住友生命の「ふるはーとJロードグローバル」は、米ドル・豪ドルで運用する外貨建て終身保険

ほけんケア~ドル建て保険も理解できた!保険について本気出して勉強した主婦のブログ

子供のための貯蓄型学資保険の検討からドル建て保険の存在を知り、様々な保険を勉強してきました。複雑でわかりにくい保険に関する内容を少しでも理解しやすくなるためのブログです。

住友生命の「ふるはーとJロードグローバル」は、米ドル・豪ドルで運用する外貨建て終身保険

   

目次

1.住友生命の「ふるはーとJロードグローバル」は銀行の窓口で購入できます

最近の銀行は、預金の出し入れや融資に関する業務だけでなく、ライフプラン相談会などとして保険や年金のほか投資信託なども積極的に販売しています。

住友生命の「ふるはーとJロードグローバル」もそうした商品のひとつで、①米ドルか豪ドルのどちらで運用するかお客さまが選択、②保険料は一時払いのみという特徴があります。

タイトルのとおり終身保険ですから一生涯の死亡保障が得られますが、一方で外貨で運用する商品なので仕組みを理解しないまま契約するのは考えものです。

ここでは「ふるはーとJロードグローバル」のメリット、デメリットや注意すべきことなどをご紹介したいと思います。

2.なぜ外貨建ての終身保険がいいの?(住友生命の「ふるはーとJロードグローバル」)

そもそも円ではなくなぜ外貨で運用する商品なのか?という疑問があるかもしれませんが、それには日本の金融政策と深い関係があります。

2016年に始まる日本銀行のマイナス金利政策の影響で、預金の金利は限りなくゼロに近くなっていますので、日本円だけで運用するよりも、日本より金利が高い国の通貨で運用する方が、有利かつ安全に運用できると考えられるからです。

住友生命の「ふるはーとJロードグローバル」は、アメリカやオーストラリアが選択肢になっていますが、両国の国債の格付けは高いランクにありますので、安全かつ有利にという面では合理的な選択肢が用意されていると言えます。

(注)世界的な格付け会社・スタンダード&プアーズ社の格付けで、アメリカ国債はダブルA、オーストラリア国債はトリプルAです。日本はシングルAです(2017年12月現在)

3.住友生命の「ふるはーとJロードグローバル」の保険料の支払い方法はドル?それとも円?

「ふるはーとJロードグローバル」は、保険料の支払いは指定する通貨でも可能ですし、特約を付して日本円で支払うことも可能です。

最低保険料は日本円換算で100万円以上ですが、多くの方が余裕資金で購入されていますので、実際にはもっと高い金額で契約される方が多いと思われます。

また、円で支払う場合は米ドルまたは豪ドルに交換されますが、交換レートは毎日変動していますので、契約前に交換レートの一か月トレンドを確認した方が良いです。

4.住友生命の「ふるはーとJロードグローバル」の外貨建て運用は難しい?

普通の保険でも難しく思うのに、更に外貨建てとなると、為替リスクも伴い理解するのが難しいと感じる方も多いと思います。

「ふるはーとJロードグローバル」も複雑な仕組みを有していますが、お客さまに安心して契約できるようにさまざまな工夫がされています。

例えば、運用成果がお客さまがあらかじめ定めた水準になれば、外貨での運用を自動的に停止、円建て安定運用に移行することで為替と金利変動リスクから解放される特約は代表的なものです。

低金利で運用面では期待しにくい日本での運用は避けて、海外での運用を行うが、期待する水準に到達したら日本に戻ってくる、というお客さまには嬉しい特約だと思います。

5.住友生命の「ふるはーとJロードグローバル」の仕組み(満65歳の方の例)

「ふるはーとJロードグローバル」を契約できる方は満40歳から満90歳の方ですが、満50歳を境に契約の作りが分かれます。

ここでは退職金などを受け取られたシニア層である65歳の方を例に解説していきます。

(満50歳未満の方とは扱いが異なるケースがありますのでご注意ください)

◆米ドルまたは豪ドルで運用するかを選択

契約時に米ドルまたは豪ドルのどちらで運用するか指定しますので、円換算価値は契約期間を通じて為替相場の影響を受けます。

円高ドル安になれば円換算の価値は下落しますし、逆に円安ドル高になると上昇します。

米ドルと比べて豪ドルは馴染みが薄いかもしれませんが、オーストラリアは世界有数の資源国で経済は安定していますし、投資先として人気のある国です。

せっかく外貨投資をご検討されるなら、オーストラリアについても、話を聞いてから最終的な判断をされることをお勧めします。

◆予定利率

毎月1日と16日に設定されますが、契約時の予定利率が契約期間を通じて適用されます。

2018年1月1日~15日では、米ドル3.35%、豪ドル2.85%と米ドルが高くなっています。

販売用資料では、予定利率3.0%で米ドルの例で記載されていますが、実際の契約では資料とは異なる予定利率で契約されますので、できれば契約時の予定利率での説明を受けたいところです。

◆3つの保険期間(満65歳の方の例)

この保険の保険期間は契約日から終身になりますが、保険期間は3つの期間に分かれます。

つまり、①第1保険期間は契約当初から5年間(満50歳未満は10年)、②第2保険期間は契約当初15年のうち第1保険期間を除いた期間、③第3保険期間は第2保険期間終了後から終身になります。

3つの保険期間の違いは死亡保険金の決定方法で、下記に列挙しますが、この違いが商品を複雑にしている一因でもあり特徴でもあります。

①第1保険期間の死亡保険金・・・一時払保険料相当額、保険料積立金相当額、 解約返戻金相当額のうち最も大きい金額(70歳まで)

②第2保険期間の死亡保険金・・・基本保険金額、解約返戻金相当額の いずれか大きい金額(80歳まで)

③第3保険期間の死亡保険金・・・基本保険金額と同額(終身)

◆初期死亡時円換算支払額最低保証特約

この特約は、第1保険期間に万一のことがあった場合に、契約時に払った保険料を最低保証します。

この特約を付加すれば、最初に支払った保険料はたとえ為替相場が良くない場合でも、最初に払った保険料は円建てで最低保証されます。

高額の保険料を伴う保険ですから、最初に払い込んだ資金は減らしたくないと思うのが人間の心理、こうした不安を解消するための特約です。

◆第2保険期間から死亡保険金は外貨建てで大きく

第2保険期間に入ると死亡保険金は一時払い保険料より大きくなり、基本保険金額か解約返戻金相当額のいずれか大きい金額が保険金額になります。

この商品独自の特徴とも言えますが、第1保険期間の死亡保険金を抑え、第2保険期間の死亡保障を大きくしており死亡時の最低保証は払込保険料を上回ることが確定します。

商品のパンフレットで第2保険期間から垂直に保険金カーブが上昇しているのはこのためで、予定利率が3.0%の場合、100,000米ドルの一時払い保険料に対し基本保険金額は177,760米ドルです(初期死亡時円換算支払額最低保証特約を付加した場合)。

◆第3保険期間当初(15年目)の解約返戻金は契約時に決定

第3保険期間の死亡保険金は基本保険金額になりますが、第3保険期間の解約返戻金は金利調整がありませんので、契約時に定まった金額が保障されます。

例えば予定利率3.0%の場合、100,000米ドルの一時払い保険料に対し、15年目の解約返戻金は128,538米ドルです(初期死亡時円換算支払額最低保証特約を付加した場合)。

つまり、15年間契約を継続した場合の返戻率は128%です。ただし、外貨建てでの返戻率ですので、円換算の返戻金は円相場次第で上下します。

6.住友生命の「ふるはーとJロードグローバル」は、目標到達時に円建終身保険に変更できます

住友生命の「ふるはーとJロードグローバル」は、解約返戻金が契約者があらかじめ定めた目標額に到達した場合、解約返戻金の円換算額を原資として円建の終身保険へ自動的に変更する特約が付加できます。

円建ての解約返戻金は為替相場に応じて変動しますが、為替相場が有利に働いて解約返戻金が増えたのに、その後の変動でまた解約返戻金が下がったら勿体ない、という発想で付加された特約です。

もともとは、運用成果で積立金(責任準備金)が変動する変額年金保険で考案された特約で人気がある特約ですが、増えたら減らしたくないという人間心理に応える内容になっています。

なお、目標額は払込保険料(基準金額)の、110%から200%までの範囲で10%刻みで設定できますが、高く設定しすぎるとヒットする可能性が小さくなりますので、営業担当者に確認しましょう。

7.第1保険期間と第2保険期間の解約返戻金の動き(住友生命の「ふるはーとJロードグローバル」)

住友生命の「ふるはーとJロードグローバル」は、第3保険期間の解約返戻金はは契約時に定まりますの、でここでは第1保険期間と第2保険期間の解約返戻金の動きについて述べたいと思います。

ドル建ての解約返戻金に対して影響を与えるのは契約時と解約時の金利差で、契約時より金利が上がれば解約返戻金は下げ調整、金利が下がれば上げ調整が入ります。

ドル建ての解約返戻金を円建てで受け取る場合は、ドルに対し円が高くなれば解約返戻金は減りしますし、円が安くなれば返戻金は増えます。

最終的な解約返戻金を考える場合、金利が上昇して返戻金は下げ調整されるが、契約時より円安が進んで円建てでは返戻金が契約時を上回るという現象も生じます。

このように最終的な返戻金は金利と為替の両方で上下しますので、お客さまには状況を把握しにくい面がありますから、次にご紹介する保険会社のサービスは知っておいた方が良いでしょう。

8.住友生命の「ふるはーとJロードグローバル」のご契約者向けサービス

住友生命の「ふるはーとJロードグローバル」に関しては、契約者ご自身が、照会時点の保険料積立金額・解約返戻金額・ご契約内容等をホームページから確認いただけます。

また、円建ての解約返戻金額が基準金額から10%増減するたびに、自動的に指定したメールアドレスに通知するサービスもあります。

逆に考えれば、通知が来ない場合は大きな値動きは無かったと理解できますので、このサービスは利用すべきだと思います。

もう一段のサービス向上という意味では、コールセンターでの回答サービスがあれば言うことがありません。

9.住友生命の「ふるはーとJロードグローバル」はどんな人に向いているの

住友生命の「ふるはーとJロードグローバル」は、最低保険料が100万円ですので、当面使う予定の無い余裕資金をお持ちの方や、相続準備が必要な方は対象になります。

もともとは、マイナス金利の影響で(円建ての)一時払い終身保険の魅力が減り、その代替として登場した商品なので、一時払い終身保険と対象顧客は近いと言えます。

ただし、為替リスクと金利リスクがありますので、一時払い終身保険のお客さまよりは高いリスク許容度が必要ですから、そうした意味では投資初心者の方には難しい保険と言えます。

ふるはーとJロードグローバルについてより詳しく知りたい方は、「住友生命の外貨保険はどんな内容?死亡時の保障や解約返戻金をチェック!」の記事でも詳細に解説していますので、参考にしてみてください。

10.為替がよく分からない人向けへのアドバイス

住友生命の「ふるはーとJロードグローバル」は、解約返戻金は外貨で受け取ることもできますが、殆どの人は日本円で受け取ることをイメージしているでしょう。

この保険で最も注意が必要なのは円高による解約返戻金の目減りで、為替リスクは契約の全期間を通じて考慮する必要があります。

為替相場はプロでも予測が難しい世界なのですが、私の経験から言えば株と比べて戻りが早いのは特徴で、余裕資金であれば為替による差益を狙うのは悪くないと思います。

なお、現在の円相場(1ドル113円)で解約した場合、金利が1%も上がった場合でも、理屈の上では1ドル101円台まで損失が発生しません(後述の参考例を見てください)。

11.金利がよくわからない人向けへのアドバイス

現在の世界の金利情勢は、日本ほど極端な低金利ではなくても、全体として低金利状態にあると言われています。

アメリカは経済が絶好調ですので、金利の引き上げに転じるという意見が有力ですし、オーストラリアも前ほどの高金利は無理でも金融緩和が必要な状態ではないと見る向きが有力です。

住友生命の「ふるはーとJロードグローバル」は、第2保険期間(15年)終了までは、金利差で解約返戻金が調整される仕組みになっていますので、今の金利環境の見通しをよく確認して契約するのが良いかも知れません。

なお、15年以上継続するという方であれば、金利差は考慮する必要はありません

◆(参考例)10年後の解約時の金利が今より1%上がった時の返戻率と為替の関係

「もしかすると契約して10年後に解約する場合があるかも知れない」とお悩みの方の場合で考えてみましょう(少し複雑ですが、この保険の大事なポイントですのでご容赦ください)。

契約時に100,000米ドル、予定利率3.0%でスタートした場合、10年後の解約返戻金は金利差なしで114,815米ドル(返戻率114.815%)、金利が1%上昇した場合109,338米ドル(返戻率109.338%)です。

契約時の水準が1ドル=113円ジャストと想定しますと、金利差が1%で円安が進み、返戻率がマイナスにならないための分岐点は、101.7円(=113円×(1-0.09938))です。

つまり、1ドル=102円近くまでは、円安が進んでもペイできることになりますが、可能性としてあり得る水準ですので、15年以内に解約をする可能性がある人はフォローの必要があります。

ただし、金利は一度で1%も上がることは考えにくいので、実際に金利が上がり始めたり、円高が進み始めたらその段階で手を打つことも可能です。

例えば、円建終身保険変更制度を利用した終身保険に移行する方法も用意されていますので、契約時に回避手段は聞いておくと良いと思います。

12.(感想)住友生命の「ふるはーとJロードグローバル」

住友生命の「ふるはーとJロードグローバル」は、保険に馴染みのない方には少し複雑ではないかというのが正直な感想です。

この商品は銀行窓口販売用の商品ですが、銀行窓口商品の潮流である①商品のシンプルさ、②運用の安定性、③メンテナンスの容易さ・・・から考えれば、少なくとも①からは外れていると思います。

しかし、「難しい」イコール「不利な商品」とは必ずしも当てはまりません。

第3保険期間まで解約しない方には金利リスクは関係ありませんし、金利差による調整が15年間と長いのも、金利下降局面に転じた際には有利に働きますので、デメリットとまでは言い切れないように思います。

住友生命という安心のブランドですから、複雑さが苦にならない方は、一度話を聞かれても良いと思います。

13.(評価)住友生命の「ふるはーとJロードグローバル」

最後に住友生命の「ふるはーとJロードグローバル」に対する評価ですが、契約後15年間は金利リスクと対峙するのは長すぎるように思います。

歴史的な円高を体験した方から見れば、外貨投資を始めるには迷うタイミングと思いますが、他の商品にも投資されている方なら分散投資の観点で外貨は検討の余地はあると思います。

手数料を見た場合、契約時の4%は高いとまでは言えませんが、契約者の運用効率を上げるためにも住友生命さんには、あとひと頑張りして欲しいところです。

しかし、解約時の手数料(解約控除)が無いのは評価できます、なぜなら、こうした商品では出口戦略(解約のタイミング)も大事で、解約控除が出口通過時の邪魔になるケースもよくあるからです。

いずれにせよ、現在の経済環境で長期投資をする場合、営業の担当者以外の詳しい方にもアドバイスを求める必要があると思います。

参考:ふるはーとJロードグローバルが気になる方におすすめの記事

住友生命のふるはーとJロードグローバルが気になっている方は、以下のような記事も参考にしてみてください。

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