

その際には、為替手数料が片道+0.5円かかりますので、豊富な米ドルもしくは豪ドルの資産をお持ちの方であれば、そのまま支払ってしまったほうが余計なコストがかかりません。

一時払い終身保険

契約時に一括で保険料を支払った後は、一生涯の終身保険として運用がなされていくことになります。

健康状態の告知ではなく、「職業告知」のみで加入することができます。(危険性の高い職業の方は加入をお断りされます。)

死亡時の保障目的というよりかは、どれだけ資産を増やすことができるかという部分に目的が置かれる商品です。

第1保険期間

契約から10年間(年齢によっては5年間)は第1保険期間となります。

この第1保険期間中の死亡保険期金額は、大きく抑えられており、一時払保険料相当額、保険料積立金相当額、 解約返戻金相当額のうち最も大きい金額が保険金額になります。

現実的には、契約時に基本保険金額の4%が初期手数料として控除され、その控除された金額か保険料積立金と解約返戻金がスタートしますので、実質的には「一時払保険料相当額」が保険金額となるでしょう。

つまり、「支払った金額 = 保険金額」となるので、保障の意味合いはほとんどなくなります。(損はしないのでしょうが)

第1保険期間中に、積立金と解約返戻金は常に市場価格調整されて変動しているため、場合によっては解約返戻金が増大し、保険金額も増える可能性も理論上はあります。

第2保険期間

契約日から15年間のうち、第1保険期間を差し引いた期間(5年または10年)になります。

この期間は、第1保険期間中に抑えられていた基本保険金額が戻り、大きく増えます。

死亡保険金額は、基本保険金額もしくは解約返戻金どちらか大きい値になります。

解約返戻金は第1保険期間と同様、市場価格調整されます。

第3保険期間

15年を経過すると、以降の死亡保険金額は基本保険金額と同額となります。

解約返戻金は市場価格調整されません。

予定利率

2017年11月10日現在の各通貨の予定利率は以下のとおりです。

米ドル ・・・ 3.50%

豪ドル ・・・ 3.15%

変動リスクが大きい豪ドルよりも米ドルのほうが予定利率が高くなっているのは驚きです。

契約以降、予定利率は変わりません。

初期死亡時円換算支払額最低保証特約

保険に加入した初期段階において死亡事故が発生した場合、一時払保険料として支払った金額(為替レートで換算後)を死亡保険金額が万が一下回ってしまった場合、この特約を付加しておくと、支払った同額の金額を死亡保険金として支給してくれるという特約です。

結局はその時点での為替レートで換算されるため、万が一保険金額が「損」するような場合に備える特約になります。

この特約を付加すれば「損」することはありませんが、その分将来の返戻率は下がります。

払った金額しか戻らない時点で生命保険の体をなしていないとも言えるでしょうが。

目標到達時円建終身保険変更特約

円換算した解約返戻金がどれくらい増えたかという「目標値」(加入時の最初に支払った一時払いの金額と比較)を決めることによって、「目標値」への到達を解約返戻金と為替レートによる計算から契約した日から毎日、自動的に判定して、「目標値」以上に到達した時には自動的に円建ての終身保険に切り替わるようです。

この「目標値」の指定できる範囲は支払った金額に対して「110%~200%(10%単位)」となっています。

円建ての終身保険に切り替わった時の保険金額と解約返戻金額は同額になるようで、以降円建ての終身保険に適用される予定利率で運用されていくことになり、為替レートの影響を受けなくなります。

この特約は、「ふるはーとJロードグローバル」のみ付加できる仕組みになっており、「笑顔の約束」には適用できませんのでご注意下さい。

返戻率

リスクが高い豪ドルよりも米ドルのほうが予定利率が高くなっているので、あえて豪ドルを選択する合理的な理由はなさそうです。

詳細な試算は、商品を取り扱っている銀行や証券会社でないと出来ないそうですので、仮定の条件で、資料をもとに見てみます。

米ドル建ての予定利率3.00%であった場合(現在は、予定利率3.50%と試算上よりも高くなっています)、60歳女性が100,000米ドルの保障金額を指定し、1ドル=100円(為替手数料込み)、一時払保険料は1,000万円とします。

市場価格調整がされなかったと仮定した場合、5年後で返戻率は102.18%、10年後で114.82%、15年後で128.54%となります。

市場価格調整(金利変動リスク)

やはり目先の利率が良くても検討する時に、「市場価格調整(金利変動リスク)」を理解しておかねばなりません。

市場価格調整(金利変動リスク)というのは解約する時点での市場金利が、契約時点の市場金利と比べて、「高い」か「低い」かで解約返戻金が増減することを指します。

「解約時の市場金利 > 契約時の市場金利」の場合、解約返戻金は「減少」し、「解約時の市場金利 < 契約時の市場金利」の場合、解約返戻金は「増大」しますが、10年後・20年後といった10年単位時点における解約は、市場価格調整が行われませんので、そのままの返戻率を参考にできるでしょう。

返戻率と為替レート

契約から15年が経過するまでは、解約返戻金に市場価格調整が行われてしまうため、解約返戻金は増減します。

結果、現時点でどうなるかといった議論は意味はなしません。運良くプラス調整されれば増えますし、運が悪ければマイナス調整されます。

よって、プラス調整できそうな局面であれば解約を検討できますし、マイナス調整であればそのまま「維持」という選択を取ることになるでしょう。

ですので、市場価格調整されない15年後を考慮してみます。(予定利率3.00%の場合)

15年後は解約返戻金は128,535米ドルとなり、一時払い保険料100,000米ドルからの返戻率は128.54%となります。

15年目の損益分岐となる為替レート

2017年11月10日時点での米ドルの適用為替レートは113.89円となっています。

米ドルの15年目返戻率128.54%を赤字にしてしまう為替レートは、1米ドル=約81円(113.89円 × (1-0.2854))となります。

かなりの円高にならなければ、損はでなそうです。

実際の予定利率は計算を行った3.00%よりも若干高いので、この為替レートよりも若干円高まで許容範囲は広がると思われます。

15年目の利回り

100,000米ドルの資本投下で、15年で解約返戻金は128,535米ドルになります。

1年あたりの利回りを算出してみると、(128,535米ドル ー 100,000米ドル)÷ 100,000米ドル ÷ 15年 × 100 から、年あたりの利回りは「1.9%」の商品となります。

実際の予定利率は3.00%よりも高いので、利回りは若干上がります。

しかし、15年という長い期間、ならびに、投資商品という側面から見ると、若干物足りない率のように映ります。

資産の拘束期間が長い住友生命のドル建て一時払い終身保険のまとめ

15年目まで市場価格調整が行われてしまうため、納得の行く為替レートや市場金利が訪れてくれない限り、長きに渡って資金を拘束されてしまいます。

他社の同様な商品であれば、長くても10年目から市場価格調整されないものもあるため、資金の流動性を欠いていると言わざるをえません。

しかし、ドル建ての予定利率がかなり高めに設定されていることは評価ポイントです。

15年以上という長い期間資産を置いておいても問題がない方であれば、検討する余地はありそうです。

参考:住友生命のドル建て一時払い終身保険が気になる方におすすめの記事

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