かんぽ生命の「新ながいきくん」にメリットはないのか?商品は残念だが安心感はある
目次
かんぽ生命の「新ながいきくん」のメリット
人気グループメンバーをCMキャラクターに抜擢し、何か耳に残るフレーズでその商品名を聞いたことがある人も多い、かんぽ生命の「新ながいきくん」という商品。
イメージ戦略という意味ではとてもうまく行っているように思えますが、蓋を開けてみたらその商品実態は検討に値すらしません。
なにかしらメリットがないかと調査しましたが、残念ながら個人的には何一つメリットらしい利点が見つかりませんでした。
商品の特徴に簡単に触れ、なぜ私がメリットがないと判断するのか説明していきたいと思います。
かんぽ生命の「新ながいきくん」とは?
新ながいきくんは、死亡保障が一生涯続く終身保険に分類される商品です。
保険料の払い込みが終了した後の保障内容の違いにより、4つのタイプに分類されます。
定額型
保障額が一生涯変わらず、「一定」になっているタイプです。
一般的な終身保険と同タイプの商品であり、保険料払込期間の解約返戻金を抑制した「低解約返戻金型」もあります。
ばらんす型2倍
保険料払込期間中の死亡保障額が、保険料払込期間満了以降の保障額の「2倍」となっているタイプです。
いわゆる働き盛りの期間の保障を手厚くできますが、保険料払込期間が終わると、以降の老後の保障は半分になるという仕組みです。
こちらも「低解約返戻金型」があります。
ばらんす型5倍
ばらんず型2倍以上に、保険料払込期間満了以降の保障額がかなり減る仕組みです。
5倍との記載があり、老後の保障は5分の1にまで減ってしまいます。
同様に「低解約返戻金プラン」が存在します。
解約返戻金の有無を選べる特約
特約の返戻金を「解約返戻金低減型」か「無解約返戻金型」のどちらかを選択できますが、終身保険=死亡保険という概念において、いつか解約してしまうということは念頭に置かない方が無難です。
「解約返戻金低減型」であると保険料の払込期間が終了する年齢のときに解約するのが最もお金としては多く受け取れます。
(といっても、保険料の払込総額1041万円に対して保障額1000万円、受取額は885万円になるので、損得勘定ではいけませんが、60歳までに死ななければ確実に損をすることになりますが…)
反対に「無解約返戻金型」を選べば、月々の支払い額が11900円に抑えられ、95歳までの払込期間になるので55年間支払ったと仮定しても支払総額は785万円。
95歳前に亡くなっても払い込んだ保険料以上の保険金を受け取ることができるので、私個人の意見としては、どちらか選ばなければいけないのであれば、「無解約返戻金型」をお勧めしたいです。
おたのしみ型
保険料払込期間が満了すると、5年に1回、計4回、死亡保険金額の5分の1の金額が、生存保険金として支給されます。
最終的に残る一生涯の保障額は、ばらんす型5倍と同様に、5分の1の金額が残ります。
こちらも「低解約返戻金型」が存在します。
「新ながいきくん」が残念な理由
4つのタイプを簡単に説明しましたが、唯一マシな商品が「定額型」です。
ばらんす型においては、いわゆる「定期保険特約付終身保険」の仕組みとなっております。
仮に基準保険金額1,000万円で契約したと仮定すると、
一生涯保障としての終身保険部分はばらんす2倍型なら「500万円」、
ばらんす5倍型なら「250万円」となり、
残りの部分、基本保険料払込期間中の保障は掛け捨て型になり、ただの「定期保険」が終身保険に乗っかっているだけです。
誤解のないように分かりやすくもう一度、言いますが、新ながいきくんはすべての保障が「掛け捨て」なわけではありません。
終身保障=死ぬまで継続できる死亡保障の上に、掛け捨ての保障が乗っているという仕組みになります。
定期保険特約付終身保険の悪評に関しては、今回の記事では触れませんが、インターネット検索をすれば大量の悪評記事がヒットしますので、興味がある方はそちらをご参照下さい。
おたのしみ型については、貯蓄性を求める方向けに開発された商品だと思われますが、生存保険金がもらえるためお得感があるように感じます。
しかし、この保険は、生存給付金で受け取れる金額と死亡保険金額で受け取れる金額の合計額よりも、トータルで支払った保険料の総額の方が大きくなっており、結局は損になる仕組みになっています。
おたのしみ型は、損する貯蓄なのです。
新ながいきくんのデメリットについては、「新ながいきくんのおたのしみ型にデメリットは?」の記事でも解説していますので、参考にしてみてください。
定額型について
唯一マシな定額型ですが、あえて「新ながいきくん」に入る理由がない一番の理由が、保険料が高すぎることです。
契約年齢:40歳男性 保険料払込期間:60歳 基準保険金額:1,000万円 の条件で保険料の試算を行ったところ、保険料は月42,600円、低解約返戻金型は月41,400円となりました。
保険料の総額は、それぞれ10,224,000円、9,936,000円となりますが、60歳時点での解約返戻金は9,160,000円となり、返戻率は100%を割ってしまいます。
他社の終身保険で同様の条件で試算してみると以下のようになります。
オリックス生命終身保険ライズ:月34,840円 60歳時点での解約返戻金8,753,400円であり、返戻率は104.6%となり、「新ながいきくん」定額型の圧倒的にパフォーマンスがの悪さが目立ちます。
ばらんす型2倍
契約年齢:40歳男性 保険料払込期間:60歳 基準保険金額:1,000万円 の条件ですと、保険料は月23,100円、低解約返戻金型で月22,500円となります。
保険料の総額は、それぞれ5,544,000円、5,400,000円となります。
60歳時点での解約返戻金額は、4,592,000円であり、余裕で元本を割ります。
その上、保険料払込期間満了後の保障額は2分の1の500万円となりますので、死亡保険金額以上に保険料を支払う必要が出てきてしまいます。
ばらんす型5倍
契約年齢:40歳男性 保険料払込期間:60歳 基準保険金額:1,000万円 の条件ですと、保険料は月11,500円、低解約返戻金型で月11,300円となります。
保険料の総額は、それぞれ2,760,000円、2,712,000円となります。
60歳時点での解約返戻金額は、1,841,000円であり、こちらも元本を割る結果となっています。
その上、保険料払込期間満了後の保障額は5分の1の200万円となりますので、270万円支払って200万受け取る形となっています。
おたのしみ型
契約年齢:40歳男性 保険料払込期間:60歳 基準保険金額:1,000万円 の条件ですと、保険料は月44,500円、低解約返戻金型で月43,300円となります。
保険料の総額は、それぞれ10,680,000円、10,392,000円となります。
60歳時点での解約返戻金は7,622,000円となり、以降5年毎に200万円ずつ生存保険金が支給されます。
60歳で解約したら200万円以上も大損になりますし、200万円×4回で800万円受け取り、以降死亡保障が200万円残ったとしても、支払った総額から損失となります。
かんぽ生命の「新ながいきくん」のメリットと感じる側面は人それぞれかもしれない
ここまで個人的なかんぽ生命の新ながいきくんにはメリットがないということに触れてきましたが、
やっぱり損得勘定を抜きにしてもかんぽ生命はやはり他社にはない郵便局の多さ、手軽さ(身近さ)はメリットなんだと思います。
私の父や義母も還暦を過ぎたあたりから、目新しい保険内容を確認するのも億劫になっていたり保険代理店を通すことに煩わしさを感じるようです。
その点、やはりかんぽ生命(郵便局の保険)というのはもともと地元密着なイメージで、お願いすれば気軽に自宅に来てくれたり、わからないことがあればすぐに郵便局に聞きに行けるという手軽さは譲れないみたいです。
結局、保険商品がどれだけ良くても非常に遠くまで行って契約しなければならなかったり、何かわからないことがあった時に気軽に聞けないといくら保険商品が良くてもデメリットになりますよね。
その点、かんぽ生命という全国どこにでもある保険会社という安心感はメリットになるかもしれませんね。
それでも安心感に胡坐をかいてはいけない
この記事を作成した後から露呈したかんぽ生命の不適切販売ですが、正直、前章でお話したような安心感に胡坐をかいた結果だと感じます。
担当者もノルマが厳しかったから、この顧客なら保険の見直しをしてくれるだろうという安易な気持ちから不適切な保険提案が繰り返されたのだと予測します。
もちろん、真面目に頑張っている人もいます。
一括りに「かんぽ生命」だからと言い切るものではありませんが、地元密着型ゆえの傲慢があったのだろうと感じます。
顧客に不利益を与えた可能性がある18万3000件の契約のうち、保険業法や社内規定に違反しているのは6,327件との調査が出ています。
しかし、この確認方法も単純なものであるため、元来、不適切な販売であると思っていない契約者は含まれないアンケート方法のようです。
かんぽ生命は、これからも日本の地域に根付いた保険会社で有り続けるでしょう。
そのためには、やはりチェック方法から契約ノルマの変化、顧客第一に考えていくように変化してほしいものですね。
かんぽ生命の「新ながいきくん」にメリットはないのか?のまとめ
総じて言えることは、保険料が「高すぎる」商品性になっています。
定額型は、終身保険の純粋な仕組みとなってはいますが、保険料が高すぎであり、同じ保険に入るのであれば、より安い保険料でより高い返戻率を持つ他社の商品に入ることが合理的です。
もしいま現在加入を検討する段階の方がいらっしゃれば、他社との料金比較をした上で、慎重に考慮するべきと考えます。
ただ、やはりメリットと感じる側面は人それぞれだと思いますので、もしも可能だったら第三者に相談されることをお勧めします。
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