ソニー生命で学資保険をドル建てで準備する違和感

ほけんケア~ドル建て保険も理解できた!保険について本気出して勉強した主婦のブログ

子供のための貯蓄型学資保険の検討からドル建て保険の存在を知り、様々な保険を勉強してきました。複雑でわかりにくい保険に関する内容を少しでも理解しやすくなるためのブログです。

ソニー生命で学資保険をドル建てで準備する違和感

   

ソニー生命のドル建て学資保険

「ドル建て+学資保険」というとあまり聞かないワードでデメリットがないのか、円で払う円建てと何が違うのか等気になりますよね。

 

まずは、学資保険をドル建て保険で宣伝している背景について説明しますと、マイナス金利導入以降、国内における円建て貯蓄性商品の返戻率は軒並み下がってしまい、学資保険についても各社その余波をもろに受けてしまっています。

各保険会社によって、「学資」というワードはまさに魔法の言葉で、子供が生まれたご家庭は「学資目的として」と言われたら、抵抗感なく話を聞いてしまいがちで販売しやすい商品の1つです。

そのマジカルワード「学資保険」も、各社軒並み返戻率の低下により、表立ってアピールできない状態になってきています。

 

そこでソニー生命は、学資保険を、円建てよりも相対的に予定利率が高い「ドル建て」で、と趣向を変えて宣伝するようになってきているようです。

実際には「ドル建ての学資保険」という商品は存在はせず、従来から存在している「米ドル建て養老保険」を「学資プラン」として扱っているようです。

ソニー生命のドル建て学資プランの特徴

一般的な学資保険は、被保険者は「子供」になるため、保険料と返戻率は、親の年齢性別に影響しません。

しかし、ソニー生命が力を入れているドル建て学資プランは、被保険者は「親」になります。

被保険者となる親の年齢が高くなればなるほど保険料が高くなり、結果として返戻率が悪くなりますし、男女によってもまた保険料が変わってきます。

一般的には、女性、つまり母親が被保険者となったほうが返戻率が高くなる傾向があります。

ソニー生命の資料をもとに、試算をしてみます。

ソニー生命のドル建て学資プラン(ドル建て養老保険)

被保険者:30歳男性 保険期間・保険料払込期間:18年 保険金額:20,000ドル

月払い保険料:85.36ドル

2017年11月20日時点での適用為替レートは「1ドル=112.20円」のようですので、円換算した保険料は9,577円となります。

18年後の満期保険金は20,000ドルとなりますので、このお金をその時点での為替レートで換算して、円で受け取って保障は終了です。

(ありえないですが)この支払い時レート「1ドル=112.20円」と受け取り時レート「1ドル=112.18円」が未来永劫ずっと変わらなかったと仮定すると、トータルで支払う円の保険料は「2,068,632円」に対し、満期保険金は「2,243,600円」となります。

学資プランの返戻率

試算の通り、返戻率は108.4%となり、この低金利時代においてはとても高い率だと思います。

この試算ケースで考えるのであれば、損益分岐となる為替レートは「1ドル=約103円」のようです。

18年間の間に、円高水準で支払った保険料が多ければ多いほど、円換算した場合の返戻率はもっと高くなりますし、円安水準で支払った保険料が多ければ多いほど、そのパフォーマンスは悪化します。

返戻率の罠

ソニー生命がアピールしているように、学資資金を「ドル建て保険」で準備されていらっしゃる方、もしくは検討している方であれば、試算した設計書を確認されていらっしゃるかと思います。

ドル建ての商品は、円建ての商品と比べて、当然ですが返戻率は高いです。

しかし、その数値はあくまでドルベース上での話であり、実際にはその時点での為替レートで換算して、円で受け取ることになるでしょう。

円建ての商品ではせいぜい105%~110%程度の返戻率ですが、ドルベースで見たら120%を超える返戻率、という結果を見ると、誰しもその数字には魅力を感じるのは仕方がありません。

しかし、いままでいくら「円建て」で支払ってきたのか、そして子供の進学時点での為替レートで換算したらいくら「円建て」で戻ってくるのか、という「円建て」での結果が最も重要です。

学資資金をドル建てで準備する意味

個人的な見解としては、私は学資資金を変動のある「ドル建て」で準備することに違和感を感じます。

学資資金とは、子供の将来時点でほぼ確実に必要となる資金であり、子供の将来を金銭的な事情で制限させたくないという、親心から加入されることがほとんどかと思われます。

「ドル建て」の商品は言うまでもなく、「為替リスク」がつきものです。

資金が必要となる将来、運よく為替がちょうどよいタイミングで円安に傾いてくれれば問題ありませんが、万が一「円高」になってしまい、損失が生じるケースだった場合、契約者はどうするのでしょうか?

必要となる資金が分かっているにもかかわらず、「万が一」の損失リスクを含んでいる商品で子供の学資資金を準備するという行為は、本来の子供の将来を考える親心から反してはいないか、と思わざるを得ません。

ソニー生命のドル建て保険の予定利率や積立利率、運用利回りを知りたい方は、「ソニー生命のドル建て保険を予定利率・積立利率・運用利回りで見てみる」の記事をチェックしてみてください。

円建ての学資保険でも十分なパフォーマンス

同ソニー生命で取り扱っている、円建ての学資保険を見てみると、十分な返戻率を誇っていると思われます。

その返戻率は、101%~107%ほどまであり、為替変動の危険性がない部分を考慮すると、私自身は十分に魅力ある数値だと思います。

では、円建てでこれだけの返戻率を持つ学資保険があるにも関わらず、なぜソニー生命はドル建ての学資プランを押してくるのでしょうか?

「学資保険」と「ドル建て学資プラン」の手数料の差

ソニー生命の学資保険の販売手数料は、本当に雀の涙ほどしか販売員に入りません。

月1万円の保険料の学資保険に加入したとすると、販売員に入る手数料はおよそ1万円前後です。

しかし、ドル建ての商品は、リスクを契約者に転嫁しており、はるかに多い手数料が販売員の懐に入ります。

およそになりますが、月1万円(円換算後)のドル建て学資プランに加入したとすると、5万円~8万円ほどが販売手数料になります。

このあたりの事情も影響しているのではないかと、推測しています。

ソニー生命で学資保険をドル建てで準備する違和感のまとめ

私は、子供の将来に万が一があっては困るので、「変動のない」「損失が生じる恐れのない」商品で、「確実」な資金作りを行いたいと思っています。

いざ子供の進学を迎える段階で、ドル建て保険を円に換算したところ、「思っていた金額に到達していない」なんてことがあったとしたら、足りない部分は別の預貯金から捻出しなければいけません。

そしてそのときにこう思うでしょう、「あの時入らなきゃよかった。」

投資と同じなのですが、誰しも損する前提でリスク性商品を購入しません。良いイメージしか考えないのが普通です。

私は「あの時入らなきゃよかった」と後悔したくないので、学資資金は円建てで確実に準備し、老後資金などは多少変動リスクを取っても良いかなと思います。

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